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南雲提督の冴えたやりかた 第二話 Two-front war

 ミッドウエイ現地時間午前5時までに、八戦隊から4機の零式三座水偵、赤城と加賀から艦攻がそれぞれ一機発艦し6本の索敵線を作った。

 それに加え対潜哨戒のため九五式水偵が艦隊周辺を警戒する。

 続いて直掩の零戦が各空母からそれぞれ3機発艦し、艦隊上空の守りに就いた。


 「草鹿君、先ほどの話ではミッドウエイ攻撃が強襲になった場合、ミッドウエイ穂航空戦力の殲滅は望めないかもしれないとなっていたね。

 現状敵空母戦力がミッドウエイ方面で確認されていないわけだが、ならばここは確実を期すためにミッドウエイ再攻撃をすべきではないかと考えるのだが、君はどう思うかね」

 「長官、現状敵空母の存在は確認されておりませんが、あくまでも未確認というだけでありまして、索敵の結果如何では敵空母への攻撃も考えねばなりません。

 当初の計画通り第二次攻撃隊は対艦装備を維持したまま、ミッドウエイ空襲隊の戦果報告を待って判断すべきかと考えます」

 事前の作戦計画では、敵機動部隊の有無に関係なく一航戦の艦攻は雷装、二航戦の艦爆は対艦用の徹甲弾搭載とされていたため、既に各空母の格納庫ではそれぞれ対艦兵装の装着が進められていた。

 『それでは何も変わらないんだよ、前世と同じ轍を踏むことは許されん』

 南雲は歴史を変えるための一歩を踏み出した。


 「大石君確認なのだが、ミッドウエイ方面での敵空母機動部隊の出現についてだが、作戦計画ではどの程度の規模と予測していたかな」

 「2隻ないし3隻の空母の出現が予測されております。ヨークタウン級2隻とレキシントン級1隻が考えられますが、レキシントン級はハワイ沖において伊号第六潜水艦による攻撃で撃破されており、その修理のため今回の作戦には間に合わないとの予測がされております」

 「敵空母2隻が予測されるのなら、第一機動部隊の二個航空戦隊のうちどちらか一方を当てれば十分なのではないか。

 空母は飛行甲板に損傷を与えれば、被害の程度にもよるが概ねそれ以降の航空戦闘は不可能になる。

 山口君の二航戦の艦爆隊を敵空母の出現に備えさせ、一航戦の艦攻は800キロ爆弾に替えてミッドウエイ飛行場の破壊に向かわせるべきではないかな」

 「既に艦攻の一部は魚雷の装着を終えておりますので、爆装に転換するには時間がかかりますが」

 「艦攻のうち赤城、加賀それぞれ6機、計12機は雷装のまま残し、それ以外を爆装とする。

 合計29機の艦攻部隊を第二次空襲隊とし、準備が整い次第ミッドウエイ攻撃のため出撃、護衛として赤城、加賀よりそれぞれ3機の戦闘機を付ける」

 南雲は大石中佐の返答に対し、有無を言わさぬ形で命令を発し、

 更に、

 「二航戦の戦闘機は艦隊直掩任務から外し母艦で待機、敵機動部隊出現に備えることとする」

 と続けた。

 『最初の一手は指した、そしてこれからが本番だ』

 南雲忠一中将によるミッドウエイ海戦の歴史改変が、今ここから始まる。

 

 現地時間午前6時15分、一航戦の2隻の空母から第二次ミッドウエイ空襲隊が出撃、その15分後には第一次空襲隊によるミッドウエイ島に対する爆撃が開始された。

 午前7時、友永中尉による「カワ・カワ・カワ(第二次攻撃の要あり)」を一航艦で受信した。

 それから5分も経たないうち、ミッドウエイの米軍飛行隊による南雲機動部隊への攻撃が始まった。

 一航艦は一航戦の2隻がそれぞれ6機の母艦戦闘機隊に加え、分乗していた六空の21機の零戦、二航戦の待機中のものを除く零戦6機、合計39機の戦闘機をローテーションを組んで艦隊の直掩に宛てた。

 戦闘によって消耗した弾薬と燃料の補給は、雷装艦攻を格納庫に収容したため飛行甲板が空になっている一航戦の空母が担えたため、第一機動部隊は常時途切れることなく一定の戦力を艦隊上空に保持することができた。


 午前7時半、利根4号機より敵艦隊発見の一報が入る。

 南雲は敵艦隊に向け二航戦の蒼龍に配備されていた試作高速偵察機十三試艦上爆撃機2機の出撃を、吉岡次席航空参謀に命じる。

 更に一航戦、二航戦で待機していた対艦装備の攻撃隊に出撃命令を出す。

 一航戦、二航戦からは8時過ぎまでに艦爆36機、艦攻12機、戦闘機16機からなる第三次攻撃隊(敵機動部隊に向けての第一次攻撃隊)が出撃、先行する2機の十三試艦爆の後を追って敵艦隊に向かった。

 8時半には第三次攻撃隊の出撃時点ではまだ発見されていなかった米軍空母の存在が確認され、攻撃隊隊長小林大尉に一報が送信される。


 現地時間午前8時20分、第一機動部隊から出撃した第2次攻撃隊はミッドウエイ島に対する攻撃を開始、30発近い800キロ爆弾で飛行場滑走路を破壊する。

 米軍は第二次攻撃隊の発見が遅れた上、戦闘機部隊の大半が地上にあって迎撃に間に合わず、日本軍機の跳梁を許してしまう。

 同時間帯に飛行場の復旧にあたっていた補修作業部隊は、退避が遅れ人員機材に大損害を受けてしまう。


 第三次攻撃隊の発艦中に、ミッドウエイ空襲隊が帰還してくる。

 南雲は航空参謀に命じ、損傷機と戦闘機について早期に発艦作業が終わり飛行甲板が空になっている一航戦2空母への着艦を優先させる。

 二航戦も第三次攻撃隊の発艦作業後直ちに攻撃隊の収容を進め、午前9時過ぎには前ての空母が着艦作業を終了する。

 第一機動部隊が第三次攻撃隊の発艦作業と第一次攻撃隊の収容にあたっていた時間、艦隊に対しミッドウエイからの航空攻撃が断続的に続いていたが、戦闘機の護衛も無く分散しての攻撃となったため迎撃隊は多数の爆撃機を撃墜、米軍飛行部隊は壊滅的損害を受けている。

 収容を終わった第一次攻撃隊の戦闘機のうち半数は、着艦後直ちに整備補給に入り、収容が終わった午前9時過ぎに艦隊直掩のため出撃した。




 




 


 

2話で終わらせるはずだったんですが、3話まで続きます。

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