二度目の冒険者登録
今、私がいるベール王国の王都ベールからトラム王国までは馬車で一週間は掛かる。私は大人しく馬車に揺られてはいられない性格なので歩きと馬車の半分半分で向かう事にした。
「だがまず旅立ちの前に行くべきは所はここだろうよ。いざ出陣!」
――チリンチリン――
屈強で荒っぽい男達が集まる懐かしいこの雰囲気。そこは勿論⋯⋯
「こんにちは。冒険者登録をしたいのですが」
「はい。ではこちらの用紙にご記入をお願いいたしますね」
「どうも。えぇっと⋯⋯まずは名前かぁ⋯⋯」
あのジジイの事だから私はすぐにでも除名されるだろう。なら家名はいらないな。
「そうだ、どうせならロゼリンじゃなくてロゼリーでいいかな。うん。いい」
私は今日から平民の新人冒険者ロゼリーだ。
「これでお願いします」
「はい、ではお預かりしますね⋯⋯えっと、ロゼリーさんですね⋯⋯あれ? 家名は?」
「平民です」
「あの⋯⋯全く平民には見えませんが⋯⋯まぁいいでしょう。こちらの魔道具で魔力の登録をお願いしますね」
「はい」
ベール国でもトラム王国でも宝石の様な色を持つ人間は貴族に多い。私も水色の髪と金色の目を持っており、自分の容姿をなり気に入っていたりする。この色合いを授けてくれた父に、この部分《《だけ》》は感謝している。
「ロゼリン・マルセル様ですね。氷魔法の適正と――――」
「えぇ?! どうして私の名を?」
いきなり本名を言い当てられてしまった。もしかして婚約破棄騒動で顔と名が知れ渡って――――
「失礼ですが学園で魔力の登録をされたのではありませんか? すでにマルセル様の魔力は国に登録されておりまして⋯⋯でも冒険者ギルドでは通称や略称を使う方も多いですし、ロゼリーさんとして活動されれば良いと思います」
「あ、あぁ~! そうでした。そんな検査をした時もあった気がします。あの日、あの場所で⋯⋯ガツンってしました⋯⋯うん」
全く覚えていないがそんな事がバレたら記憶力の無いアホな子だと思われてしまう。フェリックスなら別にいいがロゼリーは美形だ。それだけは避けたい。とりあえず無難な回答で流しておく。
「ではこちらがタグになります。ロゼリーさんは魔法科を卒業されているみたいですので、Fランクではなく、Eランクからの登録となります」
「⋯⋯はい」
学園からの卒業証書はまだ届いていないが別にいいか。Fランクからだと講習を受けたり高位ランクの冒険者と森に行って実習をしなければならなかったりするので面倒だしな。Eランクからでいい。
「では登録料の銀貨一枚のお支払いをお願い致します」
「⋯⋯はい」
タグに銀貨一枚かぁ⋯⋯時々学校帰りに町で買い食いをしていたのでお金は少しだけ持っている。だが今後の為にも王都で宝石類を換金するべきだな。小さな町では換金できない事が多いし。
「タグをどうぞ。このタグは身分証明書になりますので肌身離さず身に着けておいて下さいね。他の町や他国に入る時に必要になりますから。では冒険者活動これから頑張って下さいね」
「ありがとうございました」
私は前世振りに手にしたギルドタグを首から掛けて掲示板に向かった。




