違い
自習が始まり、菅原先生は別の学年のクラスを見に行き、教室内は子供特有の、平穏な無法地帯となっていた。
「昨日の配信、めっちゃ尊かった…!」
「分かる~!供給過多で尊死しそう…」
ちなみに、今の会話は海藤くんと輝滝さんだ。多分、共通の趣味があるんだろうな。
…高校、どうしよう…これから試験会場行く?いや、間に合わない。帰って大人しくお父さんに謝ろう…。
…謝って、結局高校どこ入ろう?ここら辺で実家通いできそうな高校あそこしか無かったのに…。
…最悪中卒でアルバイトかな…異界学園はお父さんが頑なに反対するし…
ていうか、どうしてそこまでして母校に入学させたくないんだ?余程何かが酷いのか?
…考えていても分からない。これは帰ってから聞くことにしよう。
ひとまず今は…
「ねえ、ちょっと立って?」
「断る。」
今にもズボン下ろしてきそうな飯嶋さんをどうにかしないとな…。
「立つだけだって!ね!椅子の下に消しゴム行っちゃったんだよ~!」
「その手の動かし方止めろ、下心丸出しなんだよ。」
「下心ある目で見るから変な手の動かしかたに見えるだけだよ!」
いや、普通に考えてなかなかいねえだろ。手の平こっちに向けて五本指が蛇みたいに蠢くやつ。
心の中でつっこんでいると、ふと疑問が浮かんできた。
「…影を使って身ぐるみ剥ごうとはしないんだな?」
「はあ??」
飯嶋さんは…ぽかんとしているような、睨んでいるような…どちらなのかわからない目でこちらを見てきた。
「…これ、そういうことに使っていいと思う?」
「むしろ力があるのに使わないの?スライディングして女子の股下に入るくらいには下着に執着しているのに?」
変な所で力をセーブしてるんだな…
ちょっと前にやった宙吊りだって、影を使えば抜け出せただろうに。
「あのねえ!これは大切な人から借りてる物なの!私の物じゃないし、万が一にでも私に影を入れたことで後悔してほしくないんだよ!だから!私はそういうことに力は…!」
いきなり大声を出してきたな…ビックリした…。
『驚いたな…』
「ね。」
どうやら、かげくんもビックリしているらしい。力を使う水準を定めるなんて、聞いたことがない。
政府だって、正体不明の力に怯えて頑丈なシェルターを作っただけ。密かに不可思議な力の存在を認めつつも、正式にその存在を認めたわけじゃない。つまり、どんなことに使おうが、表向きな法律には引っ掛からない。裏で処理される可能性はあるが。
Noside
感情に任せて力をふるう己の水準を話していた皐月は、途中で言葉を切った。
「ねえ、明くん。」
「ん?」
「…影って、どういう時に使ってる?」
それには色々な理由があったが、一番の理由としては…
「んー…?意識したことないな…。」
…今目の前にいる強大な力を持っているであろう少年が、誰よりも力をふるう水準を知らないことに勘づいて、震え上がったからである。
その震えは恐怖から来るものか…
「じゃあさ…使うタイミングとか、大まかに決めてみない?」
少年の力の使い方を導く緊張感からか…
「…いいよ!」
少年と、初めて普通の、学生らしいことをしたからか。
それは、彼女自身にも分からない。
飯嶋皐月…青春を楽しみたい。
Q.なぜクラスメイトの下着を覗くのですか?
A.二次元の推しに対して谷間に埋まりたいとか思ったこと無い?




