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41 病み上がり

胃腸炎で一週間寝込みました。

ようやく回復して仕事に行きましたが、その時に感じたことを文章にしました。

 体調を(くず)した。

 高熱で体に力が入らず、激しい嘔吐(おうと)下痢(げり)に苦しんだ。

 1日のうちにおこなう移動はベッドとトイレの往復だけとなり、5日間、通院以外では家から出ることも出来なかった。

 ようやく体調が戻り、仕事に復帰こそしたものの、まだ日常が全て元に戻った訳ではない。

 家を出る私の手にはヘルメットではなく、クルマのキーが()れている。

 さすがに、()()がりでバイクはやめろと妻に(くぎ)()された。

 私自身もまだ(ひざ)()()りが()かず、バイクは危険だと思っていたので、クルマで通勤するつもりだった。

 それでも、家を出て駐輪場の隅に並んだ相棒達が目に入ると溜息(ためいき)()れる。

 私の健康管理が(いた)らなかったのが原因ではあるが、体が思うように動かなかったりすると脳梗塞(のうこうそく)(わずら)った3年前を思い出す。

 あの時は、幸運にも大きな後遺症(こういしょう)もなく今のこの日常に戻って来ることが出来たが、もしもうバイクに乗ることが出来ないようになってしまったらと考えるとゾッとする。

 仕事に熱い想いがある訳でもなく、毎日職場へ行く為に家を出るのも、短い通勤の間だけでもバイクに乗りたいからだ。

 今朝のように少しの間ガマンすれば間違いなくバイクに乗れるようになるのが解っていれば、クルマで出勤することも出来るが、そうでなかったら仕事に行く気すら()せてしまう。

 私の心は弱い。

 家族の為だと頭で解っていても、好きでもない今の仕事を続ける意思が折れそうになる。

 そんな私をいつだってバイクは救ってくれていたのだ。

 独身時代にはクルマがそれをしてくれていた。

 シルビア、インプレッサ、ビート、ジムニー、どれも運転する楽しさで私を家から連れ出してくれた。

 家庭を持って家族も増え、クルマを買い替えてテンションを失いかけていた時に病気になり、そこから復帰するのとほぼ同じくしてバイクに乗るようになった。

 こうして思い返してみると、もはやバイクの無い生活など有り得ないのだと思い知る。

 また溜息(ためいき)()れた。

 ああ、バイクに乗りたいな。

 クルリと指先でクルマのキーを回しながら(つぶや)く。

 とはいえ、まずは体調を万全に戻さなくちゃな。

 バイクを楽しむためには、楽しめるだけの準備が必要だ。

 それはヘルメットやグローブのような道具であったり、必要最低限の体力であったりする。

 少しだけ我慢しよう。

 すぐにまた走れるようになる。

 なにしろただの胃腸炎だ。後遺症(こういしょう)など出るはずも無い。

 チラリともう一度駐輪場の相棒達に目をやる。

 待ってろよ。

 元気になったら一日中走り回ってやるからな。

さすがに病み上がりでバイクに乗って風に当たるほどの若さはありませんでした。

少しの間ガマンです。

少しの間だけですけどね。

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