三十二杯目
新潟ダンジョン第一階層。
「あー気絶しちまった」
「はぁー…当たり前でしょう。
指先だけとは言えあなたの打撃をもらったらFランクより下はみんな気絶するわよ」
柊は呆れながら言った。
「とりあえず今日はもう無理だからダンジョンを出るわよ」
「わかりましたヨッと」
相馬が弥彦を軽々と担ぎ上げる。
「ガキは軽いですねー」
「あなたもそのくらいの頃は可愛かったのに」
「その話はやめてください」
ーーーーーー
探索庁買い取り所の一室。
「……知らない天井だ」
いや冗談言ってる場合じゃなくてここはどこだ?
俺は確かダンジョンにいたはずなのに…。
「うっ!」
少し動いたら腹に痛みが走った。
「痛ってぇー」
ガチャ
「あら弥彦君目が覚めたのね」
扉から柊さんが入ってきた。
「あの俺はやっぱり気絶したんですか?」
「そうよ。盛大に吐いてそのまま気絶したわ」
柊さんは笑いながら言ってるが俺は兎に角恥ずかしい。
「すみません。ご迷惑おかけしました」
「全然いいのよ大体こうなることはわかっていたし」
わかっていたのなら止めてくれても良かったんじゃ…
「あのここはどこでしょうか?」
「ここはダンジョン前の探索庁買い取り所の一室よ。
ダンジョンから近いからここに運んだの」
そうだったのか。
確かに探索庁に戻るより近いし怪我人の手当てとかもできそうだもんな。
「運んでくださってありがとうございます」
「運んだのは相馬君よ。
彼は一足先に帰っちゃったけど」
「そうなんですね今度お会いした時にお礼を言います」
「そうね。弥彦君に渡すものがあるわ。
はいこれ。」
柊さんから100円を渡された。
「えーとこれはなんでしょうか?」
「相馬君が倒したスライムの魔石の換金代よ」
「ええ!スライムって倒しても100円にしかならないんですか!?
くさってもモンスターだからせめて1000円くらいにはなると思ってました…」
「そんなに世の中甘くないわよ」
マジかよ…てことは俺が一日のバイト代を稼ぐには30〜40体のスライムを倒さないといけないということか。
まだ一体も倒せていないっていうのに…。
「あの…質問なんですが探索者はどのくらいのランクになればある程度生活していけるようになるのでしょうか?」
「あー弥彦君はお金を稼ぎたいんだものね。
Eランクでも年収500万はいけると思うから生活は全然できると思うわ。
それに探索者が魔石を売って稼いだお金には所得税が免除されているから普通の年収500万とは天と地の差よ。
そしてDランクになれば年収は1000万は余裕で越えるわ」
ゴクリッ
思わず唾を飲み込んでしまった。
Eランクでもそんなに稼げるのか!
てか税金のことは詳しくわからないが所得税が引かれないっていうのはかなり大きいのでは?
「Dランクから年収が倍増するのはなぜなのですか?」
「Dランクの階層にはロックゴーレムが出現するの。
通常モンスターは倒しても魔石しか残らないけどロックゴーレムは別で倒したら魔石と内部にある鉱石が残るのよ。
そのなかには鉄や金、銀、ミスリル、オリハルコン、噂だとアダマンタイトなんていう空想上の代物が出るとか。
それを探索庁に売ることで大金が手に入るっていうわけよ。
まぁミスリル、オリハルコンも滅多に出ることはないわね」
なるほどそれで一気に収入が増える訳か。
よし!
目指せDランク!
「何か強い志を持ったようだけどまず弥彦君はスライムを倒すまでは次に進めないからそのつもりでいてね」
柊さんに釘を刺された。
そうだ。まずは目先の一歩からだ。
スライムを倒せないでその上のロックゴーレムなんか倒せるわけない!
師匠に何度吐かされようとも俺は諦めないぞ!
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