ログ2-安全地帯へと引き返すことにした
「そうか!無事!仲間!なれた!」
「…無事か、それで無事なんだ」
うん、頭がもげている。確かに無事ではないなそして青年は農業用だろう鎌を構えたままである。仲間とは一体何だったっけ…と考えて、飽きて、スリープした。
「え、えっ?寝た…?」
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起動…起動!ぇー、青年と目が合う
「おはようございます、えと…メイドさん?」
「私メイドですわって事、は、今はセリフが取られたって事だね!」
「随分と流暢にしゃべれるようになったな。違和感はあるけど」
あ、スルーされた。今は笑う所でしょーが
「言語学習、するからさ」
「あぁそういうタイプの。人工知能か」
一瞬で敬語を外された事には突っ込まないでおこう。偉いので。
「そうですわ。おれっちの性格決めてくれやい」
「…もう決まってない?少なくと頭はおかしい」
「そうだね!!」
「そうか!!!」
「認めるさ。今は頭のネジが外れている」
「文字通りに外れているね」
毒気を抜かれた青年はそれでも恐る恐る私の頭部を持つ。そしてこちらを眺めてきた。少々思い悩んだ後に頭を首にはめてくれる
「お前の治る機能ってどんな条件か分かるか?」
「壊れた機械に触ったからだと思う。あとお前って言うな」
「だからメイドにしたのに、どんなふうに呼べはいいんだ?」
「特に無いっすね」
「……」
不満そうにこちらを見くる
青年よ、君は少々頭が硬すぎるのではないか?
そうこうしている内に青年の手にはもう動かない鳥(?)が握られていた。一体いつ捕まえたんだろう…
【生体認証:魑・蠖「遨コ謗「譟サ讖溷ッ?棊逕ィ 同化開始】
バラバラになったパーツが音を立てて首に組み込まれていく。無事に繋がったようだ
「直ったぁ!やったたぁ!青年いい奴」
「そうか。どうも、お前」
さっきの引きずってんのか、心の狭いやつめ。あげた好感度を下げておこう
「お前じゃ無くて名前でよべ。」
「名前聞いてねぇよ!?教えろ?」
あっ、そうだったわ……ん?名前…?
「名前無いわ!好感度直しておくね!」
「もう突っ込むの諦める」
青年よ、君はやはり寂しい奴なのではないか?
青年は当機あらため私の繋がった首を見て怪訝な顔をしている。
「そんな機能あるのに無名って事あるか?」
「あ、じゃあ名前はムメイで」
「自ら決めるスタイルかいっ」
青年よ、君はツッコミ役に向いているのではないか。
「おま…ムメイに記憶が無いと言うかこれが初の起動なんじゃないか?」
「そう考えるとしっくりくるかも」
少なくとも初期化はしているだろうとの予想らしい。その場合、記憶喪失はあながち間違いでもなかったのか。
「まぁ、いい名前見つかった時のためにもムメイでいいんじゃないか?」
「メイドの方は苗字にする?」
「すまん、理解がおいつかないや」
まぁ今考える必要は無い。
「後回しにするわ。青年はここに何をしに?」
「ムメイこそなにをしていた?」
「それはこっちが知りたい。」
そうかと呟いて青年は歩き始める。
「怪しいけども敵対はしないみたいだし、僕の拠点に行こう。案内するよ」
「デートってことか!」
「うるせぇなコイツ」
何処にデート要素があるのだと青年が鬱陶しく文句を言っている。ペースを変えることなくシダの生い茂るジャングルの中を1時間ほど歩き続けていると、崖際に閑静な洞窟が現れた
中にロープが張られ、ハーブが吊るされている。ムメイがそれを眺めていると、「虫除けと調味料を兼ねた物」だと説明された
ゴツゴツとした岩肌の地面に麻布が敷かれていて、ほんんりと焚き火の残り香がある。青年は外へ出ると手際よく地面を掘り返し、道中に拾っていた生枝をそこへ焚べた。火をつけ、満足そうに青白い煙を眺めている
「ジャングルで狼煙って意味あるの?
」視界の悪い密林で煙を上げるムメイの疑問に、青年はさらりと言った
「狼煙ってより、煙の匂いで辿るんだよ」
恐るべき技術だが、迷うことなくこの密林を正確に歩いて来たのだ。実際にやってのけるだけの嗅覚が彼にはあるのだろう。「いつからここを拠点に?」
「3日前に移動してきた。晩飯準備するから、終わるまで遊んでいな」
興味深い話だったが、食べながら話をしてくれるとの事なので、ムメイは踵を返し洞窟の奥を見てみることにした
「行かないほうが良いぞ、コウモリとセットでゴキブリの群れが住み着いているから」
背後からの警告に、ムメイは視覚をサーモカメラへと切り替える。
なるほど、複雑に入り組んだ岩の奥に、無数の小さな熱を帯びた不気味な地帯が赤く浮かび上がった
間違いなく雑菌の温床だろう。せっかく案内してくれた青年のためにも、私はおとなしく安全地帯へと引き返すことにした




