二十二杯目
「私が保証します」か…
流石に柊さんが課長だからといってその言葉を鵜呑みにはできない。
「俺はついこの間まで一般人と変わらない生活をしてました。
ステータスもまだ1000に届いていません。
それでも大丈夫だというのですか?」
「大丈夫だと私は思っています。
その理由は弥彦君の能力であるラーメンを食べるとステータスが上がる。
これは食べるラーメンによって上昇幅は変わるとのことでしたがざっと計算しても毎日三食食べた場合一年間で2000〜3000近く上がることになります。
このステータスですと現在の特専のトップ層と変わりません。」
「なるほど…確かにステータス面では変わらないですね」
「そして早く探索者になった方が良いという理由ですが特専の生徒たちは授業でダンジョンに入ってモンスターに慣れる訓練を受けています。
ですが弥彦君はそれを行なっていません。
これは高校卒業したあとライバルになるであろう特専の生徒たちとの大きな差です。
なので探索者となったらまずは第一階層でモンスターに慣れることから始めてほしいのです」
なるほど確かに理にかなっている。
俺はモンスターを見たこともないし、モンスターを目の前にして本当に戦えるかすらわからない状態だ。
「あの…第一階層とはいえ基準値ギリギリのステータスで危険はないのでしょうか?」
心配そうに母さんが聞く。
「ダンジョンの中なので危険はないとは言い切れませんが第一階層は主にスライムしか出ません。
ですのでモンスターに慣れることには丁度いい場所です。」
「…そうですかわかりました」
「他に何か聞きたいことはございますか?」
「あの俺からいいでしょうか?」
「はい。
なんでしょうか?」
「その…ラーメン代をバイトで賄っているのですがダンジョンに入るとなるとバイトをする時間がないのでラーメン代を稼げないのですがそれはどうしたら…」
「それでしたらダンジョンでモンスターを倒せば魔石が手に入るのでそちらを換金してラーメン代にしてはいかがですか?
スライムでも倒せば魔石が手に入ります。
もちろんそれなりの数は倒さなければなりませんが」
なるほどそれならモンスターに慣れることもできてお金も稼げる一石二鳥だ。
「わかりました。
ありがとうございます」
「質問は以上でしょうか?
もし後で聞きたいことが出た場合にはこちらにお電話ください。
デスクの番号ですが直に私に繋がります」
そう言われて渡された名刺には柊さんの番号が記載されていた。
「ご親切にありがとうございます」
「ありがとうございます」
母さんと二人で頭を下げた。
「いえこれも仕事の内です。
それで嶺崎さんお話を聞いた上でどのような選択を取られますか?」
「……私は弥彦に選んでもらおうと思っています。
弥彦の人生ですので弥彦自身で悔いのない選択をしてほしいです」
「それでは弥彦君…どうしますか?」
……少し考える。
話を聞いていた中で選択肢は一つしかない。
探索者を諦める気持ちなんてないし母さんとの約束も守りたい。
答えはもう決まっている。
「通信制の学校に転入して探索者になります!」
「わかりました。
では話し合いはこれで終わりですね。
校長先生をお呼びして転入の手続きをお願いしましょう」
こうして探索庁の柊さんとの話し合いは終わった。




