二十八杯目
探索庁管理課の一室。
ゴクゴク
「ふぅー…」
俺は出されたお茶を飲んで一息ついた。
「ごめんなさいお茶を出すのを忘れていました」
「いえ。ありがとうございます」
「それでは説明の続きをしますね」
そう言うと柊さんは説明を始めた。
「先ほどの魔石に関連することなのですが裏社会の人間には気をつけてください」
「裏社会の人間ですか?」
「ええ。先ほど魔石を他所に売るという話がありましたが国が売買を禁止しているものを買い取ってくれる所なんて通常ありません。
そこで出てくるのがヤクザや半グレ、またはそれになりすました他国の工作員などです。
彼らは探索者に近づいて取り込もうとしてきます。
甘い誘惑に負けて犯罪の片棒を担いでしまった探索者も残念ながらいるのです」
なるほど今までは一般人だったからそういうのとは無縁だったけどこれからは注意しないと。
「ヤクザが魔石を買い取って何になるんでしょうか?」
「そこはまだあまりわかっていないのです。
他国に横流ししているとか独自に研究しているとか話に聞くんですが末端の人間しか捕まっていないので正確な情報なのかもわかりません」
「わかりました」
「それに続き犯罪関連の注意事項です。
知ってはいると思いますが探索者が犯罪行為を行った場合一般人よりも厳しい罰が課せられます。
例えば一般人に向かって暴行した場合普通ですと暴行罪や傷害罪が適用されますが探索者の場合は殺人未遂が適用されます。
これは圧倒的に身体能力があることが分かっているのに一般人に対して暴力を振るうことが殺意があるという判断になってしまうからです。
もちろん絶対ではありませんが探索者は正当防衛も認められにくいのでご注意ください」
「正当防衛も認められないんですか?」
「はい。それだけの身体能力があるなら逃げろというのが司法の判断になってますのでもし絡まれたら逃げるのを優先してください」
「……わかりました。
探索者同士だとどうなるんでしょうか?」
「探索者同士でも争い事は禁じています。
同じ探索者でもステータス差が大きいと一般人と同じようなことになりますので…」
「ところでなぜ探索者はメディアにあれほど出ているのかわかりますか?」
急に話が変わったな…
「国民に人気だからですか?」
「もちろんそれもありますがそうだとしてもあんなに毎日のように探索者がメディアに出ているのは少し疑問に思いませんか?」
確かに…今まで疑問に思ったことなかった。
「考えたこともありませんでした…」
「トップクラスの探索者は国にとって大量の魔石を確保してくれるお得意様です。
ですが反対に個人で考えられないほどの戦力を保有した人間が探索者とも言えます。
もしその力を良くない方向に使おうとしたらどうでしょうか?」
「それを抑制させる方法がメディアへの露出ということですか…」
「正解です。
何か不祥事を起こした場合社会的に殺すことができます」
柊さんは笑顔で言っているがそれが余計に怖い。
「もちろんそれだけではありません。
事件を起こして逃亡した場合探索庁と全国の探索者がその逃亡者を追います。
もちろん Sランク探索者も追いますので逃げ切ることはぼぼ不可能となっております」
うん。俺は何も悪さはしないと誓います。
「説明は以上となりますが何か質問はありますか?」
「……いえ今のところはありません」
「そうですか何かわからないことがあればいつでも聞いてくださいね」
「はい。ありがとうございます」
これで説明は終わった。
「じゃあ弥彦君に紹介したい人がいるから少し待っていてくれるかしら?」
紹介したい人?
誰だろう?




