真夜中の呪いさん
やっぱり私には怖い話は無理なのかも…どうしても最後は怖くない話に…頑張れば頑張るほど…楽しんでいただけるとうれしいです☆彡
俺、遠野拓海は今年大学を卒業して一人暮らしを始めた。
学校は奨学金ででられはしたが、これからそれを返していかねばならない。
始めたばかりの一人暮らしはどれくらいのお金がかかるかわからない。
基本の出費はできるだけ抑えたい。
ということで、事故物件に住むことにした。
2Dkでバス付トイレ別の好物件…事故物件だけど…
これで家賃3万は破格…うん、事故物件だってわかってる…
孤独な独居老人の老衰くらいだったら非常にありがたかったんだけど…
どうもご近所のピーチクパーチクさんたちの話によれば、若い男が自殺したらしい。
しかも、死ぬときに「呪」と鏡に書いて手首を切って逝ったらしい。
俺の家は結構貧乏で、うちの親もそういう物件を探して住んでいた。
夜中に足音くらいならはまだ良い方で、鏡の中に血まみれの女の人とかポルターガイスト…もまだましな方だったかな。
皿がとぶだけだし。
ただ、割るのはやめてくれっと両親は全部割れ物をプラスチックに変えた
だから、事故物件は平気なはず…
両親はあまり見えない人らしく、血まみれの女の人なんかは俺しかみてない。
だから、余計に事故物件はありがたいとばかりにわざわざ探して住んでいた。
今回もまた血まみれさんがでてくるのかもと、ちょっとどきおどきして夜を待った。一応ちゃんとすみつづけられるか試しに一晩とまってほしいといわれて、まだ賃貸契約はすんでいなかった。良い大家さんだ。
草木も眠る丑三つ時、いきなり電気が消えた。
そしてきーっと歯がうくような鏡を爪でひっかくような音が鳴った。
耳を押え立ち上がった。
くらぁっと来たがなんとかふんばり、風呂場に急いだ。
風呂場の鏡、血のような真っ赤な液体で書かれた「呪」の文字。
誰を呪ってるんだろう。
これがまだここにうかぶということは呪いは成就してないし、呪うべき相手もわからないとか?
しかし、実害はない。 翌日、鏡の文字も消えていた。
血まみれさんもでなかった。
全然良い物件じゃん。
俺は喜んでこの部屋を契約した。
それを友人たちに話すと
「お前バカ? なんでそんな物件にわざわざ…」
「なんで、それなりに広いし、実害ないのに家賃はやすいし。いうことなしじゃん。」
「お前、やっぱ変…世の中には事故物件と呼ばれる物件は山ほどあるが実害どころか、なにもでない物件だって山ほどある。なんでそっちを選ばんかな…」
大学時代の友人は誰もみんな面倒見がいいし、やさしい。
一番仲の良いのが山本悠馬と神崎小太郎。
二人が俺の部屋に遊びにくるという。
俺みたいな平凡なの かまったって楽しくはないだろうに。
でも、二人は俺によくかまうし、色々言ってくる。
宣言通り2人が酒とつまみを買い込んで家にやってきた。
散々飲んで、食べて、明日は日曜というのもあって、みんなでオールだぁっと盛り上がった。
しかし、1時半を過ぎたころから、なんかみんなあやしくなって、眠そうにしている。
「2時までもたないんじゃないか? あきらめて寝る?」
「眠くなんかないぞーもりあがっていこう。おー」
と叫ぶ。
「うるせぇぞ」
どこかの部屋から怒鳴り声。
「すいません。」
こちらも大きな声であやまった。
きこえたかな?
そして2時…
2人ともかろうじて起きていた。
そしてきーっと鏡を爪でひっかく音が…
びくっと身体を震わせて眠そうだった二人が飛び起きた。
俺はこっちと手招きしながら風呂場へいく。
風呂場の鏡には「呪」の文字が…
そして、今日はそこに血の手形がどんっと押された。
しばらくみていると今度は反対側の浴室の壁にドンっとまた血の手形がついた。
ドンッドンッっといくつも血の手形が浴室中についていく。
真っ赤な部屋?
