第134話 増えるトラブル。
カオスの反対ってコスモスって言うんですね。
知らなかったです。
(あ~疲れた。あのクサレ無能上司め、ウダウダ文句とセクハラばっかしてきやがって……品川くん、弁護士だったよね。家賃代わりに相談しようかな? な~んてね)
そんな鬱憤を溜めながら、品川が待つ自宅前で辿り着き、鍵を開けた。
すると玄関には、色んな靴が増えて覆われていた。
(え! まさか『アトラス財団』? そんな! 品川くんは完璧に撒いたって言ってたのよ? ……応援を呼ぶ? いや、満身創痍だから人質に取られてるかも……品川くんの次の覇気を利用して、私が突入する。犯人は品川くんの靴を除いたら四人……ここから品川くんに覇気を使ってもらうように指示しないと)
一華はスルリと靴を静かに脱ぎ、ゆっくりと一歩ずつ進み、隙間から部屋の様子を確認する。
(一人はてるてる坊主の男、もう一人はいけ好かないパーマの男……アレはどっちなのかな? 男?
女? まあどっちにしてもパンクの人が一人……もう一人は?)
どうやら最後の一人であろう神崎忍がいなかった。
トイレの中を確認したが、誰もいないので取り敢えずは、品川以外の三人をどう対処するか考察していく。
(肝心の品川くんは寝てるし……三人は何故かトランプしてるし……こんな無警戒なら……)
一華は鞄から警察指定されている拳銃を取り出し、構える。
「そのまま動かないで!」
一華は勢いよく入室し、拳銃を三人へ構える。
「「「……」」」
この三人が思っている事は……
(((あ、ヤバい。泥棒が入ってきた)))
家主とは考えず、いきなり押し入ったハードな泥棒だと思い、三人は初めてのことなので戦慄を覚えた。
「両手を頭の上にして寝そべって!」
ここでマニュアル通りに一華は、三人へ勢いよく命令する。
「どうする?」
「ここは大人しく従った方がいいな」
「あの品川は寝てるから刺激する事もない。だったら、ここは従って帰らせた方がいい……最悪の場合は皆でボコボコにしよう」
「お前、女やから殴ろうって言えてるけど。俺等は死んでも手は出されへんで?」
「安心しろ……お前達にやれとは言わん。この程度の相手など、数秒で蹴散らしてやろう」
(お前だから心配なんだよ。御愁傷様でした泥棒さん……)
吹雪、雅、南雲はトランプを置き、一華の指示通りに手を頭へ乗せて、狭い部屋で寝そべる。
「動いたら撃つ、貴方達の目的は何?」
「え? えっと……友達のお見舞い?」
南雲は明らかに真実を言っても、相手側が嘘だと思っているので信じてもらえない。
「お見舞いなら病院なんじゃない? 下手な言い訳するなら、もうちょっと納得するマシな嘘をつくことね」
「その通りだよな……」
女子の部屋で友達が怪我をしているから、男二人と女一人が見舞いにくる苦しい言い訳だとは、本人達も理解していた。
だが、実際にこうなってしまっているのは現実である。
「あ、アレや! 俺達は弁護士みたいな者で、ここから不審な音がするから、調査してくれって頼まれたんや!」
今度は吹雪が弁護士設定で侵入したと試す。
「……じゃあ誰が調査依頼されたんですか?」
「しゅ、守秘義務や!」
忍と行動を共にし、学び真っ先にでたビジネス用語だった。
「それは納得しましょう。じゃあ、弁護士として証明する為の弁護士バッジと、弁護士連合会が定めた証明書を全員分だしてください」
ここにきて南雲と品川以外が所持していない物を出せと提案し、二人はしまったと思った。
南雲だけが証明できれば乗りきれる筈だったが、全員分となると二人は弁護士ではないので危機に瀕していた。
(おいおい、ここにきて弁護士バッジ見せろって持ってるわけないやろ……っていうか、なんで泥棒が俺等の職業気になってんねん!)
