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6話
でも、その空気は長く続かなかった。
「一生くんってさ、誰とでも仲良くするよね」
昼休み。
クラスの中心にいる女の子が、笑いながら言う。
「谷川さんとも、仲いいんだ?」
その言い方に、少しだけ棘がある。
「別に普通だよ」
関根くんは、気にしてない様子で答える。
「へえ」
その“へえ”が、妙に引っかかる。
その日から、少しずつ。
「真面目な子ってさ、意外と要領いいよね」
「わかる〜」
聞こえるような、聞こえないような声。
直接じゃないのが、余計にきつい。
(気にしないでいい)
そう思うのに、関根くんと話してるときだけ、視線を感じる。
(……やだな)
だんだん、言葉が出なくなる。
「谷川?」
話しかけられても、
「うん」
「別に」
短くしか返せない。
「なんかあった?」
心配そうに聞かれても、
「何もないよ」
笑ってごまかすしかない。
でもその笑顔は、前よりずっと固くなっていた。
そして、席替え。
「じゃあ、ここね」
くじで決まった新しい席。
関根くんとは、教室の反対側。
(遠い)
たったそれだけの距離なのに。
休み時間も、自然に話せなくなった。
向こうは友達に囲まれていて、
こっちは、元の静かな自分に戻るだけ。
(これでいい)
(これが、普通)
そう思おうとするのに、時々、視線を感じる。
顔を上げると――
関根くんと目が合う。
でも、すぐに逸らしてしまうのは、美桜の方だった。




