肝試し
応募したはいいけれど、ホラーになりきれないホラーです…(がっくり)楽しんでいただけたらうれしいです。
俺はホラーは苦手だ。
なのにこのくそ暑いさなか肝試しをやろうと言い出した奴がいた。
ここ翠学園は幼稚舎から大学まで一応エスカレーター式の一環校。
すべての校舎には教会がくっついてるし、寮もある。
別に全寮制というわけではないが便利だし、楽なのでおそらく98%くらいは寮生していると思う。
しかし、夏休みに入りみな自宅へ里帰りしたので現在の寮生は10人くらいしか残っていなかった。
俺は今、実家が改装中のため、帰ってくんなといわれてしまった。
しかし、この人数で肝試しって…
誰がお化け役やるっていうんだ。
と、思っていたら悪乗りした寮監が先生方を呼んできた。
中等部の寮もおなじくらいしかいないので、一緒にやることになった。
生徒20人、先生は50人…おおすぎだろ。
何人でお化けするんだ。お化けの大渋滞になるだろ。
当日結局先生は30人ほどしかあつまらなかった。が、それでも生徒より多い。
俺たちは2人1組で小学校の旧校舎をまわることになった。
お化け役の先生はすでにスタンバイ済
俺のペアはなんだか影の薄いやつだった。
「お前、何年?」
「ぼく、中等部1年の高田です。」
「俺、高等部2年山辺、今だけのペアだけど、よろしくな。」
「はい、よろしくお願いします。」
俺だってこいつから見たら影薄いかもしれない。
俺はどちらかというと教室の片隅で小説をずっと読んでるみたいな感じで教室での存在感はない。
「はい、3組目、出発してください。」
小さな懐中電灯のたよりない光に浮かび上がった古い校舎はかなり不気味。
「なんか怖いですね…」
1歩あるくたびに床がギシリとおとを立てる。
いつ建てた校舎だよ。なんでとりこわしてないんだ。
そんなことを思いながらぎしぎしときしむ廊下を歩いていく。
時折風が通るのかキーっと高い金属音をたて、どこかのドアが開くおとがする。
目的地は3階男子トイレ。
50m近い廊下をまっすぐ歩いて、階段上がってもっかいまっすぐ50m歩いてくる。3階にのぼってまた50m歩いて、ゴール。
計150mの間にチェックポイントが3か所あり、それぞれ教室の教壇の上に置いてある、スタンプを押さないといけない。
そして、その全部押されたスタンプカードをゴールのトイレの一番奥の個室においてある箱に入れればあとは階段を一気におりて、外へでる。
そんなコースだった。
それでなくても不気味な夜の校舎。
ぼんやり浮かぶ小さな懐中電灯のライトはたよりなげで、ライトの外の暗闇が余計に怖い。
高田もこういうのは苦手なのか俺の腕をしっかりと握りしめていた。
「せ、先輩…あそこ…誰か…見てる…」
言われて懐中電灯をむけると、石膏像の目が光っていた。
「…」
声にならない悲鳴を上げそうになりながらも慎重に少しずつ前に進む。
「こわくない こわくない こわくない。」
俺の腕に抱き着きながら念仏のように唱えてる高田がなんかかわいかった。
あちこちで男子校とは思えない悲鳴が上がっている。
やっぱみんな怖いんじゃん。
なんだかほっとしたら余裕がでてきた。
怖いながらも順調に進んでいく。
あいかわらず、足元はぎしぎしときしむ音がひどい。
ぎーっと体育館か何かの重そうな扉のしまる音。
でも、お化け役はでてこない。
先生さぼってんな。
まぁおどかされないのは良いけど…
相変わらず廊下のきしむ音だけで充分怖い。
2つ目のチェックポイントをクリアし、次に行こうと教室をでると上から何かが落ちてきた。
悲鳴を上げそうになったがなんとかこらえた。
俺が叫ぶより先に高田が悲鳴を上げ、腰をぬかしたから…
落ちてきたのは結構なサイズのネズミだった。
こんなとこ餌なんてあるのか?とは思ったが、まぁそれはどうでも良い。
高田を助け起こして上へあがる。
3階へ行こうとしていたはずなのに、上に上がると屋上の扉の前に出た。
あれ? ここ屋上の扉だよな?
3階はどこへ行った?
「先輩、これ屋上の扉ですよね?」
「だよな、3階は?」
「1階しかまがりませんでしたよね?
学校の階段はどこも1階ずつ1回回る…曲がる?
つまりUターンだよな。
さっき2階から上がってくるとき1階しか曲がってない気がするのだが…
屋上はもちろん鍵がかかっててでれないはず。
なのにぎーっと扉が開いた。
さっきまでの体育館の扉のような音はこれか?
この音がしてたってことは何組か外へでたのか?
