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オール

魔弾が目を覚ましたのは、夜更け過ぎだった。

目を開けた瞬間背中に痛みを感じ、しばらく声を出すことが出来なかった。

首を傾け横を見ると、仁が跪いて祈っている姿があった。

「ジン……。」

思った以上に声量が小さく、かすれて囁くようだった。

仁は呼び声にすぐさま反応し、魔弾の側へ駆け寄った。

「あぁ…良かった…本当に、もうダメかと思って…。」

仁は涙を堪えながら呟くと、魔弾の手を握った。

魔弾が上半身を起こそうとすると、すぐに仁が制止した。

「後頭部からすごい出血してて…だからまだ動かない方がいいと思う。」

仁が起き上がろうとする魔弾を強引に寝かせた。

「後頭部打ったの?痛み感じないけど……。」

魔弾は目覚めたばかりで、状況が全く把握出来ずに困惑していた。

「俺たち彼処から落ちたみたいで、俺は一昨日の夕方には気が付いたんだけど、その時ダンの後頭部付近に血溜まりがあって、動かすの危ないかもしれないしどうしていいか分からなくて…とにかく止血しなきゃって思って布で傷口押さえようと思ったんだけど、傷口見つからなくて…呼吸はしてるけど呼んでも目覚める気配が無くて…。」

仁が今にも泣きそうな表情で話すのを見て、魔弾もつられて泣きそうになった。

ーー出血は…止まってる?てか全然痛くないけど…地面が硬いから背中がちょっと痛いけどこれはどっちかって言うと痺れ??ってあれ?!足痛くないけど??

魔弾は突然起き上がり、自身の太腿を恐る恐る確認した。

「あれ?!傷は??治ってる???え?ここ結構ひどく抉れてたよね??」

「起きて大丈夫?!目眩とかない??気持ち悪いとか平気?」

心配そうに仁が見つめる。

「多分大丈夫?足も頭も平気っぽい…」

魔弾は状況を把握しようと辺りを見渡した。

ーー彼処から落ちたのか…柵より高くね?あの高さから落ちて助かったとかすごくね?

「そういえば、化け物は?狼の化け物いたよね?」

「俺が目を覚ました時はいなかったよ。ダンが目覚めるまで、化け物来たらどうしようって不安で眠れなかったよ。」

仁が魔弾に水袋を差し出すと、魔弾はそれをゆっくりと口に含んだ。

「ここどの辺だろ?」

「多分、海が近いんだと思う。ほらこの虫、よく波止場で見るやつ。」

仁が虫を摘んで見せた。

ーーヒッー!!!素手でいっちゃうの?!マジ?!

「とりあえず海まで出れば、海岸線に沿って歩けば街に帰れそうかなって思うんだけど。」

「確かに!レテって小さい島って言ってたし、海岸線ツアーで異議なし!」

「じゃあ明るくなったら歩きますか!」

二人は大きめの岩に腰を下ろし夜明けまで時間を潰すことにした。

「ジン、寝てないならちょっと寝とく?俺起きてるからいいよ?」

「いや、大丈夫だよー。強いて言えば睡眠より食事希望って感じ…。」

「俺もずっと寝てたくせに腹減った…。明るくなったら歩きながら木の実でも探そうか!」

月明かりを頼りに互いの表情を確認し合う。

「なんかオールするの久々じゃない?!なんかテンション上がってきた!」

一人で過ごした三日間が余程寂しかったのか、仁は嬉しそうに話す。

「だねー!初めて会った日以来?もうすぐ二ヶ月経つのかな?早いなー、後少しで収穫祭じゃん!」

魔弾も仁につられ嬉しそうに話す。

「あと少しで大陸って思うとワクワクの反面寂しさもあるんだけど、ダンと一緒に街の外に出てみてすっごい楽しかったんだよねー。これが大陸に行っても続くのかって思うとさーマジで最高じゃない?!」

「実は俺も結構楽しんでたんだよねー。なんか冒険?みたいな感じでさー。化け物退治も、二人で原始人やってたらこんな感じで楽しいだろうなーって感じで。」

「冒険って感じすごい分かる!最高のロマンだよねー!俺も武器欲しくなっちゃったよね。」

「そう言えば、レテって武器売ってるの?」

「どうだろ、俺ナイフしか見た事ないかも。」

ーーでたー!!またナイフかよー!!

「ナイフ好きすぎでしょ!でも実際問題ナイフって結構きついよね。俺あんな至近距離まで近づかなきゃ意味ないって知らなかったし、化け物の間合いでナイフ刺すのは危険すぎ。そう言えばジンの投げナイフ凄かったわー!映画みたいだった!」

「映画の影響で練習しまくったよー。ナイフ買ってひたすら修行しちゃったよね。でもちょっと威力がねー、期待した程でもないかなーって。」

仁は少し得意げに投げる素振りを見せ、魔弾は羨ましそうに見ていた。

「大陸も化け物の被害すごいのかな?やっぱりナイフで退治するのかなー?」

仁が思い出したように答える。

「曲刀って言うのかな?なんか曲がってる剣みたいなの腰に差してる駆除人見たことあるよ。あとはー…船に乗ってる駆除人は槍っぽいの持ってるよね!」

ーー船の駆除人?そんな人いたの??

「やっぱり他にも武器あるんだ?!大陸で買えるのかな!?俺も欲しいなー、格好良い武器…。」

魔弾の妄想が加速する。

ーーもちろん鎧とかあるんでしょ?!ヤバイ!!理想の装備とか追求したくなっちゃう!

「弓とか売ってたら欲しいなー!毒と相性良さそうだし!あーでも矢の調達が大変だったら無しかなー…」

仁も妄想の世界へと足を踏み入れる。

「弓いいじゃん!弓なら胸当てとか手袋とかこだわりのおしゃれ装備考えるの楽しそー!」

「手袋重要だよね!黒革で出来たシックな感じの装備で胸当てとセット希望!」

二人の会話は勢いを止める事なく続く。

「化け物の素材で装備作れたりすんのかな?!やべー!!夢広がりまくりなんですけどー!」

こうして、二人の盛り上がりは夜明けまで続いた。

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