第124話 そして導かれて三千里。
遅くなりました!
そして五十万文字達成です。ありがとうございます。
「……いやいや、大学生の俺に経営なんてできねぇし!」
突然、閻魔から伝えられたに、吹雪は激しく突っ込む。
「誰も君にしてくれとは言ってない。そこに狸寝入りしてる奴がいるだろ? 全ての業務と指示を任せればいい」
「はあ!? なんで俺なんだよ。お前の所の鬼塚にやらせろよ! というより、なんで俺達がやることになるんだよ!?」
狸寝入りを止めて、忍は立ち上がり閻魔へ抗議した。
「俺も少し否定した。だが、考えてみれば何時までも衣食住なんて物は用意できるが、こちらとしてのメリットがない。そこで、お前達に働かせて少しでも回収できればと思ったからだ」
「いや、法律で反社会的な奴等に資金提供っていうのは犯罪なんだけどな?」
修二から、たまに聞かされる法律を思い出し、吹雪は唖然としながら突っ込む。
「確かに俺達は反社会的な職業だ。だが、世間には知られていない上、偉い奴等に天国へ行かせる免罪符を与えて、人間界へ在住する権利を得た悪魔だ。誰も伊波以外は実害を与えていないだろ?」
「承知の上で伊波を野放しているのは、いいのかよ!」
「だったら、お前が面倒見るか?」
「いや、結構です」
少しでも反論しようとした。が、あんな凶暴で凶悪な犯罪の塊を管理しようと思ったら、血の気が引いて拒否した。
「……俺達に拒否権は?」
「あるが、オススメしないな。裸で会議させて、更にはデメリット無しで調査させて貰いますはない。だったら、あの爺共に少しでもメリットがあれば十分だと考えた。それなら、お前等の調査方法に文句でる奴なんていない。だって、悪事に手を染めているのは、双方だからな?」
伊達に人間を管理している神と悪魔のハーフが言う事は違った。
人間が必ず隠したい事を見事逆手に取り、それを器用な要領で操作している。
「……お前の好きな天秤の理論だな?」
「たまにズルされるが、ここは俺が管理していると話は別だ。今回はズルは許容できない、例え別世界から来たチート転生者だろうが、偏った偶像神から一杯の加護を貰った奴だろうと……俺の目が黒いうちは、そうやって決めるぞ」
「……アンタが死ぬことなんてないだろ。しょうがねぇな……で、何を始めたらいいんだ?」
ここは忍が潔く折れる。そしてダルい表情で、始めようとしている物を閻魔へ尋ねた。
「伊波が借金の担保として回収したビルがある。音楽関係の仕事が失敗して、ウチに泣き寝入りして返済できなくなり、俺達がビルと事業と土地を買い取った」
「管理して何年ぐらい放置してた?」
「もう十年になるな。名義は架空の人物で、そこには部屋もあるから、居住権も存在している。周りが手を出せない上、存在しない人物から貰おうなんて無理だからな」
「かなり政府に対して危ないことしてんな」
隣で聞いていた吹雪がドン引きしていた。
「各国の政府も閻魔様には、下手に手を出せない。機嫌を損ねられて、何時でも国を消せると言われたら……分かるだろ?」
「そこはヤクザなんだな……」
「こっちは迫り来る未知の脅威から守るってなったら、これだけの恩返しはして貰わないとな?」
二人の話が聞こえていた閻魔は吹雪達へ向き返答する。
「そう言われば……そうだよな。難しいな、俺等にも人権があるように、悪魔達も生きてるから人権……あんのか?」
「そこは臨機応変に対応してくれ、俺等も都合のいい時だけは人権を行使している。お互いにWINWINの関係といこうじゃないか」
口から出るのは出任せばかりではなく、キチンと代償の説明までするので、流石悪魔だと忍は思った。
「細かい仕事内容とトラブルは俺の後任である鬼塚に聞いてくれ。暫く俺は天界へ行く」
閻魔の背中から大きな純白な翼が出現し、屋根を突き破ることなく飛翔し、姿は瞬時にと消えた。
「……あのさ天界に行くって、あんな感じで行くのか?」
