SSR ダンジョン[無限回廊]
私達は[IRE]として本格的に活動を開始した。
私はロンさん達ハーフリングを率いて毎日のように旧ハグブライト村跡地へ向かい森を抜ける。向かう途中で見つけた魔物や、この世界独自に生息する野生の獣であるゴブリンやホーンラビット、バンプボアなどを狩り、まだ魔素に侵食されていない森で果実や野草などを採取する。
地上の生態系をそのままダンジョンに移植するためには野生動物や植物なども採取して持ち込む必要が有るのよね。持ち込んだ物は全てダンジョン入口の境界線で概念化され、その時に取得された概念データがダンジョン内で具現化される。
概念化された生物や植物は境界線で遍くデータ化され素材化されるらしい。詳しい仕組みを考えてしまうと、ダンジョンに入るのが怖くなるから考えるのは止めましたw
「皆さん今日もお疲れ様でした〜♪」
「「「「「 お疲れ様で〜す♪」」」」」
拡張した仮眠室(もはや寮だねw)に全員分の個室を用意したんだけど、ハグブライト氏族の皆さんは毎日こうして共用スペースで飲み食いしてそのまま寝てしまう事がほとんどである。風呂も皆で入りたいと言われてサウナ方式を採用してある。どうやら湯船に浸かる習慣は馴染まないみたい。皆サウナで汗を掻いて水で流すのが最高の贅沢らしい。流石に男子と一緒にお風呂は勘弁願いたいので私だけは個室でお風呂に入っている。
「ヨーダさん、ダンジョンの運営状況はどんな様子なのでしょう?そろそろ我々にも挑戦させては頂けませんか?」
今日の夕飯は、カカルさんの得意料理でもある"ポトフ"だ。様々な根菜とブロッコリーっぽい何かとか、バンプボアを捌いて作ってくれた腸詰めが贅沢に入っている。翻訳的には"ポトフ"と訳されてるけど、何かちょっと違うような… まあ、メッチャ美味しいから別に良いんだけどね?
「ハフハフ…ダンジョンなら別にいつでも入れますよ?皆さんが村の復興を優先したいんじゃないかと思って提案しなかっただけですし… これ旨いですね。カカルさんの料理最高です♪」
私は特に食事の必要は無い謎生命体なんだけど、食べられないわけでは無いので食べる。美味しい♪
「そうだろぅ?ヨーダちゃん。私しゃいつかハグブライト村で居酒屋をやりたいんだ…畑仕事を終えた村の奴らが息抜きしに気軽に寄れるようなさ、安くて旨い料理と地酒で労ってやれるような店にするつもりだよ?」
「おお、そりゃ良いな!ぜひやってくれよ、カカル。
そしたら毎晩通うからよ♪」
「はいはいはい!自分をその店で雇ってほしいであります!カカルさん、お願いします!」
「はあ?キキリはダメ!あんたは先にマトモな料理を作れるようになりな!だいたい、そんな軍隊みたいな喋り方する奴がいたら息抜きにならないだろ!」
「え〜…毎日カカルさんの料理がタダで食べられると思ったでありますが…ダメでありますか…」
「当たり前だろ!カカルに集る気マンマンじゃねーかっ!そりゃダメだ〜…働きにきた奴が一番食うんじゃカカルが破産しちまうぞ!アハハハハハハハ…」
「あの…ダンジョンの、その……」
「何だよロン、ちゃんと食ってんのか?少しはホンを見習って、たくさん食べなきゃ太らねぇぞ、なあカカル?」
「いや、ホンは食べ過ぎだよ!ロンは食べなすぎ!」
「違ぇねえ!ワッハッハッハッ…………」
毎日こんな感じで賑やかな食卓を囲むハーフリング達は、元々陽気な種族だったらしい。何にせよ、皆が未来を見据えている事が嬉しくて、私も毎晩お相伴していたりするw 因みに酒造りはカンさんが育てた麦の麦芽を使っているらしい。ダンジョン入口の裏が麦畑になっているのを見たときは流石にちょっと驚き呆れたもんです…そう、皆と初めて出会ってから既に半年が過ぎてますw
………
……
…
◆
──コントロールルーム
「おう、ヨーダ。また皆と飯食ってたのか?」
