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氷の奇公子 ~変人王子の生存術~  作者: 佐藤湊
第1章 誕生と王国の影
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第6話 夕食会2 第ニ王妃ヴィクトリア・ゲンス・デイ・アンティクイランド

この第二王妃のおかげで無双気味の主人公が5歳で絶望します。いえぃぃぃぃぃぃ!


8月9日~8月11日午前までにこの作品を読んで頂いた方にご連絡です。チャットGPTを直接使用することで、大幅に文章構成を修正しました。ご確認いただければストーリーがわかりやすくなると思いますので、任意で再度ご確認ください。


第二王妃ヴィクトリア・ゲンス・デイ・アンティクイランドは、すでに決意していた。


自分の息子――第二王子ルキウス・ゲンス・デイ・アンティクイランドを、必ず王太子にする。


そのためならば、何でもする。


実際。


本気で動けば、第二王子に王太子の座を転がり込ませることは、決して不可能ではない。


なぜなら――彼女の実家は、ガルディシア伯爵家。


大陸有数の交通の要衝である海峡を押さえる、巨大な権力を持つ家だからだ。


海峡の南側には、砂漠の大国カヴィーレスターン・スルタン国。


北側には、アンティクイランド王国。


両国を結ぶこの海峡は、アンティクイランドにとって極めて重要な交易路だった。


そして、カヴィーレスターンとの交渉を一手に担っているのが、ガルディシア伯爵家である。


その権力は――計り知れない。


海峡の関税収入は、両国で半分ずつ分配される。


さらにアンティクイランド側へ入った関税収入は、王家とガルディシア伯爵家で折半される。


その収入が王家の年間収入に占める割合は――実に二一・六一パーセント。


莫大な金だ。


つまり。


ガルディシア伯爵家が本気で動けば――


その財力と影響力によって、領地貴族から法衣貴族まで、王国中の貴族を取り込むことすら不可能ではない。


だからこそ。


この王位継承争いには――


絶対に勝たなければならない。


第二王子ルキウスを、王太子に。


そして、最終的には国王に。


そうしなければならない理由もある。


――灼熱の竜。


その存在によって、この国は滅びへ向かう。


その未来を防ぐためにも。


第二王妃は、決して負けるわけにはいかなかった。


そんな彼女にとって、最大の障害となるのが――


第一王子レノウィウスを擁立する第一王子派。


そしてもう一つ。


王弟カシウス率いる王弟派。


「…………」


第二王妃は、対面に座る男へ視線を向ける。


王弟。


宰相。


カシウス・ゲンス・デイ・アンティクイランド。


その瞬間。


カシウスと目が合った。


ほんの一瞬。


互いに何も言わない。


第二王妃は、僅かに目を細め――すぐに視線を逸らした。


……やはり。


王弟宰相も、第一王子を警戒している。


当然だ。


王位継承争いにおいて、神輿の質は重要だ。


担ぐ人間が同じならば、より優れた王子を掲げた派閥のほうが強い。


――だからこそ。


今日。


第一王子レノウィウスを、この目で見極める。


三歳の幼子。


まだ何も知らない。


まだ何もできない。


そうであれば――


扱いやすい。


傀儡にすることもできる。


少なくとも、そうであってほしい。


第二王妃がそう考えていた、そのとき。


――扉が開いた。


彼女は自然とそちらへ視線を向けた。


最初に見えたのは、小さな靴だった。


そして――


その後ろから、一人の幼子が姿を現した。


第二王妃の目が、ほんの僅かに見開かれる。


第一王子。


レノウィウス・ゲンス・デイ・アンティクイランド。


今年で三歳。


まだ幼児と呼ぶべき年齢。


なのに――


「…………」


何だろう。


この違和感は。


雪とも銀ともつかない、淡いプラチナ色の髪。


白い肌。


そして――瞳。


海のような深い青ではない。


宝石のように均一な色でもない。


澄み切った泉の底を思わせる、静かな碧。


美しい。


それが、最初に抱いた感想だった。


思わず息を止めるほどに。


だが――


美しいだけではない。


幼子が、こちらへ歩いてくる。


足取りはまだ少し不安定だ。


それでも。


その目だけは――妙に落ち着いていた。


第二王妃は、無意識にその視線を追う。


侍従。


近衛兵。


座席。


父親。


そして――


自分。


