第60食 お好み焼き
シャロ達四人は再び第9層の不気味な『闇の世界』を歩き始めていた。
空も遠くの景色もまるでそこだけ世界から切り取られたかのように黒く、歩けど歩けど景色が変わらない。
ただ沼地がどこまでも続いているだけだった。
「……珍しいな、アグニ。いつものお前なら『景色が変わらなくてつまんない』とか『飽きた』とか、どーのこーの文句言うところだろうに」
無言で歩き続けるアグニを見て、ヨシュアが不思議そうに声をかけた。
「このフロアは流石にヤバい感じがビンビンするんだゾ。あのスライムみたいに、どんな滅茶苦茶な魔物が飛び出してくるかと思うト……」
アグニは拳を握りしめて周囲に鋭い視線を配っている。
「でも、本当にこのフロアは不気味だね……真っ暗なのに、真っ暗じゃない、不思議な場所……」
シャロが自分の腕をさすりながら呟いた。
「なんといっても、まだ誰も到達したことも無い深層だからな。何が起こるか本当にわからない。気を引き締めて行こう」
先頭を歩くエミルが、三人に改めて警戒を呼びかける。
***
さらにしばらく歩いていると、沼地が無くなり、代わりに人工的な『何か』が乱雑に立ち並んでいるのが見えてきた。
「……あれは」
エミルが足を止める。
見渡す限りの荒野の大地に、大小、形も様々な「無数の剣」が、まるで墓標のように突き刺さっていたのだ。
あるものは人間の身長ほどもある巨大な大剣、あるものは錆び付いた短剣、またあるものは奇妙に蛇行した刃を持つ異形の剣、それらが無数に大地を埋め尽くしている。
「なんだか薄気味悪い場所だナ……剣のお墓みたいだゾ」
アグニが周囲を見回しながら、嫌そうに顔をしかめる。
「剣の墓場……まさにそんな言葉が似合う場所だ、気を付けろ、何が出てくるかわからんぞ」
エミルが剣の柄を固く握り締め、警戒を強める。
「来るぞ!!魔物の気配だ!!」
ヨシュアの叫びと同時に、無数の剣が突き刺さる荒野の奥から、ガチャリ、ガチャリと金属が重く擦れ合う音が響き始めた。
重厚なフルプレートアーマーを身に纏い、手にはそれぞれの身の丈に合った巨大な剣や長剣を携えた、禍々しい姿の騎士たち。
しかし、その姿を見た4人は、思わず言葉を失った。
「首がない……!?」
シャロが驚愕の声を上げる。
そう、現れた4体の騎士たちは、首から上がすっぽりと存在していなかったのだ。
「デュラハンか!!」
ヨシュアが忌々しそうにその魔物の名を叫んだ。
デュラハン、首のないアンデッドの魔物で、鋭い剣の腕を持つ厄介な魔物だ。
4体のデュラハンは大地を蹴り、恐るべき速度でシャロたちへと向かって突進してきた。
「くっ!来るぞ!!迎撃態勢!!」
エミルが前衛に飛び出し、剣を構える。
直後、凄まじい重力を伴ったデュラハンの大剣が、風を裂いてエミルへと振り下ろされた。
ガアアアンッ!!
エミルが剣でなんとか受け止めるが、その一撃の重さに足元の地面が大きく陥没した。
「なっ……なんて重い一撃だ……ッ!」
「オラアッ!!」
アグニが横から魔力を纏った拳でデュラハンの胴体に殴りかかるが、デュラハンは重装備の鎧からは想像もつかないほど素軽い動きで、アグニの拳を剣の腹でいなした。
ヨシュアが後方から氷の魔法を何発も放つが、デュラハンたちはその素早い魔法弾を大剣で易々と斬り落としていく。
シャロが腕から無数の茨を生やして拘束しようとするものの、茨が巻き付くよりも早く鋭い刃が植物の蔓をあっという間に細切れにしてしまった。
「くそっ……!強い……っ!」
エミルがギリギリで刃を避けながら、冷や汗を流す。
4人がそれぞれ1体ずつのデュラハンと対峙する形となったが、状況は圧倒的に不利だった。
デュラハンたちの剣の腕は、まさに達人のそれだった。
一切の無駄がなく、流れるような連撃の中に、致命的な一撃が隠されている。
「そこだッ!!」
エミルが雷の魔力を最大まで高め、渾身の突きを放った。
しかし、デュラハンはそれすらも予測していたかのように、自らの大剣を振りかぶり、エミルの剣の刃を側面から思い切り叩き斬った。
パキイイインッ!!!!
