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エピローグ

春。


大学の入学式の帰り。

駅まで続く桜並木。


人の流れの中で、ふと、



目が合う。



一瞬。


でも、それでわかる。


「……谷川?」


少し低くなった声。


「……関根君?」


名前を呼ぶだけで、時間が一気に戻る。


「久しぶり」


「……うん」



桜の見えるベンチに座る。

最初は、少しぎこちない会話。

でも、沈黙があっても、もう苦しくない。


「……あのさ」


関根くんが口を開く。


「卒業式のとき」


その一言で、全部思い出す。


「あのあと、追いかけようとした」


美桜が顔を上げる。


「でも、できなかった」


少しだけ笑う。


「今さらだと思って」


「……うん」


「でもさ」


視線が、まっすぐ向く。


「ずっと引っかかってた」


短く、でもはっきりと。

美桜は、小さく息を吸う。


「……私も」


「ちゃんと話せばよかったって、思ってた」


少しだけ、笑う。


「同じだね」


少しの沈黙。

でも、今度は逃げない。


「……今なら、言える」


関根くんが言う。


「好きだった」


静かに。


「ずっと」


余計な言葉はない。

時間が止まる。


美桜は少しだけ下を向いて、それから顔を上げる。


「……私も」


声が少し震える。


「好きだった」


やっと、同じ場所に届く。

関根くんが少しだけ笑う。


「じゃあさ」


「今からでも、遅くない?」


美桜も、少し笑う。


「……うん」



風が吹く。

桜が、静かに揺れる。

今度は、ちゃんと、同じ方向を向いている。

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