八杯目
「ただいまー」
ドサッ。
ベッドに腰を下ろし、天井を見上げる。
「……やばくないか、この能力」
ラーメンを食べるだけで、能力が上がる。
単純計算でも――
一日三食で、+30。
一年で、10950。
魔力も含めれば、その倍。
「……21900?」
思わず乾いた笑いが漏れる。
「モンスターとも戦わずに、これかよ……」
安全に、確実に、強くなれる。
そんなの――
「チートだろ」
ぽつりと呟いた。
……と同時に、背筋が少しだけ冷える。
「いや、逆に怖ぇな」
うますぎる話には、裏がある。
「……まぁいい」
考えても仕方ない。
「とりあえず検証だな」
現時点で分かっていること。
醤油ラーメン → STR+火魔力
味噌ラーメン → VIT+土魔力
「他のラーメンはどうなる?」
塩は?
とんこつは?
トッピングは関係あるのか?
「……気になること多すぎる」
「ただいまー」
玄関から母さんの声が聞こえた。
「……よし」
もう一つ、試せることがある。
「母さんおかえり」
「おかえり弥彦。どうしたの?」
「今日の夕飯、昨日と同じ醤油ラーメンがいいんだけど」
「いいけど……そんなに気に入ったの?」
「まぁ、ちょっとハマっててさ」
「ふふ、珍しいわね。じゃあすぐ作るわ」
――数分後。
「ふー、ふー」
「ズズッ」
昨日と同じ味。
正直、少し飽きてきている。
(……これでどうなる?)
味よりも、結果の方が気になっていた。
「ごちそうさま」
食べ終えて、すぐに部屋へ戻る。
「ステータス」
画面を開く。
「……ん?」
目を細める。
STR +5
火魔力 +5
「……は?」
昨日は+10だったはずだ。
「なんで半分になってる……?」
同じ醤油ラーメン。
条件は同じはず。
「……いや、違う」
ゆっくりと思考を巡らせる。
「同じだから、か?」
もし――
「同じラーメンを連続で食べると、効果が減る……?」
さっき感じた“違和感”が、形になる。
チートだと思った力。
だが――
「ちゃんと制限、あるじゃねぇか」
むしろ、その方が納得できた。
「……面白くなってきたな」
ラーメンの選び方で、強さが変わる。
つまりこれは――
「どう食うかで、強さが決まるってことか」
胸の奥が、少しだけ高鳴った。
STR 60→65 AGI 40
VIT 50 DEX 20
LUK 100 MND 220
火魔力 10→15 風魔力 0
土魔力 10 水魔力 0
光魔力 0 闇魔力 0
称号:三食ラーメン(笑)




