異音
なんか無念…な仕上がり… 楽しんでいただけたら嬉しいです☆彡 もうあきらめた方がいいのかしら…
俺、遠野拓海はこの春就職した、が、いろんなことに巻き込まれてる間にポカミスを連発し、この秋、見事プー太郎になってしまった。
再就職先を早く探しに行かなければ職なし、金なし、家なし、3大なし太郎になってしまう。
前に知り合った、うちの家に憑いてる呪いさん。
話を聞いているうちにわかったのだが、明人さんと言うらしい。
でも、生きていた時の名前はもういらないというので、呪いさんと呼んでいる。
今はもう誰も呪ってはいないんだけど、パフォーマンスとして「呪」の文字は欠かせないらしい。
呪いさんのためにも家だけは確保しなければ。
そんな時、この部屋を紹介してくれた不動産屋さんがきた。
「で、こちらの事故物件なんですが、誰も借り手があらわれなくて、3か月くらいでいいので、遠野さんすんでいただけませんか?お家賃は2万円ですが、それ以外に危険手当とバイト料をお支払いいたします。」
「いかほどでしょう。」
「えっと…」
電卓をとりだし、ぽちぽちとおし、俺に見せる。
「これくらいでいかがでしょう。」
「もう一声。」
「では、こんなもんで。」
「わかりました。それとこの家は解約したくないので、3か月間は家賃そちらでもっていただけますか?」
「了解いたしました。ちゃっかりしてらっしゃる。」
「で、どういう家なんですか?」
「別に何か事件が起きた物件というわけではないのです。ただの木造2階建ての普通の古いアパートで家賃滞納の末、行方不明という方はいらっしゃったんですがそれももう4年以上前の話しで ただ、2年くらい前から入られる方全員が異音をきかれて、みなさん1か月以内に引っ越しされてしまうのです。そんなことがもう14件。
なにか事件があったわけでもないので、こちらに告知義務はありません。ただ、音がするだけなのですが、みなさん、気味悪がられて…」
「なるほど、実害はいまのとこないんですね。」
「はい、いまのところ音がするだけで 何かを見たという方もいらっしゃいません。が、音がひどくて私どもに文句をいわれて引っ越し費用を負担ささせられたりするので、困っております。最近はSNSとかでそういう噂はすぐひろまりますし、チューバーの方が勝手に不法侵入して中で飲食されたりと同じアパートに住む方にもご迷惑がかかってまして。」
「わかりました。とりあえず、みにいきたいのですが、いつなら内見可能ですか?」
「いますぐでも入居可能です!」
かぶり気味にいわれてちょっとひいてしまう。
「わ、わかりました。今晩からでもそちらへ泊りにいってみます。問題の事象は何時くらいに?」
「それがきまった時間はないようで、人によっては朝や昼間に聞こえることもあるとか。」
「なるほど…わかりました。鍵おあずかりします。」
場所を聞き、鍵をあずかったので、向こうにいくことにした。
呪いさんに事情をはなし、しばらく留守にすることを告げた。
「早く帰ってきてくださいね…」
「はい。ちゃんと帰ってきますから。ひまだからってほかの人呪っちゃだめですよ。」
そういって、鍵を閉めた。
目撃者は多いほうが良いので 知人の悠馬と小太郎を呼び出した。
「お前、また事故物件って。」
「今回は仕事として請け負った。バイト代だすぞ。」
「すぐ行こう。酒とつまみもだしてくれるんだよな。」
こいつらもちゃっかりしている。
酒とつまみを買い込み言われた部屋へ行った。
「あなた、そこに入居されるの?」
「はい、一応ですが。」
「気をつけてね、その部屋入ってノイローゼになった人もいるから。」
「ありがとうございます。でも俺そういうのなれてるんで。」
まぁっという顔をして、ピーチクさん退場。
とりあえず入ってみた。
部屋はなんのへんてつもない、1Kの狭い部屋だった。
入ってすぐに台所があり、流しの前に2畳ほどの板の間がある、奥の6畳が畳の間。ありふれた古アポート。
ここは駅にもちかいので、会社員の独身男性とかなら喜んで借りるだろう。
部屋に入り、宴会の用意。
酒は紙コップに。つまみは紙皿にだして置いた。
しばらく飲んで待ったが別になにも起こらない。
「いつはじまるんだ?ホラーパーティは」
「ざぁ、いつ始まってもおかしくはないらしいんだけど。」
俺たちは早々に飽きて ただ、酒を飲んだ。
いつの間にか転寝をしていたらしい。
おきるとなにやらかりかりと壁か天井をかく音がする。
その音を3人とも聞いた。
ねずみ?いたち?はくびしん?
天井になにか動物でもいるのかもしれない。
そう思って次の日、脚立と懐中電灯を持ってきた。
しかし、かりかり音がして、天井裏を見てみたがなにもいなかった。
しばらくするとその音はやみ、時間をおいてまた鳴り出した。
たしかに四六時中この音聞いてたらノイローゼくらいにはなりそうだな。
でもそんなにぶきみな感じも怖い感じもしないけど、なんでみんな引っ越すんだろう。
とりあえず、上の人や横の人に話をきいてみる。
「ここ、ねずみでもいるんでしょうか?」
「さぁ、そんな話は聞かないけど、俺もみたことないし。」
上の階の人はそんなカリカリ音きいたことがないということだった。
左右隣の人も同じ。
うちの部屋だけ…音が小さいから聞こえてないだけなのかも?
しかもかりかりくらいなら実害はないし、きにしなければとおもっていたのだが、最初に聞いたかりかりがボリュームレベル1だとしたら、現在は8くらいまで上がっていた。
かりかりががりがりって感じ…?
