24 タフ
スーパーカブで通勤する際に感じたことを書いてみました。
朝、いつものように目を覚ますと窓の外がまだ暗かった。
陽の昇る時間がすっかり遅くなり、季節は秋から冬へと向かう準備を始めているようだ。
結露がビッシリとついた窓を開ける。朝の空気は肌寒さを感じるほどに冷たかった。
私はいつもと同じように朝の支度をし、いってきますと家を出て、職場に向かうために駐輪場からバイクを引っ張り出す。
カバーをかぶって並んでいる3台の内の1番右、黄色いナンバーの1台を選んだ。
前回乗った時から1週間以上経つ。その間エンジンもかけていない。
スーパーシェルパはほぼ毎日乗っているからこそ簡単にエンジンがかかる。アドレス110は1週間に1回程度しか動かせていないので、ちょっと寝覚めが悪い。
コイツはどうかな?と思いながらスーパーカブにキーを挿した。
私のスーパーカブ90はカスタムというグレードで、セルと燃料計が付いたモデルだ。キックペダルも付いているが、そちらは納車前にバイク屋の店頭でエンジンをかけた時以外では使ったことがない。
気温が下がってきているので、1週間も放っておいたらアドレスだとセルモーターだけでは始動できないだろうな…‥。
チョークを引くか?とも思ったが、とりあえず、とそのままセルボタンを押した。
ヒキュキュキュキュキュキュ…、タ、タタン、タタタタタタ…‥
驚いたことに、製造からもうすぐ30年が経とうかという年代もののバイクは、当たり前のように普通にエンジンを目覚めさせた。
このバイクが私の相棒に加わって4ヶ月になるが、このタフさには毎度驚かされる。エンジンオイルの代わりにゴマ油を入れても走るなどという都市伝説でさえもありえるんじゃないかと思えてしまう。さすがは世界一の販売台数を誇るバイクというところだろう。
私は感心しながらシートに跨り、ペダルを1速に踏み込んで走りだした。
3速までしかないというのがちょっともどかしいが、90ccのエンジンは素早くクルマの流れにのれるだけのパワーをしっかりと発揮してくれる。
通勤路を走りながら、すっかりクセになってしまった遠回りのあぜ道に向けてウィンカーを出す。
あ、今日はシェルパじゃないんだった…‥と思いながらも、このバイクなら問題無いか、と思い直した。
あぜ道は、雑草と砂利と土の混じりあった複雑な路面状況だ。土の部分には深い轍もあるし、砂利のところには拳よりも大きな石が転がっていることもある。
それでも、スーパーシェルパ同様このスーパーカブでもここを走るのに不安なところはまるで無い。
もちろん、トレールバイクであるスーパーシェルパと違って、私のスーパーカブの足回りはタイヤこそオフロードタイヤに履き替えているが、オフロード用ではない。サスペンションはいずれ変更するつもりではあるが、まだノーマルのままだ。
それでも、この田んぼの真ん中の未舗装路にスーパーカブはしっかりと対応できていた。
このバイクが作られた頃のこの辺りはこんな道ばかりだったのだから、当然といえば当然なのだろうが、今時のスクーターには真似できないなとまたもや感心させられる。
世界で最も多く走っているバイクにして、製造から30年近く経っいてもこれほどまでに私を楽しませてくれるバイク。
それはただ実用的なタフさだけではない、『CUB』の名が持つ『獣の子』の意味の通り、猛々しさを秘めたタフさだ。
足元で90ccのエンジンが小さくも雄々しい咆哮をあげる。
大地を蹴立てて走るスーパーカブ90スクランブラーは、頼りになるタフな相棒だ。
背に跨ってアクセルを開くとヘルメットの中でついつい口許が緩む。
さあもっと走ろう、ここもまたタフなお前のフィールドだ。
世界一の販売台数の記録を持ち、ギネスブックにも載っているスーパーカブというバイクの奥の深さは、いつも驚きと感動を与えてくれます。
本当に良く出来たバイクですね。