「……おい、二人共。私が予想している事は分かるか?」
「泥棒の女はヒステリック?」
「泥棒は峰不二子なエロエロな服を着ひんことか?」
「最初は偏見、その次はお前は馬鹿か。いや違ったなアホパーマだったな」
「お前またアホって言ったな? もうキレたわ」
吹雪は拳銃を構えられながらも立ち上がり、腕組みし、雅を睨み見下す。
スルリと雅も立ち上がり、吹雪と向き合い、バチバチと火花らしき幻覚を出現させ、睨み合う。
「ちょっと! 今は私が質問してるの! 勝手に立たないで!」
「「うるさい!」」
そんな泥棒扱いされている一華を遮り、二人は喧嘩を始める。
「大体なぁ? 何で何時も俺ばっかりやねん! たまには南雲にも言えや!」
「お前は今は、私達の部下だ。部下であるお前はメイド長である私に従わなければならない! 貴様に、そういう自覚がないのが問題なのだ!」
「俺は委託されただけやろ! しかも俺は部下ちゃうし! メイド長だからっていう理由で偉そうにすんのやめろや!」
「だったらマトモな仕事をしろ! なんだ貴様が持ってるくる物は! グラビア撮影、ヌード撮影、なんで裸になる仕事なのだ!」
「しかたないやろ! 東京におる知り合いのツテなんて、こんなもんや! これでも頑張って見つけたんや、少しでも感謝しろや!」
「何時も何時も文句ばっか言い、貴様には……」
寝ながら聞くのは疲れたので、南雲は座り、死んだ目で喧嘩を眺めていた。
「ちょっと……貴方も……勝手なことを……」
もう色々カオスな状況となり、頭に血が昇って叱責しかけた。が、品川は騒ぎで起きて辺りを確認する。
「……どうしたんだ? 吹雪、雅、キモロンゲ……と一華刑事?」
いきなり起床した男から、衝撃的な発言をし、四人は固まった。
「「「「!?」」」」
「おい、クソリーゼント。この女泥棒っていうか、刑事さん? お前が言ってた噂の?」
「あぁ、そうだぜ? それになんだよ。皆して騒ぎやがってよ。俺は怪我人だぜ? もうちょっと配慮っていう物はいんだろ?」
「な、なんや刑事さんやったんか。それやったら早く言うてくれたら……あの、いつまで銃を向けてるんですか?」
泥棒じゃなく刑事だと聞き安心した吹雪だったが、銃口を向けられているので、丁寧に頼んでいた。
「え、えっと……『アトラス財団』の者じゃないの? 品川くんの仲間?」
一華も誤解が解けて、拳銃を鞄の中へと入れ、警戒を解除した。
「すまなかった。こちらは貴方を泥棒だと勘違いしてしまった。この木元雅が、このロクデナシ三人に代わって謝罪しよう」
「おい、それだと何時も俺達が暴れまわって、お前に面倒見て貰ってるみたいな感じじゃねぇか。ふざけんなヒステリックサイコパス凶暴女!」
そこへ怪我してるのに威勢だけは良い品川が、言わなくていい事を発言しまくる。
すると袖から風を覆ったクナイが品川へ向けて放たれた。
「アブね! テメェ、殺す気か!?」
だが、衝突する前に太陽の炎で風を打ち消し、巧みに指の間へ掴み、大怪我は避けられた。
「死ねば良かったのにな? このウスノロ馬鹿」
品川を仕留めそこなったので、舌打ちし、悔しいので嫌味を吐く雅。
「テメェ! 絶対に怪我治ったら、柏木さんに報告してやっからな!」
「その前に貴様の首と胴体を分けてやる!」
今度は中分けとポニテールが喧嘩をし始める。
「もうなんなの!?」
こんな現状で頭の整理が追い付かない一華。
「大丈夫だ。もう暫く付き合ってくると、そんな事がどうでも良くなるぐらい麻痺してくる」
そこへ大皿に炒飯を乗せて、一華の背後から出現した忍がいた。
似合わないピンクのエプロン、ワッペンには仏頂面の猫のキャラクターがある物だった。
「アンタは一番誰なの!」
「コイツ等の保護者……というより、悩みの種を抱えたプロデューサーだ」
更に変な奴が加わり、頭がパンク寸前となる一華だった。
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