清冽な金属音が、荒野に響き渡った。
「なっ……!」
エミルの瞳が、信じられないというように見開かれた。
彼女が長年苦楽を共にし、どんな強敵の攻撃にも耐えてきた愛用の名剣。
それが、デュラハンの斬撃によって、ポッキリと、無残にも折れ飛んでしまったのだ。
「剣が……!」
驚愕で動きが止まったエミルに対し、デュラハンは容赦なく次の凶刃を振り下ろしてきた。
「くっ……!!」
エミルは間一髪で真横に飛び退き、強烈な一撃を回避した。
しかし、折れた剣の柄だけを握りしめ、地面を転がった彼女の顔には、かつてないほどの絶望の色が浮かんでいた。
流石に剣を失っては、剣士である彼女に戦う術はない。
武器を失ったエミルは、この強大なデュラハンを前にして、ただの無力なエルフに過ぎなかった。
「……逃げるしかない!!」
エミルは決断すると、折れた剣を投げ捨て、無数の剣が突き刺さる荒野の中へと全力で走り出した。
デュラハンは獲物を見逃すまいと、重い足音を立てながら猛烈なスピードでエミルを追いかけてくる。
「ハァッ……ハァッ……!!」
背後から迫る死の恐怖に追われながら、エミルは必死に考えをめぐらせた。
どうする?このままでは確実に追いつかれて斬り捨てられる。
仲間たちもそれぞれの相手で手一杯で、助けに入ってくる余裕はない。
デュラハンが迫る中、必死に剣を探して荒野を逃げ惑うエミル。
体力も限界が近づき、足がもつれそうになったその時だった。
不意に、彼女の視界の端で「それ」が静かに自己主張をした。
無数の剣の中に埋もれるようにして突き刺さっていた、一本の剣。
刃は鈍い銀色で、柄の部分は黄金の上に黒い皮で丁寧に巻かれている、不思議な引力を感じる剣。
「これは……っ!」
まるでその剣に導かれるように、エミルは無意識に手を伸ばした。
柄を握りしめた瞬間、彼女の手に不思議な感覚が走った。
それは、長年使い込んだ相棒のように、すっと掌に馴染む感覚。
エミルが力を込めて引っ張ると、驚くほどすんなりと、その剣は固い大地から抵抗なく引き抜かれた。
刃にはサビ一つなく、冷たく澄んだ光を放っている。
その重量バランス、グリップの感触、すべてがエミルのために作られたかのように完璧だった。
「……!」
感傷に浸る暇もなく、背後からデュラハンが、トドメとばかりに大剣を上段から叩き割るように振り下ろしてきた。
「やらせるかッ!!」
エミルは引き抜いたばかりの新しい剣を両手で構え、振り下ろされるデュラハンの大剣を受け止めようとした。
ガアアアァンッ!!!!
凄まじい衝撃がかち合うものの、エミルのその剣は刃こぼれ一つすらせず、しっかりとその攻撃を受け止めた。
「……信じられない……手足のように動かせる……不思議と手に馴染む……!!」
エミルは驚きと共に、確かな反撃の手応えを掴んだ。
この剣なら、いける。
「おおおおおおっ!!」
エミルは新しい剣に、自身が持つありったけの雷の魔力を叩き込んだ。
すると、剣の刃が眩いばかりの青白い稲妻を纏い、バチバチと激しい放電を始めた。
そして、デュラハンに向かって、渾身の一撃を放つ。
「《ライジング・エクスカリバー》ッ!!」
デュラハンは咄嗟に大剣を盾のように構えて防御の姿勢を取った。
ガキインッ!!!
