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13_ダンスパーティーなんて無理(3)

フレスベルは、ほっぺたが落ちそうだった。

「…っ!」

ドライフルーツというのだろうか。

いろんな味のドライフルーツがケーキに混ざっている。

クォーツは、にっとわらってスプーンで白いものをすくってケーキにつけた。

「クリームをホイップしたものだよ」

ものめずらしそうにするフレスベルに説明する。

「フレスベル、食べすぎを気にする、年頃の女の子にはよくないのかもしれないが、今日だけは特別にお出ししよう」

「ありがとう」

フレスベルは、クォーツのしゃれにクスクスと笑いながらたべた。

「~!」

フレスベルはひとかみひとかみをかみしめる。

(なくならければいいのに…)



クォーツは、ニコニコしながら、ティーカップに手をかけ、紅茶を飲んだ。

自分が、目的もなく、女生徒を研究室に招き、二人きりになっていることに若干の罪悪感を感じながら。

(下手したら職権濫用だな…)



「フレスベル、テストが終わってからは、なにか困ったことはなかった?」

クォーツは、話題を振る。

「ええと…町に行ったら道に迷ったかしら」

フレスベルは、行ってからはっとする。

「で、でもっ、本屋さんに行ったりして楽しかったわ!教会にもいったわ…」

フレスベルは、サラマンダーのことを思い出して、しゅんとした。

「そうなんだ、教会か。どうだった?」

クォーツは、聞いてもフレスベルが困らなさそうなことを聞いた。

「とってもきれいだったわ。お祈りの仕方が分からなかったけど、建物に入れただけで満足。」

フレスベルは柔らかく笑う。

(クォーツに、聞いてみようかな)

フレスベルは、サラマンダーがあの時言っていたことを、クォーツがどう思うか、気になった。

(あんまり、全部言わないように…)

「クォーツはさ」

「うん」

「お祈りって何のためにすると思う?」

「難しい質問だね。ぼくは精霊様を学問的にも国民規模の信仰の対象としても見ているから。」

クォーツは目をそらし、考え込む。

「最初は、精霊様と関係を保つためだと思ってするんだけど、

巡り巡って自分のためにしているんだなって思うことはあるよ」

(サラマンダーも自分のためって言ってた)

「そうなんだ。ありがとう。」

「フレスベルが、祈るとしたら、何のためにする?」

クォーツは、フレスベルに問う。

「ええっ、

お祈り…なんてきちんとしたことないから」

「いいんだよ、正しいお祈りをしたことがない君が、精霊に愛された子だったんだ。

むしろ、きみの祈りが正しいかもしれないよ?

もちろん、こんなことは、この部屋の外では言ってはいけないけれども」

「そうなのかしら。」

(正しい祈り…)

フレスベルはただ、約束を守らせてほしいと、願っていただけだ。

「わたしも、自分のためにすると思う。」

サラマンダーがフレスベルに言ってくれた、

「きみにはもうたくさんの光が見えてるはずだ」

という言葉を信じながら。

「そうか。当たり前のことに自分なりの答えを見出すことは僕は大事だと思ってる。

よかったら、知っているに越したことはないから、今度、お祈りの所作を教えるよ。」

「いいの?ありがとう。」

フレスベルは、自分に日常的な知識が欠落しているのを気にしていたので、嬉しかった。

(これからは、お祈りすることも許してもらえるのね)

フレスベルは、これからのことを考えると嬉しくなった。

クォーツも、ほほえんでいた。



「フレスベル」

クォーツが、真剣な声で名前を呼ぶ。

「は、はい」

フレスベルは少し身構える。

「ああ、ごめんよ、そんな大層な話じゃ…

いや、大層な話だ。」

「ええっ」

「創立祭のことは知っている?」

「ええ…その日はお休みなのよね」

「そうなんだけど…」

クォーツは目をそらす。

「パーティーがある」

「ええ、そうね」

クォーツはフレスベルを見つめる。



「きみのエスコートをしたいんだ」



「そうなのね」

(…?)

フレスベルは停止した。

(クォーツが、わたしの…?)

見る見るうちに顔が熱くなっていく。

「フレスベルはどう思ってる?」

クォーツはためらいながら、フレスベルが何も言わないので一歩踏み込んで話した。

「でも…」

(社交も何も知らないし、ドレスも靴も何も持ってない…)

(でも、でもじゃない)


「喜んで、お受けいたします。」


クォーツと、憧れの絵本みたいに、すごせるのかもしれないという期待にこころを動かされながら。

ありがとうございます。

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