闇は去り、月に還えりし時
あらすじ
母の遺体を抱いて泣き崩れる御玉ですが、実は彼女も焔の魔槍によって腹部に致命傷を負っていました 。進次郎の制止を振り切り、御玉は世界に不穏に残る「極闇」の残滓を浄化するため、最後の力を振り絞って立ち上がります
【蝦夷・アンヌプリ山頂(夜・満天の星空)】
母・朱音の遺体を抱きしめ、泣き崩れる御玉。
だが、その巫女装束の腹部からは、
焔の魔槍による深い傷から鮮血が溢れ、白い雪を赤く染めていた。
御玉もまた、限界を超えて戦い、致命的な重傷を負っていたのだ。
進次郎「御玉……! その傷……嘘だろ、お前まで……!」
進次郎が驚愕し、御玉を抱き起こそうとする。
しかし、御玉はそれを静かに手で制し、
神々しくも哀しい微笑みを浮かべる。
彼女の胸の『龍神の翡翠』が、
脈動するように真緑の光をいっそう強く放ち始める。
御玉「進次郎、三蔵……。焔は消えましたが、奴が残した『極闇』の残滓が、まだこの世界の地脈を蝕んでいます。これを完全に浄化し、大和に、そして世界に真の平和を取り戻さねばなりません……。そのために、『最後の審判』を……」
進次郎「ダメだ! それ以上の魔力を使えば、お前の命がもたない!」
御玉「いいのです、進次郎。私の命は、最初からこのためにあったのですから……」
御玉は最後の力を振り絞り、雪原の上に立ち上がる。
聖なる杖『破邪顕正』を両手で強く握り締め、
天高く掲げる。
胸の『龍神の翡翠』が全開になり、アンヌプリの山頂から、
夜空を突き破るような巨大な真緑の光柱が立ち上る。
御玉「天の神々よ、地なるカムイよ! これが我が魂の最期の願い……! すべての災いと闇を払い、世界に新たな光を!!」
『最後の審判』の発動。
ドォォォォン!! という清らかな波動が、
アンヌプリから日本全土、そして世界中へと広がっていく。
世界中を覆っていた不吉な闇の雲が消え去り、
大地に瑞々しい緑と生命の光が戻っていく。
世界は救われた。
しかし、儀式を終えた御玉の体は、
徐々に光の粒子へと変わり始めていた。
御玉「進次郎……三蔵……。どうか、私の神剣『空斬刺鏡』を……大和の霊峰、剣岳の山頂に刺してください。それはいつか、遥かな未来で新たな闇が訪れた時、世界を護る鍵となるでしょう……」
三蔵「御玉様……! 仰せの通りにいたします。この三蔵、命に代えても!」三蔵が涙を流しながら平伏する。進次郎は光の中に消えゆく御玉の手を、狂おしく掴もうとする。進次郎「御玉! 行くな! 俺を置いていかないでくれ!」
御玉は進次郎の頬に優しく触れる。
その手はもう、透き通って後ろの星空が見えている。
御玉「泣かないで、進次郎。私たちは、いつかまた巡り会えます。この翡翠が……いつか私たちを、再び引き合わせてくれるから……」
御玉の体は、眩い真緑の光の帯となり、
ゆっくりと夜空の月へと向かって昇天していく。
まるで、なよ竹のかぐや姫が月へと還るように。
進次郎「御玉ーーーーーーっ!!」進次郎の絶叫が、
美しい月夜のアンヌプリにこだまする。
残された雪原には、彼女が使っていた神剣『空斬刺鏡』と、
静かに輝きを失った『龍神の翡翠』だけが残されていた。
この作品は「私にキスできますか?」の作中作品です。
付録ですので、とても緩く放置おねがいします。
今後、記載する表現に関して、常識に基づいて気をつけて参りますが、
もしもを考慮して15歳未満閲覧非推奨を設定させて頂きます。
こちらに何か落ち度がございましたら、お知らせ願います。
※御玉
なよ竹の巫女。
山賀の娘・朱音が
孟竹林の「光る酒」を飲んで授かった神秘的な少女。
生まれた時から『龍神の翡翠』を握っていた。
神々しい美しさを持つ。
※進次郎
蒼き狼の剣士
腕に青い狼の痣を持って生まれた最強の忍び。
御玉と深く愛し合い、彼女から託された神剣を手に戦う。
※焔
堕天使ルシファーの変異体
歴史上の悪女(趙姫、西太后など)に乗り移り、世界支配を目論んできた巨悪。
永遠の命を得るため、翡翠と「かぐやの血(御玉の血)」を狙う。
※三蔵
山賀の生き残り。御玉の最期を看取り、彼女の遺志を継ぐ忠実な仲間。
※大和
『日いずる国』の 『約束の地』であり、『その時を待つ場所』。大いなる平和を甘受する土地の意。
※山賀、伊賀、甲賀
四散したイスラエル10支族の末裔。山賀は神官兵団に近い。伊賀、甲賀は守護騎士団に近い。主に忍びである。聖櫃とその中の秘宝「十戒の石板」を守る。
※守人
四散したイスラエル10支族の末裔。蝦夷を目指し、『始まりと終わりの地』であるアンヌプリにて、『 守人』となった。武装した山伏のようなイメージ。
※龍神の翡翠
善悪の根源にて真実の結晶体。『最後の審判』であるグレート・リセットを引き起こす事が可能な唯一無二の宝石。
※『空斬刺鏡』
神剣。神託を得て御玉が打った剣。
『無』をも切り裂く『絶空』を起こす。
他の忍びは刀だが、これは直剣である。
※『破邪顕正』。
御玉の聖杖。
不正な教えや邪悪なものを打ち破り、正しい道、すなわち正義を明らかにする杖。
聖なる光を放ち、悪魔の闇を一瞬で払う。
※獄炎魔槍『煉獄の咆哮』
焔の槍。
ソドムとゴムラの怨念の炎を纏っている。
※最後の審判
『始まりと終わりの地』アンヌプリにて引き起こせるグレート・リセット
※イオマンテの秘儀
守人の力によって作られる結界。
※なよ竹の巫女
御玉
※蒼き狼の剣士
進次郎