昔のホラーでそういうのをきいたことがあった気がする。
聞いたときは怖かったんだけど、今はどんな話だったかさえ覚えていない。
悠馬と小太郎は浴室の入口で増えていく手形を震えながらみていた。
どんっとおとがするたび、びくっと身体をふるわせながら。
「おい、おい、おい。どこが実害ないんだよ。怖すぎるだろ。」
これだけどんどんと音がするのにさっきの人は怒ってこない。
結局二人は抱き合ったまま一睡もできなかったらしい。
もちろん俺はあれからぐっすり寝ました。
「お前おかしいよ、あんな部屋でよく熟睡なんてできるな。マジで怖くないの?」
「だって、実害ないじゃん?」
「あるだろ。」
「どこが?別に襲われるわけでも、なにか壊れるわけでもないし。テレビが砂嵐で見れないなんてこともない。」
「お前、やっぱ変だわ。」
と小太郎がけらけら笑った。
しかし悠馬はなんだかやつれたように見えた。
「どうした?悠馬、体調わるいのか? やっぱ飲み過ぎた?」
「なんでもない。」
そう言って帰ってしまった。
それから次の週末またみんなで集まった。
「あれ?悠馬は?」
「あいつ体調壊して仕事もずっと休んでるらしいぞ。」
「お前の家でよくないものに憑かれたんじゃないか?」
「そういえば、あの夜からうちの呪いさんでてこなくなったんだ。」
「お前、呪いさんにも捨てられたのか?」
「いや、まったくというわけでもないんだけど、2日に1回になっちゃって…
うちに出ないときはどこへ行ってるんだろう。」
「まさか、悠馬に憑いて行っちゃったんじゃないのか?」
誰かの声にみんな笑った。
「まさかぁ」
そんな話をした夜、見舞いがてら悠馬の様子を見に行った。
手土産にちょっといい酒とつまみを買って持って行った。
ぴんぽーんと呼び出し音の後、結構な時間待った。
「いる…よな?」
「誰…」
ひどい声、風邪でもひいてたのか?
「俺だよ、拓海、大丈夫か?」
「あぁ、入って。」
招き入れられたのはいいけど、部屋は荒れ放題。
ゴミも散乱していた。
「どうしたよ、お前大丈夫か?」
「あいつが来るんだ、2日に1回あいつが…あいつが…」
いきなり立ち上がって自分の頭を掻きまわし始めた。・
「あいつ、俺をうらんでて…」
「なにか呪いさんに恨まれるようなことしたのか?」
「ちがう、あいつが、あいつが悪いんだ。へんなオカルトにはまるから。」
「へんなオカルト?」
「あいつ悪魔信仰なんかして、生贄とかって虫とかカエルとかネコとかころして、ささげてたんだ。それ見て、引いちゃって別れたんだけど、それまでは結構相性の良いセフレだったんだ。」
「せ、セフレ…ねぇ…まぁお前がだれかれかまわずなのは知ってるし、男も女もオールオッケーなのもしってるからなんも言わんけど…」
「へぇ、なんかすごいことになってるな。」
小太郎がいつの間にはいってきてたのかリビングの入口に立っていた。
「で、別れたら自殺されて。」
「なんで、最初からお前のとこにでなかったんだ?」
「ただのセフレだぞ、住所なんか教えるかよ。相性良いのは身体だけで、実際怖かったし。俺、ストーカーされてあの時付き合いきれた子たくさんいたんだぜ?俺 被害者だろ?」
「どうなんだろうな。」
小太郎と俺は二人で顔をみあわせ肩をすくめて見せた。
「たすけてよ、俺 悪くないって。」
「それは知らないけど、別れるとき、お前また感情にまかせてひどいこと言ってふったんじゃねぇの?」
小太郎の言葉は的を射ていたようで悠馬はうつむいて静かになった。
12時を過ぎたころ、またきーっと鏡をひっかく音と、ばんっと手形を押す音が聞こえ始めた。
悠馬は耳をふさいで、うずくまっている。
俺は浴室へ急いだ。