メインコンソールを見ながらカチャカチャと数字を入力していたノーマが振り返る。上層の鉱物資源の採掘ポイントの数値を下げていたみたいだ、プレイヤーを中層へ誘い込むためだろうね。
「うん。今日のポトフも美味しかったよ〜♪
資源パラメーター弄ってたけど、攻略状況はまだ芳しくないの?国軍が投入されたんでしょう?」
「まあ、いくら国軍が投入された所で大してレベルアップも出来ないようなカスばかりじゃな… だいたい地上に出てる魔物を放置してダンジョンから鉱物資源だけを掠め取るようなマネしてんだぜ?」
「あ〜、ヘタレプレイヤーあるあるねw」
「それに、どうやら国としてはこの地域全体を見捨てて領土を縮小しようとしてるみたいでさ。毎晩このハイドシャイニー地方の領主の所に蝙蝠で偵察してるんだけど、領主が国のお偉いさんと導声器─電話みたいな物─で毎晩のように口論してるんだよ…昨夜なんて「我が領を見捨てるおつもりか!」とか導声器越しに叫んでたしな」
「じゃあ見捨てられないようにするか、はたまたこの地方を独立させちゃったり?あ、それも良いかも!」
「はあ?そりゃちょっと突飛すぎるだろw」
「本当に独立するのは無理でもさ、要するに独立されちゃうかも〜とか、手放したら大損だ〜とか思わせれば良いわけでしょ?まあ私的には放棄された後にハーフリングとビッグフットだけの国を建ててくれた方が都合が良いんだけどね〜…」
「簡単に言うけど、資源、軍事力、後は肝心の人口が揃わなきゃ国なんて建たないだろ〜?」
「資源はダンジョンから供出出来るでしょ?軍事力はダンジョンで鍛えてやれば大幅に強化出来るし… 後は肝心要の人口かぁ〜結局人間が一番多いしね…人族を全て排除しないで互いに共存共栄出来るような環境になれればな〜…」
「ん〜?……あ、出来るかもしれない、それ」
「え?」
「うん。要するに人間が違う種族になっちまえば良いんだよ。そしたら皆仲良し亜人種じゃん?素晴らしき哉、共存共栄バンザイ!だろ?」
「え?………何言ってんの?頭大丈夫?ノーマ…」
「お前にだけは言われたくないセリフNo.1だよ?それ…実はさ、まだ内緒にしようと思ってたんだけどな、ダンジョンレベルがカンストしたんだ。 お前らが毎日のように魔核を持ってきてくれたお陰だな♪で、これが出た…見てみ?」
ニヤニヤしながら席を立ったノーマの代わりにコンソール画面の前に座る。画面にはダンジョンステータスが表示されていた…
─────────────────
SSR ダンジョン
名称 :無限回廊
レベル :Lv10(max)
階層数 :100
入場上限:1000人(max)
転移門数:100
DP使用:可
種族:進化可(New)
>(H)igher
(E)lf
(Dw)arf
(B)easter
(Dr)agoner
ジョブ:設定可
>(Fi)ghter
(A)rcher
(M)age
(C)rafter
(Fa)rmer
──────────────────
「ぅえーっ!?何これ、何これ?!」
「な?驚いただろ?今まで使用不可だったダンジョンポイントが使える様になったんだぜ?使用すれば種族進化出来るようになったみたいだな。 人間ならハイヒューマンとか、ビッグフットならジャイアントとかか? ハーフリングは何になれるんだろうな?」
「いやいやいや…無いわ〜…」
「え?ハーフリングの進化先が?ダンジョンポイントを貯める必要は有るけど、人間から上の種族に進化出来るんだからハーフリングも何か有るだろ〜…けど、ちょっと頭オカシイよな?オワタさんのゲーム脳には驚いたよ。これ見た時はちょっと笑っちまったw」
「違う、そうじゃない!」
「ん〜? じゃあ何に驚いてたんだよ?」
「選択ジョブの中に "罠師" が無いっ!!!」
「………そこかよ」
ノーマは深く深〜い溜息を吐いた…
だって私のジョブが無いなんて悔しいじゃんね?