しかし、デュラハンの持つ大剣は、エミルの一撃によって真っ二つに切断されてしまったのだ。
自らの武器を両断され、頭のないデュラハンが硬直する。
その隙を、今のエミルが見逃すはずがなかった。
「これでトドメだああああッ!!!!」
エミルは剣を高く掲げ、雷の魔力を極限まで圧縮した一撃を、真っ直ぐに縦へ振り下ろした。
ズバアアアアンッッ!!!!!!
青白い雷光の柱が大気を切り裂き、デュラハンの分厚い重装甲ごと、完全に、そして見事に、その身体を真っ二つに両断した。
両断されたデュラハンの身体は、金属音を立てて左右に崩れ落ち、動かなくなった。
「はぁ……はぁ……倒し……た……」
エミルは肩で息をしながら、手に残るその剣を見つめていた。
エミルが窮地を脱したまさにその裏側で、他の3人もそれぞれの戦いに決着をつけようとしていた。
「はぁ……はぁ……やっと捉えたよ!」
シャロはデュラハンの一瞬の隙を突き、茨でがんじがらめに縛り付けていた。
デュラハンも必死に暴れるが、その拘束は解けることはない。
「これで終わりだッ!!《ネイチャー・ブレス》!!」
シャロは口を大きく開け、緑色の炎のブレスを放ち、身動きの取れないデュラハンを真正面から飲み込んだ。
炎は分厚い鎧ごとデュラハンの身体をドロドロに溶かし、完全に焼き尽くして消滅させた。
「ったく……手間取らせやがって……!」
ヨシュアの方も、デュラハンの身体を凍り付かせ、動きを封じていた。
凍り付いた身体は、もう指一本動かせないようだ。
「食らえっ!《インフェルノ・エクスプロージョン》!!」
ヨシュアは凍結したデュラハンの中心部めがけて、高圧縮の爆発魔法を放つ。
大音響と共に、氷漬けのデュラハンは鎧ごと粉微塵に破壊され、氷の破片となって飛び散った。
最後まで最も苦戦していたのがアグニだった。
武器を持たず、手数も少ない彼女にとって、技量の高い剣士は最も相性が悪い。
「このっ……アタシの拳を食らいやがれッ!!」
デュラハンが大上段から剣を振り下ろしてくる中、アグニは自身の右拳に、ありったけの魔力を集中させ、渾身の右アッパーを叩き込んだ。
バキイイィンッ!!!!
拳と強固な剣が激突し、凄まじい衝撃波が周囲の空気を震わせた。
アグニの魔力を凝縮した拳の硬度は、デュラハンの大剣の硬度をわずかに上回り、根元から無残にへし折れた。
「これで……最後ダアアアッ!!!!」
武器を失い、バランスを崩してよろめいたデュラハンのガラ空きの胴体へ向けて、アグニはもう片方の左拳に全魔力を込めた強烈なストレートを打ち込んだ。
「《超オーラ・ナックル》ッ!!!!」
ドゴオオオッ!!!!!!
