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4月7日 晴れ

「ん、何、絵本?」


 りょうちゃんがうちの本棚から取り出したのはシンデレラの絵本だった。正方形の、15cm×15cmくらいの、幼稚園児が読むような本。

 授業で使うから買ったやつで、その講義をりょうちゃんは取っていない。


「そうそう、課題用の資料。あたしね、子供のころシンデレラにあこがれてたんだー。」


 絵本ならなんでも良かった。たまたま、平置きしてあったシンデレラの本を読んでみると、幼いころは好きだったなぁと思い出したのだった。


「へぇ、なんで?」

「友達はみんな白雪姫とか、茨のお姫様とかが好きだったんだけどね、お姫様って生まれたときからお姫様だよね。でもシンデレラはお姫様じゃないじゃん。あたしでも王子様が迎えに来てくれるかもって思えてさ。」


 照れ笑いをしてしまう。だってそんなことあるわけないのだから。王子様なんていないし、お姫様もいない。いたとしても、眠ってる女の子にいきなりキスするような変態なんてあたしはパスだ。あ、それは違う話か。


「へー…純粋だったんだね。」

「まぁねー…って、それ今は純粋じゃないみたいに聞こえるよ!?」

「ああ、ごめんごめん、あさみは純粋だもんな。純粋で純情だもんなー。」


 棒読み。


「いいんだもん、別に。」


 むくれてしまう。


「いやいや、夢は持ち続けてくださいよ。きっと叶うから。」

「笑いながら言っても説得力なーい。」

「あはは、わるいわるい。でもあさみ、彼氏いるじゃん。」

「いるけどぉー、彼氏は彼氏じゃん。結婚する気はないし。」

「え、ないの?」

「ないよー。あんな浮気者。今は好きだけど、ずっと一緒にいられるなんて思ってないから。」

「へー…じゃあ、もしかしたらいつか本当の王子様が迎えに来てくれるかもな。」

「だったらいいなー。」

「案外もう近くにいて、ガラスの靴置いてくの待ってるのかもよ?」

「えー。じゃあカボチャ買ってこなきゃ。あと魔女も見つけなきゃ。」

「やばいな、12時まであと1時間しかないぞ。」

「きゃー。」


 なんてくだらない会話だろうと思う。けど、すごく楽しかった。


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