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ディーの無事を確認した魔弾は、すぐに地面に転がっている金属を手にして警戒した。

仁もまた、化け物を視認した瞬間に地面の金属を手探りで手繰り寄せ警戒する。

ザロは少し二人から距離を取り、化け物の様子を伺っていた。

「ダン、ちょっと火の用意するくらいの時間稼げる?20秒くらい。」

「分かった、タイミングは合図する。」

魔弾は化け物を注視しながら仁との距離を取った。

ーー前回の化け物よりだいぶ小さいぞ?でも額のアレは剥き出しだからなりたてって訳じゃあなさそうだな。まぁ…小さくても化け物に違いは無いか…。

「ジン!」

魔弾が金属を構えながら化け物に向かって走り出すと、化け物は少し驚いたのか魔弾と距離を取ろうと後ろにゆっくりと下がった。

その隙を見て、仁が中華ドラマに出てくるような火折子に似た筒を取り出し、息を吹きかけて火をおこし始める。

「ダン、火炎瓶いける!」

「オッケー!首の辺り狙えそー?」

魔弾の要求に仁が即答する。

「絶対無理だから、ダンお願い!」

魔弾と仁は互いにゆっくり距離を詰めようと動き出した。

二人のやりとりを遠くから見ていたザロにとって、金属を手に戦いへの参加を決意した瞬間だった。

なんとか火炎瓶を魔弾へ渡したい仁だったが、金属と酒瓶そして火のついた筒で両手が塞がっている状態では、化け物を刺激しないようにゆっくりと移動するしかなかった。

化け物に対する火炎瓶の威力を知っているザロは、すぐに状況を判断し化け物の意識を自分に向けようと金属を構え化け物の脇腹に狙いをつけ走り出した。

目の前の二人に釘付けだった化け物の意識は、脇腹に金属を刺されて初めてザロに向けられる。

化け物が立ち上がり方向転換した隙に仁は魔弾に火炎瓶を渡し、金属を両手で握りしめ化け物の背中に突き刺した。

しかし仁の攻撃はあまり効いていないのか、化け物は仁を無視してザロを威嚇し始める。

仁はザロを守りたい一心で、もう一度化け物の背中に金属を突き刺した。

仁の放った一撃は背骨を避け深く突き刺さり、強烈な痛みで化け物は一瞬仰け反り、すぐに立ち上がって振り向きざまに爪を振り下ろそうとした。

「こえぇぇぇぇーーーーーーー!!!」

仁は信じられない程の大声で叫んだ。

化け物は仁の威嚇に少し驚き後ろへ下がった。

その隙を魔弾は見逃さなかった。

火炎瓶は化け物の首元にヒットし、パニックになった化け物が所構わず爪を振り下ろす。

ザロがすかさず化け物の首元に金属を突き刺すが、まだ化け物は立ち上がったまま暴れている。

魔弾も金属で追い打ちをかける。

ロンギヌスよりも間合いが取れる分、爪への恐怖を克服した魔弾の一撃は狙い通りに喉に深く突き刺さった。

化け物は地面に倒れると、苦しいのかもがく様に暴れた。

ここで仁が化け物の腕に金属を刺して、動きを止めようと試みたが外皮が硬く失敗に終わる。

ザロと魔弾も化け物に隙を与えず刺し続けるが、致命的な一撃を与えることができずにいた。

「もう一回火炎瓶使おう。外皮が固すぎて首以外無理だ。」

冷静に状況を判断し、仁はすぐに火の準備に入った。

魔弾とザロが化け物を起き上がらせないように攻撃を続けていると、火炎瓶を携えた仁がすぐに戻ってきた。

「投げるよ!みんな離れて!」

仁の投げた火炎瓶は化け物に命中し、胸元から腹にかけての体毛を焼き尽くした。

広範囲に火傷を負った化け物が悲痛な声をあげる。

攻撃できる範囲が広がり、三人は休むことなく攻撃を加え続けていた。

「コイツ…なんかおかしい。本来なら、すでに毒で弱ってるはずなのに。毒が効かない個体なのかもしれない。」

仁は不安が伝染しないよう極力表情を変えずに話すつもりだったが、二人は仁の緊張した声を聞きすぐに事態の深刻さに不安を示した。

「こんなに暴れてたら、近づけない!これじゃあ、とどめが刺せないじゃないか…」

経験の浅いザロはすぐさま不安を声に出す。

しかし、一度化け物を駆除した経験のある魔弾と仁は、落ち着きを取り戻し次の手を考えていた。

ーー金属やロンギヌスの長さじゃ暴れる化け物の額を狙うなんて厳しい…かといってナイフで直接額を狙うには爪を食らう前提で近づくしかない…どうする?考えろ…考えろ…

魔弾が辺りを見回しながら何か使えるものは無いかと探し始める。

その様子に気づいた仁も周囲を見渡す。

「ジンの投げナイフで動いてる額狙える?」

「いや、流石にあんなに的が暴れてると厳しいかな。だからせめてあの爪なんとかして近づきたいよね…」

「爪が防げるならナイフでもいける自信ある!」

魔弾の即答に仁は少し気持ちが軽くなったのか、攻撃の手を緩めてあぜ道に放置されている荷車を見つめた。

「あの荷車でなんとか化け物動き封じられないかな?上半身を下敷きにする感じでどうにか…」

「なにそれ最高!車輪で両腕引ければ完璧じゃん!」

二人の会話を聞いていたザロが動き出す。

「じゃあ荷車は俺が取ってくる!」

攻撃を加え続けながら魔弾は、ふと化け物の傷を見て驚愕する。

「ジン、コイツちょっと回復してね?」

「あ…ダンもそう思う?首の出血止まってるからもしかしてって思ってたんだけど。」

お互い顔を見合わせながら苦笑いをし、なるべく深い傷を追わせようと力一杯攻撃を加える。

「ザロ急げー!」

魔弾と仁は化け物が起き上がることが出来ないこの状況を、なんとか維持できるように精一杯攻撃し続けた。

ーー荷車を一人でって…タイミング的にイケるか?

ザロは化け物の側まで荷車を引いてくると、次の指示を大人しく待った。

「ジン、首のあたり狙える?できれば深い一撃で。」

「やってみる…失敗したらマジゴメン!」

そう言って仁が金属を構え助走し始める。

「ザロ、ジンの攻撃が入ったらすぐに荷車を押し出して化け物の動きを止めてくれ!」

ザロが無言で頷くのを見ると、魔弾は自身の体重をのせ金属を化け物の腹に深く刺しすぐに距離を取った。

次の瞬間、魔弾に続き仁が化け物の首元に力一杯金属を刺す。

ザロは待っていました言わんばかりに荷車を押し出し、すぐに仁もザロに合流し化け物を荷車の下敷きにする事に成功した。

タイミングを見計らって魔弾はすぐにナイフを手に持ち、荷車の下敷きになった化け物に駆け寄った。

魔弾がナイフを頭上に構え化け物の額に振り下ろそうとした瞬間だった。

何か白い物体が魔弾の目の前を横切って飛んでいき、木にぶつかって地面に落ちた。

ーーえ?ディー?

地面に横たわるディーを見て、魔弾はすぐに飛んできた方向に視線を向ける。

ーーあぁ…終わった…

恐怖で体が動かない魔弾を、立ち上がった大きな熊の化け物が見下ろす。

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