幕間 天才になった日
テストの結果が発表される日、才田知怜は高校に入ってできた2人の友だちと2人の友達の友達と席次を見に来ていた。
「才田知怜、今回のテストに負けたら……お前はもう二度と天才を名乗るなよ!」
もちろん!世名の望みなら何でも叶えるよ!
そもそも才田知怜は天才を名乗ったことがないが、憧れの世名を前にそんな事実が頭から抜け落ちている。
「だから、知怜は天才を名乗ったことないだろ。そんなことより結果は、っと、知怜!今回も満点か!すごいなお前、10教科だぞ!」
「おい私の点数をスルーすんじゃない!人の功績を認められないのはいかにも凡人の」
「授業はサボるは、勉強はしないは、テストは寝るは。誰もお前の結果なんて祝いたくねぇよ!」
つまり、結果は引き分け。よかった……!
知怜は心底安心している自分に気づいてそんなに気張っていたのかと驚いた。
いやでも、当然か。だって世名さんとの勝負だもんな。うん、命がかかってる時よりも重いよ。
「明智はどうだった?」
「え?俺?えー、聞きたい?」
「嬉しそうだな!正直お前のだけは聞きたい」
「なんと!赤点全回避!数学は60点、人生最高記録だぜ!」
「てめぇ!天才が教えてやったのに何だその腑抜けた点数は!」
そういえば明智くんは世名さんに数学を教えてもらってたんだっけ。
世名が解決したと言っているのだから、知怜も明智のことを悪く言うのはやめようと思っているのだがどうしても殺意が漏れ出てしまう。
「まぁでも今回は世名のほうが正しいかもな。平均62点だったんだから、頑張って勉強したならもうちょっととってもよかたような……」
「何を言ってるんだ東雲秀!点数など些細な問題、大事なのは桁数だ!総合3桁は3桁同士仲良くしな!」
「てめぇ、1000点満点なんだよ!……いや、知ってていってやがるな!」
今回4桁を取ったのは僕と世名さんだけ……つまり、僕と世名さん二人だけの世界ができてるんだ!
知怜のIQは世名が関わったことにより急速に低下していた。
「つまり、お前は知怜と同じということだな」
秀くん……よく分かってるじゃないか!
秀の煽りにも全力で同意するくらいにはIQが下がっている。
「はぁ?天才とそこの天才もどきが同じだなんてふざけたこと抜かしてんじゃねぇよ。才田知怜、来月の期末テストでも勝負だ!」
「お前も飽きないな。どうせまた引き分けだろ?」
世名は当然のように次の勝負を決める。秀も呆れつつも知怜が勝負を受けることは疑っていないようだ。だが、
「えっと、そのちょっと時間をもらってもいいかな。ちょっと考えたいかも」
「えっ」
「怖気付いたのか、やはり凡人だな」
怖気付いた。それは全く否定できないただの真実だった。でもしょうがないことなのかもしれない。彼の中ではいつもうっすらとした不安がつきまとっている。
世名との出会いは知怜に言いようのない感情を植え付けたのだ。
そう彼と世名が出会ったのは5年前、
この前みたいに、過去回想を誤魔化したりはしません!
次の話はちゃんと過去話です。




