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氷の奇公子 ~変人王子の生存術~  作者: 佐藤湊
第1章 誕生と王国の影
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幕間 裏切者

第二王妃ヴィクトリア・ゲンス・デイ・アンティクイランドは、皇帝陛下からの命令を受けると、すぐに手を回した。


第一王妃付きの侍女を一人。


現国王の妃候補だった第二王子派――その勢力に内通する王弟派の領地貴族、子爵家の娘だった。


ヴィクトリアは、その女を第一王妃付きの侍女として送り込んだ。


もちろん、第二王妃自らが手を下したわけではない。


大規模商会を経由し、さらに隊商護衛を請け負う傭兵団を通して、身元を隠したまま依頼を出した。


ガルディシア伯爵家が握る、カヴィーレスターン・スルタン国との交易路。


そこから手に入れた薬品も、同じようにして渡した。


あとは、あの女が動くのを待つだけだった。


第一王妃と同じ爵位。


かつては、同じように王妃の座を狙う立場だった。


それが今では、かつて対等だった相手の下で侍女として仕えている。


――屈辱だっただろう。


だからこそ。


その女は、必ず第一王妃に薬を飲ませる。


ヴィクトリアは、薄暗い室内で一人、口元を歪めた。


「……その前に」


紫色の瞳が、静かに細められる。


「一つ、余興といきましょうか」

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