エピソード4「復讐者の魂」(4)
ーー一人夜風にあたりながら、市街を歩く。
自分の心では感じられない何かの残滓を指示されながら、探す。
「……ノルドシュトルムとやらが単一の災厄であればいいが」
『それを見極めるのも、我々の仕事だ』
心の声と共を受け、アトスは何気なく、城の上に目を向ける。
そこにはガイアブレードが、遠くを見ているのが分かった。
「奴も、なんなのだろうな」
『それは分からん。だが、我々はやれる事をやるしかないのだ』
迷いにも似た感覚、それに囚われては自分は何も出来なくなってしまう。
「ーー進むしか、あるまい」
アトスは不愉快な思いを胸を抱えたまま、市の外周部へと向かった。
ヒルトライの外周部には川があり、其処は天然の水堀となっている。
政治的には強固とは言えないレティウスだが、地理に恵まれているというのはせめてもの優位といったところか。
「……馬車が通れる程度の石橋があるくらいか。此処を落とせば万が一の時敵の侵攻も一時凌げなくは無い」
アトスは独り言のように呟きながらも、目線を空から前に向ける。
長く伸びる影を見つけたと思えば、女性が一人歩いてきていた。
「ーーこんな時間に労働帰りか、一般市民も大変そうだな」
呟きながらもアトスは市の外を見ようと考え、すれ違うように歩き出す。
ーーだが、橋を半分過ぎて女とすれ違おうとした瞬間。
「ーーっ」
突き飛ばされる感覚、そして女の顔を見ればーー。
赤い髪の毛の、アイツ、が。
瞳孔が、開く。
ーー気付いた時には、アトスの足元に地面はなかった。
このまま、空に落ちていく。
「これが……俺への仕打か!」
アトスの周りの空間が歪み、アトスの身体は闇に投げ出されていったーー。
この話の後、ノクターンのエヴァネッセンス・ストライカーに続きます。