恐々1歩外へ歩でた。
外は涼しかった。
気持ちの良い風がさっきまでのおどろおどろしい空気を吹き飛ばしてくれる。
「先輩…ごめんなさい…俺…ここがゴールみたいです。」
そう言って高田はふらふらと端まで歩いていく。
「おい、高田。あぶないって、待てよ。」
昔の校舎、飛び降り防止ネットもまだなかったころの。
「高田、しっかりしろよ。」
それでも、端まで歩いていこうとする。
俺は高田を抱きしめた。
「なんでここがゴールなのかはきかないけど、なにかあるなら俺に話してしまえよ。」
「思い出したんです…俺…ここから飛ばないと…」
「なんでだ、いじめか?誰に命令されたんだ。俺がそいつぶん殴って…」
こぶしを固めた俺の手を高田が大事そうに抱きしめた。
「ありがとう、先輩。もっと早く先輩とであいたかった。」
「今でもおそくなんかないだろ。」
ぎーっとまた重い扉の音がする。
きっとその命令したやつかと扉をにらみつけたが、その重そうな扉があいている気配はなかった。
とにかく、こんなところに居たらまた高田が飛び降りようとしそうで怖かったので、急いで高田をだきかかえるようにして、扉の中へもどった。
屋上前の踊り場。
また、後ろでぎーっとおとがして屋上の扉が開いた。
なんで、こんな重い扉が風でひらくことなんてないはずなのに。
俺は高田の手をにぎり、暗闇につまずきながら走った。
1階分降り、おそらく3階を当初の予定通り進む。
うしろではまたぎーっと音がなっていた。
でも怖いので振り向かない。
やっとの思いでトイレにつき、一番奥の個室を覗いた。
ちゃんと回収ボックスがおいてあった。俺はスタンプカードを入れ、やっと終わったと思ったのだが。
今度はすぐ後ろでぎーっと音が鳴った。
ドキッとして後ろを振り返ると屋上の扉がひらいていた。
なんでトイレに屋上の扉が。
恐怖よりも驚きと高田の手はにぎっていたよなっと自分の手をみる。
いつの間に離してしまったのか高田とは手をつないでいなかった。
「ごめんね、ありがとう先輩。」
そういって屋上の扉のなかへ高田は消えていった。
再びぎーっというおととともに屋上の扉はしまり高田をのみこんだまま消えてしまった。
「高田!」
俺の声は高田にはとどかなかった。
俺は急いで下に降り、高田がいないと運営に離した。
「高田?今日の肝試し、お前ソロだったじゃん。」
「ソロ?」
「うん、中等部9人しかいなくて、お前ひとりでスタートしたじゃん。」
「…高田…は?」
「だから高田ってだれだよ。」
俺は訳がわからず、その日からしばらく寝込んでしまった。
夢の中では重い扉がぎーっと音をたてて開きなんども高田が飲み込まれていく。
それをとめたいのに、俺の手は高田にとどかない。
「先輩も一緒に来てほしかったけど、先輩やさしいから、やめにしたんだ。」
そう明るく言っていた。
体調が戻ると俺は急いで中等部の寮へ行った。
2年の生徒が去年高田という生徒が屋上から飛び降りたといった。
去年ってことは新校舎のほうだよな?なんで旧校舎の屋上?
俺は誰もいないのを良いことに中等部の校舎に忍び込み、屋上へあがってみた。
屋上のカギはなぜか開いていた。
守衛さん、しめわすれたのかな?
重い扉をあける、それは油がきれているのかあの時と同じぎーっと音を立てた。
周りを飛び降り防止ネットで囲まれた屋上。
もしかして、これのぼったのか?
思いながら下が見えるところまで行ってみた。
誰かがフェンスの上にのぼっていた。
「おい、危ないぞ。」
「先輩、会いに来てくれたの?」
「…高田…?」
「ごめんね、僕なにも参加しないまま死んじゃったから。一度くらい何かの行事に参加したかったんだ。まさかあれだけしつこく扉がおいかけてくるなんておもわなくて。
ぼく、実はとびおりたんじゃなくて、あの扉に挟まれたみたいなんだよね。」
「ぞう…なのか…」
「先輩、僕 先輩に一緒にきてほしいな。僕と一緒に。」
いつの間に降りてきたのか俺の手を引く高田が血まみれだった。
身体の半分がつぶれていて、直視するには無残な姿。
すっぱいものが込みあがってきたがそれを無理に飲み込んだ。
そして、血まみれの高田を抱きしめた。
「ごめんな、高田。俺、お前の事すきだよ。一緒にいってやりたいけど、今はまだだめだ。俺の寿命がつきるまで待っててよ。かならず一緒に逝くから。」
抱きしめた腕に力を込めた。
「なんか参加したかったら俺、いつでもお前に付き合うから、今はそれでごめんな。」
「ありがとう先輩。僕も先輩のこと好きだよ。」
かすかに唇に何かが触れた気がした。
俺の後ろでまたぎーっと重い扉が開く音がした。
誤字脱字、変換ミスてんこ盛りかもですが、速やかに訂正していきたいと思っておりますので、長い目で見てやってください(>_<)