このまま大きくなられたらさすがの俺もこの部屋にいることはできないだろう。
さて、どうしたものか。
「かりかりさん、なんのために音ならしてるんですか?」
わからないなら直接聞けばいい。
と話しかけてみたけど、返事はなし。
もう一度お隣さんにきいてみた。音、大きくなってませんか?
しかし答えは同じでなにも聞いていないという。
うちの部屋だけか…
悠馬と小太郎を呼んだ。
小太郎は扇形の小さな鏡をもってきた。
「ほい、呪いさん。」
「え?…もしかして、呪いさんの鏡切ったの? …呪いさん、呪いさん。大丈夫?生きてる?」
いや、生きてるは変か… 俺、なに慌ててるんだ…落ち着け俺…
「大丈夫~」
呪いさんの少し弱弱しい声が聞こえた。
「本当に大丈夫?」
「うん、そいつ見てたらアドレナリンが…」
と、悠馬を指さし、小さな呪の血文字と小さな手形がばんっと…
小さい割には大きな音だった。
びくっと悠馬が飛び上がり。ぺこぺこと頭を下げた。
「ごめん、本当にごめん」
「いいよ、俺も悪かったし。もう悠馬に未練なんてないから。」
「複雑な気分だ…」
しばらくするとがりがりと音がし始めた。
二人とも耳をふさぐ。
「なんだ、これ。この前よりずいぶんでかい音だな。」
ふむ…やはりここにいたら俺以外にも聞こえるんだ。
ポーの小説「黒猫」を思い出した。
たしか、壁に死体を埋めたら猫も一緒にうめちゃってその猫がかりかりしてた?
あれ?死体の形のシミがきえなくて壁を塗っても塗っても影がうかびあがって…?それは「悪魔の花嫁」か?
どうだったけ、なんか色々混じってる気がするけど、なんか今の状況ににていないこともない気がする。
あれ?っと呪いさんが声を上げた。
「ん?なにかあった?」
「部屋、くるっと見せて。」
呪いさんをもって、部屋の中央でくるりとまわってみた。
「あぁ、その窓の横の壁。」
「かべ? ここ?」
お隣さんとの境の壁に呪いさんを向けた。
「それじゃぁ、俺に映った壁みえないじゃん。」
「なんか流暢にしゃべれるようになってない?」
言いながら壁の前に立ち、鏡を自分の方に向けて呪いさんに映った壁をみた。
たらたらと血が人の形に流れていた。
「え?」
思わず振り返って壁を見るがなにもない。
ただがりがりと音がしているだけ。
もう一度呪いさんの鏡を見る。
噴き出した血は床にたまって血だまりになっている。
が自分の目でみるとなにもない。
なんで?
「ここの壁、壊してもいいかな?」
「一応大家さんにお伺い立てたほうが良いのでは?」
俺たちは大家さんに不動屋さんとの事情を話し、壁を壊してもいいかとお伺いを立てた。
「だめだ!」
大家さんには一喝されてしまった。
しかたないので、壁紙だけはがした。
がりがり…
音がどんどん大きくなっていく。
がりがり…
ボロッ…
壁の一部が崩れた。
がりがり…
ボロボロ…
壁がどんどんくずれていく。
「これ、まずくないか?壁 壊したらだめなんだろ?」
「でも、勝手に崩れていってるから…わぁぁぁ!」
頭蓋骨の空虚な目が俺たちを見ていた。
「け、警察…」
しばらくすると警察が鑑識さんをつれてやってきた。
現場は一気に騒がしくなり、俺たちは警察へ連れていかれた。
不動産屋さんも駆けつけてくれた。
「はい、私が彼に依頼してあそこに住んでもらったんですが…」
「で、どっちが殺したの。」
そっけない刑事さんの言葉に俺たちは顔を見合わせた。
白骨化してるのに、どっちって…
「俺らの訳ないでしょ。あの骨、いつから埋まってたもんなんですか?そういうのわかるんでしょ?」
「あ~3年~5年くらいたってるらしい。」
「じゃぁやっぱり俺らじゃないじゃん。」
俺ら3人が口々に文句をいうのに刑事さんは耳をふさいで、
「じゃぁ、名前と住所ここに書いて、帰っていいよ。」
と放免された。
のちの調べで彼は4年前に行方不明になった人らしかった。
大家さんが誤って死なせてしまったらしい。そこで素直に警察に電話すればよかったのに、壁にうめてしまったらしい。
賃貸なのに壁を壊して何かをしようとしてた家賃滞納者と言い争いになって突き飛ばしたらあっけなく…ちょうど壊された壁があったからそこへ遺体を放り込んで漆喰で遺体ごと埋めたらしい。
びっくりするくらい山ほどの消臭剤も一緒に埋まっていたらしい。
あれから、かりかりはなくなりあの部屋は正真正銘事故物件になってしまった。
しかし、何が音を鳴らしていたのかはどうしてもわからなかった。
新しい大家さんは若い夫婦らしい。
そして、俺は自分の家へ戻り 呪いさんの鏡を修復した。
夜になるとかりかりと音がするようになった。
音は大きくはならないが、ずっと鳴っている。
「ごめん、居候なのに居候ができた。」
と呪いさんが血まみれの顔で照れた。
きーっと鏡をかく音とばんっと壁を叩く音
それにまじってがりがりと壁をかく不協和音が
夜中の部屋にひびきわたる中、俺は深い眠りについていた。
「
誤字脱字、変換ミスてんこ盛りかもですが、速やかに訂正していきたいと思っておりますので、長い目で見てやってください(>_<)