レノウィウスは、周囲を見回している。


ただ眺めているのではない。


一つ一つを確かめるように。


誰がどこにいるのか。


誰が誰の側にいるのか。


まるで――


この場そのものを把握しようとしているかのように。


「…………」


第二王妃の胸の奥に、小さな引っ掛かりが生まれた。


三歳児なら。


母親の姿を探すのではないか。


父親を見つければ、喜ぶのではないか。


食事の席に目を輝かせるのではないか。


なのに。


この子は違う。


周囲を見ている。


人を見ている。


位置を見ている。


そして――


自分を見ている。


「……何を見ているの?」


思わず、心の中で呟く。


その瞬間。


「レノウィウス」


国王の声が響いた。


幼子が足を止める。


そして――


「はい、父上」


第二王妃の眉が、僅かに動いた。


……三歳?


今の返事は、あまりにも落ち着きすぎている。


もちろん。


王族として教育されているのだろう。


第一王子なのだから、それくらい当然なのかもしれない。


そう。


そうに決まっている。


第二王妃は、自分に言い聞かせる。


まだ三歳。


まだ幼子。


まだ――


そんな彼女の思考を遮るように。


レノウィウスが席へ向かって歩き始めた。


そして。


その途中で――


一瞬だけ。


こちらを見た。


目が合う。


泉のような碧い瞳。


静かで。


澄んでいて。


何も知らない幼子の目。


……のはずだった。


第二王妃は、奇妙な感覚に襲われた。


見られている。


違う。


子供に見られているのではない。


――観察されている。


そう感じた。


「…………」


背中を、冷たいものが走る。


だが。


第二王妃は笑った。


王妃として完璧な笑顔を浮かべる。


「まあ、レノウィウス殿下。大きくなられましたね」


「ありがとうございます」


それだけ。


余計なことは言わない。


けれど、礼を欠いてもいない。


完璧な返答。


第二王妃の笑顔が、ほんの僅かに固まった。


――おかしい。


この子は。


本当に三歳なの?


彼女はレノウィウスの背中を見つめた。


幼い。


小さい。


まだ何も知らないはずの身体。


なのに。


その背中から感じるものは――幼さではなかった。


冷静さ。


いや。


もっと別の何か。


もし、この冷静さが。


年齢を重ねることで――


知性に変わったら。


もし、その知性が――


政治を理解するようになったら。


もし。


この子が自分の置かれた立場を理解し。


自分の敵と味方を理解し。


そして――


王位を欲したなら。


第二王妃は、無意識に指先へ力を込めた。


「…………」


違う。


考えすぎだ。


まだ三歳。


まだ幼児。


今なら、どうとでもなる。


神輿にすればいい。


第一王子という血筋だけを利用して、こちらの都合のいい王に育てればいい。


そう。


そうすれば――


「…………」


なのに。


胸の奥に棲みついた違和感は、消えてくれなかった。


むしろ。


大きくなる。


この子は――


神輿ではない。


傀儡でもない。


そして。


ただの幼児でもない。


第二王妃の生存本能が、警鐘を鳴らしていた。


理屈ではない。


政治家としての判断でもない。


母親としての勘ですらない。


もっと原始的な。


生き物としての本能。


――こいつを殺せ


そう告げている。


第二王妃は、もう一度レノウィウスを見る。


小さな背中。


小さな身体。


そして、あの泉のような瞳。


「…………」


違う。


あれは――


神輿ではない。


傀儡でもない。


幼児でもない。


ならば。


いったい、何なのか。


答えは一つだった。


第二王妃は、誰にも悟られないように微笑みながら――


胸の奥で、その名を呼んだ。


――敵。


そう。


この子は。


私たちの――


敵だ。


こうして第二王妃は動き出す。この氷雪の女神に祝福された民を、灼熱竜の僕にするために。

氷と炎は両立できないのだから。

8月9日~8月11日午前までにこの作品を読んで頂いた方にご連絡です。チャットGPTを直接使用することで、大幅に文章構成を修正しました。ご確認いただければストーリーがわかりやすくなると思いますので、任意で再度ご確認ください。

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