浴室ではばんばんばんっとものすごい勢いで壁に手形が押されどんどん真っ赤な部屋になっていく。
鏡の中では赤く染まった手を鏡につき、もとはイケメンだっただろう男が、さっきの悠馬と同じように髪を振り乱し、落ちくぼんだ目だけらんらんと光らせて、こちらをじっと見ていた。
「あ、呪いさん、。お邪魔してます。すいません、友人がひどいやつで。そろそろ許してやってはもらえませんか?」
と、普通に話しかけた。
「ゆるせるわけないだろ、ゆうまは俺のものだ。誰にもわたさない。」
「はぁ、今も悠馬を愛してると…」
「悠馬、悠馬、俺の悠馬…悠馬がこっちへきてくれないから…」
「すいません。まだ悠馬をそっちへやるわけにはいかなくて…」
「ずいぶん冷静だね。俺が怖くないの?きみ、俺に殺されちゃうかもなのに。」
「俺的には実害ないので、出来たらこれまで通り俺の部屋でいてくれて良いんですが。どうも俺の友人があなたにひどいこと言ったようですし。」
「変なやつ。俺も君みたいだったらこんなに苦しいことなかったのにな…」
「くるしいんですか?」
「そりゃ、癒されることのない思いがずっと俺を焼いてるんだ。痛いし寂しいし苦しいよ。」
「あぁ、人を呪わばなんとやらっていいますしね。」
「でも、あんたとしゃべってすこしは楽になったきがする。わかったもう帰るよ。」
そう言って呪いさんは消えてしまった。
帰るって…うちに?
まぁ別に今まで通りなら良いけど…
俺は居間へもどりことの顛末を話した。
「うそだ、あいつが俺をあきらめるはずなんてないだろ。お前もあいつとぐるか、そうなんだろう。あいつが俺を呪い殺すのをお前も待ってるんだろ。」
そう言っていきなり俺の首を絞めてきた。
やばい…俺こんなとこで死ぬの?
普段へらへら生きてたツケが回ってきた、せめてこいつくらいいなせるくらいには身体鍛えておけばよかった…こんなことなら呪いさんに殺されてあげればよかったんじゃ…
「ばか、ちゃんと抵抗しろ。生きてる人間に殺されてどうする。」
小太郎が悠馬に当身をくらわせ、悠馬の体がその場に崩れ落ちた。
ごほごほ。
突然もどった空気にせき込んだ。
すこしひりつく首をさすり、悠馬を寝室に小太郎と二人で寝かしつけた。
荒れた室内は自分で片付けろと、そのままに小太郎と家へもどった。
午前2時。きーっといつもの音がする。
本日2度目…タフだねぇ。
爪、痛くならないのかな?
そしてばんっと大きな音がなった。
浴室にいくとガラスにはやはり呪の一文字に血染めの手形。
彼が少し遠くでちらっと見えた。
するとばんっと手がつかれ、彼が鏡に近づいた。
「それ、まさかあいつがまた締めたの?」
「またって…もしかして…」
「うん、俺あいつに何度も絞殺されそうになった。」
「あのバカ…」
「なんか力がでなくなってきてる、俺成仏しちゃうのかな…」
「俺は別にいてくれても全然いいよ。ここ事故物件だから、なにも起きないのに家賃やすいのって悪い気もするし。」
「本当にへんなやつ。」
「話はついたかぁ」
「うん、今日から俺の同居人だ。夜しか出てこないけど…」
「そか、寂しくなくてよかったじゃん。まぁがんばれ。」
そう言って小太郎は何事もなかったように帰って行った。
後日、悠馬に付き添って警察へ行ったが、実際悠馬が殺したわけでもないので厳重注意ですんだ。
今いるセフレは全員別れさせた、首を絞めるなどの被害を受けてた人には悠馬から謝罪と慰謝料を払わせた。
ちょっとは心やすらかになるといいんだけど…呪いさん…
そして今日も午前2時、きーっと耳を覆いたくなる恐ろしい音が…
誤字脱字、変換ミスてんこ盛りかもですが、速やかに訂正していきたいと思っておりますので、長い目で見てやってください(>_<)