アグニの拳がデュラハンの鎧を見事に突き破り、猛烈な勢いで後方へ吹き飛ばされたデュラハンは、そのまま地面に倒れて動かなくなった。
「ふうぅ……!やったゾ……!」
アグニは血の滲む拳を握りしめ、荒い息を吐きながら勝利の笑みを浮かべた。
4体の強敵、デュラハン。
それぞれが死闘を繰り広げ、しかし、彼らは誰も倒れることなく、見事にこれを全滅させてのけたのだった。
「……みんな、無事か」
エミルが新しい剣を下げて、3人のもとへと歩み寄る。
「なんとかナ……」
アグニが肩で息をしながら答えた。
「全く厄介な相手だったよ……あの素早さと剣の腕前……第九層の魔物は本当に規格外ばかりだ」
ヨシュアが杖を地面に突き立て、荒い息を整えていた。
「それよりエミル、その剣は?」
シャロがエミルの握っている見慣れない銀色の長剣を見て不思議そうに首を傾げた。
「ああ。さっきの戦いで僕の剣が折られてしまってな、代わりにこのエリアに突き刺さってる剣を1本頂戴したんだ」
エミルはそう言って、再び剣を鞘から少しだけ引き抜いて見せた。
刃こぼれ一つない、鏡のように澄み切った刀身が暗い空の下で鈍く光る。
「これが驚くほど軽くてな、手にしっくりと馴染んで凄く使いやすいんだ。デュラハンの分厚い大剣と奴の鎧を両断できたのも、この剣の力が大きい」
「へぇ、そんなにすごい剣がそこら辺に刺さってたのかヨ!アタシもちょっと探してみようかナ!」
アグニが目を輝かせて周囲の剣を物色しようとする。
「やめとけ」
ヨシュアが、地面に刺さっている他の剣を杖で軽く叩きながら分析する。
「こんな深層にある剣なんて、どんな呪いがかかってるかわかったもんじゃない。エミル、その剣もだ。鑑定してやるから持ってこい」
エミルは素直に頷き、ヨシュアに剣を預けた。
「《スキャン》……!」
ヨシュアが目に魔力を集中させると、じっくりとエミルの剣を観察する。
シャロとアグニも、固唾を呑んでその光景を見守る。
もしこの剣が呪われてる物だったら、一体どんなリスクがふりかかるか分かったもんじゃない。
しばらくの間、ジッと剣を見つめていたヨシュアだったが、やがて大きく息を吐いた。
「大丈夫、呪われてはいないようだ。普通に使っても問題ないだろう」
「本当カ!良かったなエミル!」
ヨシュアのお墨付きをもらい、アグニが自分のことのように嬉しそうにエミルの背中をバシバシと叩いた。
「ああ、本当に良かった……流石に前の剣は、度重なる激戦で限界だったからな。愛着はあったが、遅かれ早かれ折れる運命だったのかもしれないな。ここでこの剣に出会えたのは、本当にラッキーだった」
エミルは新しい剣の柄を愛おしそうに撫でた。
剣士にとって、自分の身を預ける剣は命そのものだ。
それが最高の一振りとなれば、喜びもひとしおだろう。
「それじゃあエミルの新しい剣のお祝いもしなきゃね!みんな、お腹空いてるでしょ!?」
「おおっ!メシの事ならいつでも大歓迎だゾ!!」
「賛成だ。あのデュラハンとの戦いで、かなり体力と魔力を消費したからな」
「ふふっ、ありがとう。シャロの飯は楽しみだ」
シャロはデュラハンの鎧に手を触れ、いつものように魔力を流し込む。
デュラハンの鎧が緑の光に包まれ、やがて芽が出て、食材が実り始めた。
今回生え揃ったのは、丸々と太った『キャベツ』、新鮮な『卵』、立派な『やまいも』、黄金の『小麦』、真っ赤な『トマト』、ツヤツヤの『リンゴ』、『玉ねぎ』、『人参』、『にんにく』、爽やかな香りの『レモン』、数種類の『香辛料』。
そして最後は、立派な肉付きの『豚』だった。
シャロは素早く作業に取り掛かる。
小麦を挽いてよりきめ細かい粉にし、たっぷりのキャベツをザクザクと刻んでいく。
豚は解体し、脂身と赤身のバランスが良い豚バラ肉を薄切りにしておく。
次にシャロはリンゴをすりおろし、トマト、人参、玉ねぎ、にんにくを細かくペースト状に擦り潰していく。
