いきなり消えた冒険者
申し訳ありません! どうやら五話と六話が入れ替わっていた様です。訂正させていただきました。
「可愛い皆はどこ出身なの~? 冒険者経験は長いの? パーティーなの? 彼氏はいる? 本当に若くて可愛いね~!」
「はは⋯⋯」 「どうでしょう⋯⋯」 「えぇ⋯⋯」 「⋯⋯」 「⋯⋯」
女性五人はイイ感じだが、とにかく暇なお坊ちゃまが私達に根掘り葉掘りと質問攻めにしてくるのが困る。 雇い主なので文句は言えないが。
「ロゼリーさんはどんな魔法が得意~? 僕は何が得意だと思う~?」
「私は氷魔法ですかね。お坊ちゃまは⋯⋯火魔法でしょうか?」
アホな脳筋といえば火魔法だと思う。バンバン燃やしてガハハハ! って笑っていそう。それにお坊ちゃまは結構いい体をしていた。それなりに鍛えているのだろう、やはり脳筋に違いない。
「今、ロゼリーちゃんが僕の体を舐める様に見ていたよね? 意外とエッチなんだな~! どうしょう?! もしかして僕の体はロゼリーちゃんに狙われてるのかなぁ?」
「くっ⋯⋯」
自分の護衛対象でさえなければ⋯⋯ロゼリーよ、これは金の為なのだ。 世知辛い世の中なのだ。
ロゼリーは夕食の干し肉をガミガミと噛んで怒りを抑えた。
そして冒険者五人で夜の見張りを交代で担当し、何も問題は起こる事も無く朝を迎えた。
「今日も進むよ~!! 先頭の一番目立つ僕の側にいてね? 絶対だよ?」
「⋯⋯はいはい」 「分かりましたー」 「へー」 「⋯⋯」 「⋯⋯」
朝から元気なお坊ちゃまの馬車の横を欠伸をしながら進むロゼリー。前世振りの野宿は思ったよりも体に負担が大きかった。野生児だったフェリックスとは違ってお嬢様の体だから仕方がないか。でもベッドって神アイテムだったんだな⋯⋯
「おや? 道の先に大きな丸太が横たわっていますね」
今日も何事もなく道を進み、日暮れ時となった。そろそろ野宿の場所を見つけなければならない時間だな、と思いながら進んでいると、20メートル程先に馬車の進路を阻む木が倒れていた。
「御者さんどうしますか? 私が先に行って移動させましょうか?」
「ええ、ありがとうございます。ですが倒木の手前の左側にちょうど良い広場がありますから、今日はあそこで休みましょう。では全体に連絡を――――」
四台の馬車は今晩この広場で野宿する事となった。そこは頻繁に馬車や人によって踏み固められた跡があるので休憩所や野宿の場所として使われている広場なのだろう。こういう場所には近くに川や井戸があり、馬に水を与えられるので旅ではとても重要な場所であった。
「明日の為にも倒木は私が動かしておきますね。皆さんは休んでいて下さい」
「大丈夫?」「重いでしょ?」「手が必要だったら言ってね」
まだ冒険者経験の浅い三人を少しでも休憩させてあげたくて、ロゼリーは一人で丸太に向かった。
「⋯⋯あれ? オディットさんはトイレかな?」
ロゼリーが丸太に向かうと、ちょうどオディットさんが一人で森の中に入って行くのが見えた。女性冒険者にとってトイレは結構大きな問題だ。それなりに森の奥に入らないと恥ずかしいがその分、魔獣に襲われる危険もあるし。特に排泄時は無防備な背後が危ないのだ。
「まぁまだ明るいし大丈夫かな?」
ロゼリーは気にするのを止めて丸太を動かし始めると、異変を感じた。
「ん⋯⋯この丸太は――――」
「キャア!!」「うおおおお!!!」「早くしろ!!」「いいから早く!」「離して!!」
「んな⋯⋯?!」
いきなり焦る声が背後から聞こえて来たので振り向くと、ロゼリーの10メートル程後ろにいる商隊が目を離した一瞬の隙に襲われていた。
「マジかよ? おいおい?! 待てよ!」
直ぐに腰の剣を抜いたロゼリーだが、強盗は驚くほどの速度で森に消えてしまった。