「だろうな……俺も初めて見た。あんな感じだとは思わなかった」
忍も閻魔が天界へ向かう所を目撃したのは初だった様子。
「それで、どうします? 鬼塚さんと一緒に働くことになりましたけど、あの人には『魔界連合』を管理する仕事がある筈ですよ?」
二人が呆けている間に、しっかりとしていた雅が矛盾点へ気付き、指摘する。
「心配には及びません。鮫島組長が、暫く様子を見てくれるみたいです。俺も少しぐらいは付き合えます」
「……なあ? なんか鬼塚さん、雅には優しい対応だよな?」
「……互いに主人には苦労してるから何かしら合致する所があるんだろうな。それより、吹雪雅人よ。お前には任務を与える……」
忍は吹雪に耳打ちし、ある提案を述べる。
それを聞いた途端、吹雪はかなり嫌悪感を示した表情が分かりやすく浮かべる。
「おい、今更戻してもさ……」
「しょうがねぇだろ。ここは大人になって、言うこと聞いてくれ」
「……わーったよ。今回はアンタが仲間だからな、言うこと聞いてやるよ……ほんで、どうすんねん? これから?」
忍が吹雪へ提案したのは……雅のボディーガードとして働き、更に関西弁へ戻して舐められないようにしてくれだった。
修二の為に関西弁から標準語で話していたが、修二はいない為、ここは自分から折れて従うことにした。
「あぁ、雅……」
「はい」
忍は真剣な表情で雅を見ながら、人差し指を向ける。
「今日から、川神プロダクション株式会社の最優秀アイドルだ。そしてコイツが、お前のボディーガードとなる吹雪雅人だ。意義は認めないし、反論も聞かない」
「……じゃあ、リアクションは?」
「それは許そう」
「それでは遠慮なく……え~! こんな奴と一緒に仕事するのですか~!?」
今までに見たことのない、凄まじい嫌悪感な表情を示していた。
「あぁ、コイツと一緒に仕事をしてもらう。文句は聞いてやるが、対応はできないぞ」
「……おい、クソボディーガード! 私のコーヒー買ってこい、数秒で戻ってこい!」
「いきなりやん……しかも、初仕事がパシリってなんやねん」
「つべこべ言うな! まだ注意されてるだけマシだ。減給処分されたくなかったら早くコーヒーを買ってこい!」
「コーヒーを買いに行くついでに、俺はスターバックスのムースフォームラテアイスのレギュラーサイズを買って来てくれ」
「スター……なんだ?」
「お前、まさかスタバ知らないのか?」
「知らんわ! お前、俺が若いからって何でもかんでも知ってると思うなよ!」
「……まだ二十代だろ。まあいい、いいか? スタバっていうのは……」
忍は頑張ってジェスチャーも交えながら、スマホで調べれば分かる物を、一生懸命に無知な吹雪へ教えていた。
「へぇ~そんなスゲェ店があんのか。海道って喫茶店程度しかないから知らんかったわ」
「よく今まで流行に乗らず生きていたのが、俺的にはスゲェよ」
「忍様、貴方のは一昔より、昭和時代程度の知識しかないのは存じておりますか?」
「ポケベルっていうのは、まだ流行ってるんだろ? 後、黒電話より便利になったスマー……ホォン……が凄いんだろ?」
(なんでスマートフォンって、普通に言えないのですか……それにポケベルはもう無いです)
主人がやる事なので、一概には否定できなかった雅だ。
「おい、ちゃんと覚えろや。スマートフォンはスマホって言うねん、お前こそ若くて人一倍生きてんのに、なんで知らんねん?」
「……なんかすみません」
忍はションボリした表情で、暗い声で吹雪へ謝罪する。
「よし、ボディーガード表出ろ。社長の株を上げる意味を身体に叩き込んで教えてやる」
主人に恥をかかせた罰として、雅は吹雪の毛髪を思い切り掴み、別室へと引き摺りながら向かった。
(ダメだコレは……)
内心、問題だらけのメンバーを見て鬼塚だけは不安を感じた。
いかがでしたか?
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