それらを鍋に入れ、少量の水を加えて火にかけながらコトコトと温める。
野菜と果物の甘い匂いが立ってきたところで、各種香辛料、砂糖、塩、レモン汁、そして醤油を加えて、さらにトロリとするまで煮詰めていく。
しっかり味が馴染んだら、これを清潔な布でギュッ!とこす。
野菜の繊維を取り除き、残った滑らかでドロリとした黒褐色の液体。
甘酸っぱくもスパイシーで、奥深い旨味の詰まった『特製ソース』の完成だ。
今度はシャロは別の器に新鮮な卵の『卵黄』だけを落とし、そこにレモン汁と塩を少々加えた。
ここに、少しずつ油を加えながら混ぜ、器の中の液体を攪拌する。
少しずつ油を注いでいくと、液体が乳化現象を起こし、次第にもったりとしたクリーム色のソースへと劇的に変化した。
これでもう1つの『特製ソース』も完成だ。
次は大きめのボウルに小麦粉と水を加えてよく混ぜ合わせ、ダマがなくなったところで、卵と粗く刻んだ大量のキャベツを放り込む。
すりおろしたやまいもを加え、空気を含ませるように底からふんわりと混ぜ合わせる。
シャロは平らな鍋に油を引き、十分に熱したところで、生地を丸く分厚く広げた。
ジューーーッ!という派手な音が鳴り響き、キャベツの焼ける良い匂いが上がる。
その上に、生地の上部を覆い隠すように豚肉を敷き詰める。
下側がきつね色にこんがりと焼け、豚肉の方によい具合に火が通ってきたところでヘラを使い、見事な手首の返しで、分厚い生地を空中で見事にひっくり返した。
ジュワアアアッ!!
今度は鉄板に直接触れた豚肉から大量の脂が溶け出し、その脂で生地の表面がカリッカリに揚げ焼き状態になっていく。
裏側の豚肉がカリカリに焼き上がり、中まで火が通ったのをヘラで押して確認すると、シャロはそれを大きな木のお皿に移した。
仕上げに『黒い特製ソース』をたっぷりと塗って、最後に『白い特製ソース』を綺麗に網目状にかける。
熱々の鉄板から立ち上る湯気と共に、ソースが焼ける強烈な香ばしい匂いが弾けた。
「お待たせ!特製『お好み焼き』の完成だよ!!」
「うおおおおッ!!なんだこの破壊力抜群の匂いはッ!!」
アグニが目をひん剥きながら、フォークを使って熱々のお好み焼きを豪快に切り分け、ハフハフと大口で頬張った。
「……んッ!!んんんんまあああッ!!!」
アグニはたまらず足をバタバタとさせて喜んだ。
「すっげぇ!外側は豚肉がカリッカリで香ばしいのに、中は信じられないくらいフワッフワだ!それに、この黒いソースと白いソースがたまらなくあうゾ!!」
「また、見たこともない珍しい料理だな」
ヨシュアが興味深そうにお好み焼きを切り分ける。
「パンケーキのような見た目に似ているようで、中に野菜と肉がたっぷり入っていて全く別物の料理だな。なんだこれは?」
エミルもゴクリと喉を鳴らした。
「ふふっ、お好み焼きって言って、これも東洋の料理なんだよ!とっても美味しいから、熱いうちに食べてみて!」
シャロが満面の笑みで勧める。
「どれ……」
二人も熱々のお好み焼きを口に運んだ。
「……美味い!」
「……っ!これは……想像以上の美味さだ……!」
エミルとヨシュアが、揃って目を見張った。
「このパンの部分と野菜と肉、そしてソース、全てが美味い……ヤバいな、これは酒が止まらなくなる味だ」
ヨシュアがすぐさまワインを飲み干す。
「これもいくらでも食べれてしまいそうだな……!」
エミルもすっかりこの「東洋のパンケーキ」の虜になり、夢中で食べ進めている。
不気味な黒い大地が広がる第9層の片隅。
そこだけは、ジュージューとお好み焼きの焼ける心地よい音と、ソースの焦げる最高に幸せな香りで満たされていた。
未知の魔物からのプレッシャーを一時忘れ、四人は笑顔で大満足の食事の時間を楽しむのだった。
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