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幕間 裏切者
第二王妃ヴィクトリア・ゲンス・デイ・アンティクイランドは、皇帝陛下からの命令を受けると、すぐに手を回した。
第一王妃付きの侍女を一人。
現国王の妃候補だった第二王子派――その勢力に内通する王弟派の領地貴族、子爵家の娘だった。
ヴィクトリアは、その女を第一王妃付きの侍女として送り込んだ。
もちろん、第二王妃自らが手を下したわけではない。
大規模商会を経由し、さらに隊商護衛を請け負う傭兵団を通して、身元を隠したまま依頼を出した。
ガルディシア伯爵家が握る、カヴィーレスターン・スルタン国との交易路。
そこから手に入れた薬品も、同じようにして渡した。
あとは、あの女が動くのを待つだけだった。
第一王妃と同じ爵位。
かつては、同じように王妃の座を狙う立場だった。
それが今では、かつて対等だった相手の下で侍女として仕えている。
――屈辱だっただろう。
だからこそ。
その女は、必ず第一王妃に薬を飲ませる。
ヴィクトリアは、薄暗い室内で一人、口元を歪めた。
「……その前に」
紫色の瞳が、静かに細められる。
「一つ、余興といきましょうか」




