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海岸ツアー

夜が明け、足元がうっすらと確認できるようになり、二人は早速海岸を目指して出発する事にした。

空腹の限界に達していた二人は、なんとか道中で食糧を確保しようと視界に入る隅々を注意深く確認しながら歩いた。

海岸が近づくにつれ木はどんどん少なくなり、かわりに背の高い椰子のような木が増えてきた。

木の下に何個か落ちている木の実を見つけたが、割れていたり虫が集っていたりでそれを食する勇気は二人に無かった。

漸く木に実がなっているのを見つけ、何度も石を投げて実を落として手に入れたが、割ってみると中はほとんどが液体で食べることができる箇所は少なかった。

「なんか生暖かい味の薄いスポドリって感じ…」

魔弾がなんとも言えない表情で感想を仁に伝える。

仁は余程空腹を我慢していたのか、美味しいとは言えないその実を物凄い勢いで食べ始めた。

その様子を見ていた魔弾は、周囲を見回して実がなっている木は無いか探し、追加の実を石で落とした。

追加の実を受け取ると、我に返った仁は少し恥ずかしそうに遠慮しながら言った。

「ダンも食べた方がいいよ…食べないと歩くの辛くない?」

「んー…俺はまだ大丈夫!ジン食べていいよ!」

魔弾は決して仁に気を遣った訳ではなく、純粋にそこまで逼迫した空腹ではなかった為だが、仁は申し訳なく思ったのか静かに実を食べ、時折泣きそうな表情をしていた。

仁が実を食べている間、魔弾は海を見ながら海岸線をどっちの方角へ進むべきなのかを考えていた。

ーー早く宿舎に帰って公衆浴場行きたいな…頭痒い…。あ、海水で洗っとく?

魔弾は前屈みになって頭を海水で濯いだ。

ーーやべー!冷たくて気持ちいいー!!そういえば俺こっちきて一回も海入ってないかも?

遠くから見ていた仁も、一緒に海水で頭を濯ぎ始めた。

「頭すごい痒かったんだよねー、あぁ気持ちいい…」

「俺海にきたの久々かも…最後に行ったの大学の時に旅行で行ったのが最後かな?レテって海綺麗だよね、南国リゾートって感じ。」

「街の雰囲気とか思いっきり南国だよね!一年中この気候だから過ごしやすいしいいよね!」

うんうんと仁が頷きながら同意する。

ーーん?一年中??季節無い感じ?

「レテって冬来ないの??」

魔弾が不思議そうに仁に訊いた。

「うん、ずっとこのまま。雨もあまり降らないかも。住むには最高の環境だよね。」

「夏も冬も日本は極端すぎて辛いよねー…それ考えるとレテ最高じゃん!」

「ホントだよ!住民もいい人多いしさ!」

仁が嬉しそうに言った。

海辺で少し休憩を取ると、二人は太陽の位置から街の方角を予想し歩き出した。

最初は楽しく海岸ツアーをしていた二人も、一時間程歩くと口数は少なくなっていた。

三時間を過ぎたあたりで、二人は漸く遠目に柵を発見した。

「俺にはこの柵登れないと思う…ごめん。」

仁は柵を見上げながら申し訳なさそうに魔弾に言った。

「いや、多分俺も無理だと思う…これはちょっと高すぎる…。」

そう言って魔弾は柵を両手で掴み揺らした。

「これ海泳いで回避できないかな?波止場の方に泳いでいけそうだと思うんだけど。」

そう言って仁は服を着たまま海へ潜っていった。

しばらく待っていると仁が海からあがって来た。

「行けそうだった!ダン泳ぎ得意?岩場避けるとちょっと距離あるけど…。」

「泳げなくはないんだけど、得意ってほどじゃない感じ…。」

魔弾が自信なさそうに答えると、仁は腰紐をほどき魔弾の腕に結んだ。

「波は穏やかだから大丈夫だと思うけど、俺が先導するから溺れそうになったらこの紐引っ張って。」

「分かった!なるべく頑張る!」

二人はゆっくりと海に入っていった。

ゴーグル無しで泳ぐ海は、魔弾にとってかなり厳しいものだった。

だが仁の先導は力強く、魔弾を引っ張るように泳いでいた為うまく進むことが出来た。

ーージンすげぇ…水泳得意なのかな??もしやライフセーバー経験者?!

柵を越え、海岸沿いの岩場を抜けたあたりでやっと足が底に着く程海岸に近づくと、二人に少し余裕が生まれた。

「あともう少し!頑張れ!」

仁が魔弾に声をかけた。

「おー!」

魔弾にはその一言で精一杯だった。

二人は海岸へ辿り着くと、すぐに仰向けに寝転び呼吸を整えた。

「海って泳ぐの結構きっつ。ジンが引っ張ってくれなかったら、俺多分岸に辿り着けなかったわ…。」

「流石にちょっと疲れたねー。あぁー肉食べたいわー!戻ったら速攻食べに行こーよ!」

「いいねー!でも先に公衆浴場行こう!髪のベトつきやばいわ…早く毛根を癒してあげないと!」

「確かに!んでその後一杯やりながら肉パーティーとかマジ最高!よっしゃまだ頑張れる!」

会話も盛り上がり、二人はすぐに立ち上がって波止場に向かって歩き出した。

波止場に着くと階段と長い坂道が待ち受けていたが、ゴール目前のやる気に満ちた二人にとっては問題なく進むことが出来た。

「港誰も居ないね。船来ないといつもこんな寂しい感じなの?」

坂を登り終えた仁が不思議そうに魔弾に訊いた。

「いや、いつもキオとかマトが出荷準備とかしてるよ?でも今日は居ないっぽいね。」

魔弾も少し不思議に思っていた。

港を出て広場へ歩いている時も、二人は違和感を感じていた。

「なんか人居なくない?なんかあったのかな?」

仁が不安そうに呟くと、魔弾が広場を指差して呟いた。

「何あれ…?なんかのイベント?」

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