稲葉組、九条会、任侠道
完太の野望のために稲葉組に乗り込みをかけたいところだが…
「稲葉組ってどこにあるの?」
ケン坊が吹き出す。
「お前よからぬ事考えてるんじゃねーだろーな?」
「よからぬ事か知らないけど、行くよ。挨拶してくるわ。まぁどうなるかはあちらさんの出方次第だけど。」
「お、お前殺されるぞ。何の自信なんだよ。俺に殴られて吹っ飛んでたじゃねーか。」
(う〜ん。大して痛くなかったんだけど…。
拳銃で撃たれても死なないしな…。)
「いいか、俺たちの世界はな、力が強ければ何をしてもいいところじゃないんだ。」
「お前は『俺が勝手にやった』と言えば済むと思ってる。
だがな、極道の世界でその理屈は通用せん。お前がうちの門をくぐったその日から、お前の拳は親父の拳なんだ。
お前が誰かを殴れば、それは親父が殴ったのと同じこと。お前が頭を下げれば、親父の頭を地面に擦り付けてるのと同じなんだぞ。」
「殴り込みに行くにしても、そこには『道理』が必要になる。
相手がシマを荒らした、こっちの面子を潰した……そういう『大義名分』があって初めて、組織として動ける。
理由のない暴力はただの『野良犬の噛み付き』
分かったか?」
(そこにあるのは確かに俺が憧れた任侠道のソレなんだけど…)
「あぁ、分かったよ。とりあえず挨拶はもうちょっと先にしとくよ。」
「いや、先も無い!」
その日は朝だけで仕事は終わった。
(仕事って言ってもお金もらえないけど)
夕方にまた迎えに行くまで、ケン坊は違うシノギに向かって行った。
完太はというと…
何故か組長に気に入られてる完太は基本的に事務所に自由に出入り出来た。
組長曰く、
「大学いってるんだろ?ちゃんと卒業しろよ」
だった。
商売も一応は教えてくれるが、大学優先しろよとの事みたいだ。
(逆に言えばヤクザの道で生きていくとは思われて無いんだろうな…。確かに不純な動機で事務所行ったからな〜。)
そんなこんなで数日が過ぎ…
久しぶりに歌舞伎町をプラプラ歩いてみた。
最初に来た時とは大違いだ。何故かガニ股になって、肩で風を切る。
とまではいかないが、多少態度がデカくなる。
そんな時に声かけてきたのがキャッチのヒロシだ。
「完太さ〜〜ん。」
満面の笑みで近づいて来る。
「生きてたんですね〜。」
(そう言えば前に会った時はヤクザ事務所に行く前だったかな?)
「そうだ、ヒロシ、稲葉組ってしらね?」
「ちょっ、ちょっ、待ってくださいよ。ついこの間黒金組に乗り込んだばっかりじゃないですか。」
「あぁ。黒金組はも支配した。もっと上目指すんだよ。」
口から出まかせばかり
「僕も結構詳しい方だとは思いますけど、稲葉組って黒金組の直属の上じゃなかったです?」
「よく知ってるじゃねーか。」
「えへへ。」
「あ、そうそう。そういえば…。
数年前に稲葉組と九条会が揉めた事があったらしいんですよ。その時に黒金組が責任負わされたって話は聞いたことがありますね。」
(九条会か….。また知らない名前が出てきたな…)
「僕が知ってるのはコレくらいで稲葉組の事務所がどこにあるかも知らないですね」
「分かった。ありがと。」
(いい情報が手に入った。黒金組にでも遊びに行こかな)
『ガチャ』
「失礼しまーす」
「失礼だと思ってねーだろ。」
藤田の兄貴がツッこんでくる。完太が事務所に出入りするのも自然になった。
黒金組長が、
「ちゃんと大学いっんのか?勉強しとけよ。じゃなきゃワシらみたいになっちまうからな。アッハッハ。」
(全然面白く無い自虐ネタだ)
ケン坊は今日はいない。事務所には黒金組長、金村のカシラ、藤田の兄貴の3人だ。
「ところで、ちょっと聞きたい事があるんすけど」
「九条会と稲葉組が揉めたって。昔に…」
一瞬空気が張り詰める。
組長の顔が変わるのが分かる。
「おまん。それどこで聞いた?あぁ?」
ここで怯むわけにはいかない。
「その辺プラプラ歩いてたら小耳にね挟んだんですよ。(ホントの事である。)
「はっ。そんなわけあるか!まぁええ。おいおい分かる事やろうしな。丁度いいな。うん。うん。お前来週空けとけ。荒垣 征一の放免だ。盛大に迎えてやりたい。」
『荒垣 征一』
(聞いた事があるぞ。確か若頭補佐で今刑務所入ってるっていう…。その人物が稲葉組と九条会の揉め事に関わってきたのか?)
『何か動きがありそうだ』
お読みいただきありがとうございます。
1部は全19話となります。もう書き終わりましたので、これから毎日投稿したいと思います。20時10分頃。
2部も書いていきたいと思ってますのでよろしくお願いします




