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第八話「花嫁奪還」


十六歳の春、俺はボルテを迎えに行った。

コンギラト族の土地まで、馬を走らせて六日。あの九歳の秋に父と一緒に走った道を、今度は一人で走った。

デイ・セチェンは生きていた。俺を見て、少しだけ目を丸くした。

「大きくなったな」

「約束通り、迎えに来た」

「七年待ったな。ボルテも待っていたぞ」

ゲルの入口から、ボルテが出てきた。

十七歳になっていた。あの時より背が高くなって、顔つきが大人になっていた。でも、立ち方は変わらない。背筋がまっすぐで、足元が揺るがない。風が吹いても折れない立ち方。

目が合った。

ボルテは笑わなかった。泣きもしなかった。ただ、まっすぐ俺を見た。

「遅い」

一言だけ。

「……悪い。いろいろあった」

「知ってる。全部聞いてる。父さんが死んだことも、タイチウトに捕まったことも」

ボルテは俺の首に目をやった。首枷の傷痕きずあとはもう消えていたが、ボルテの目はそのあたりを正確に見ていた。

「大変だったね」

「まあな」

「でも、来た」

「来た」

ボルテは、その時初めて笑った。あの九歳の時と同じ、悔しいくらい自然な笑い方だった。

「じゃあ、行こうか」

結婚の贈り物として、ボルテは一枚の外套がいとうを持ってきた。

黒貂くろてんの毛皮の外套だ。

黒貂の毛皮は草原で最も高価な品の一つだ。軽くて、温かくて、光沢がある。族長クラスの男でも、一生に一枚手に入れられるかどうかという代物だった。

「これ、母の嫁入り道具だったの。母から私に渡されて、私からあなたに」

「こんな高いもの——」

「使いなさい。着るんじゃなくて、使うの」

ボルテの目は真剣だった。

「あなたに必要なのは、いくさの力でしょう。一人じゃ何もできない。仲間がいる。でも仲間を集めるには、まず力のある人に認めてもらわないと」

俺は黙ってボルテを見た。この子は——いや、この女は、俺よりずっと先を見ている。

「お父さんが死ぬ前に言ったんでしょう。ケレイト族のトグリル・ハンを頼れって。この毛皮を手土産てみやげに持っていきなさい。黒貂の外套なら、ハンへの贈り物として恥ずかしくない」

七年前に父が遺した言葉を、ボルテは覚えていた。俺から聞いたわけじゃない。誰かから伝わったのだろう。でも、それを聞いただけじゃなく、具体的な行動に変えていた。毛皮という「使える贈り物」を用意して、七年待っていた。

「おまえ、すごいな」

「当たり前でしょう。あんたの嫁なんだから」

ボルテの言う通りにした。

黒貂の外套を持って、ケレイト族のトグリル・ハンを訪ねた。

ケレイト族は、モンゴル高原で最も強大な部族の一つだ。トグリル・ハンはその長で、父イェスゲイとは盟友の間柄だった。若い頃に叔父に地位を奪われた時、父が兵を率いて助けたことがある。その恩がある。

トグリルのゲルは大きかった。俺たちの何倍もある。中には絨毯じゅうたんが敷かれ、銀の器が並んでいた。ケレイト族の豊かさが、そのまま形になっていた。

トグリルは五十過ぎの男だった。体は大きくないが、目に威厳いげんがある。権力の中で生き残ってきた人間の目だ。

俺は黒貂の外套を差し出した。

「父イェスゲイの息子、テムジンです。父の盟友であったトグリル・ハンに、ご挨拶あいさつに参りました」

トグリルは外套を手に取った。毛皮の質を確かめるように指ででて、目を細めた。

「イェスゲイの息子か。父親に似ているな。目が」

「父は、困った時にはトグリル・ハンを頼れと遺しました」

「ああ。イェスゲイには借りがある。息子を助けるのは当然だ」

トグリルはうなずいた。

「おまえを息子と思おう。何かあれば、力を貸す」

この一言を引き出すために、黒貂の外套があった。ボルテの読みは完璧だった。

もう一人、この時期に出会った男がいる。

ジャムカ。

ジャムカはジャダラン族の長の息子で、俺と同い年だった。子供の頃にオノン河のほとりで一度会っている。凍った河の上で一緒に遊び、矢の先につける骨の小物を交換した。草原の子供の間では、それは友情の証だった。

再会したジャムカは、鋭い目をした男になっていた。

頭が切れる。話がうまい。人を笑わせる才能がある。俺の周りに人が集まり始めたのはこの頃だが、ジャムカの周りにはもっと多くの人間がいた。

俺たちは義兄弟の誓いを立てた。

アンダ——草原の義兄弟。血を分けた兄弟より重い誓いだ。互いの腰帯を交換し、互いの馬を交換し、テンゲリの前で永遠の友誼ゆうぎを誓う。

ジャムカは笑いながら言った。

「おまえと俺が組めば、草原で怖いものはないな」

俺も笑った。その時は、本気でそう思っていた。

この男と、いつか道が分かれることになるとは、まだ知らなかった。

ボルテとの暮らしは、俺の人生で初めての「穏やかな時間」だった。

小さなゲルで二人で暮らした。母と弟たちのゲルは隣にある。朝起きて、馬の世話をして、狩りに出て、夕方に帰る。ボルテが飯を用意してくれている。火のそばに二人で座って、星が出るまで話をする。

こんな日がずっと続けばいいと思った。

でも草原は、そういう願いを聞いてくれない。

メルキト族が来たのは、秋の夜だった。

最初に気づいたのは、母だった。

ホエルンがゲルから飛び出してきて、叫んだ。

「馬の音! 東から来る! 多い!」

俺は外に出た。耳を澄ませた。地面に耳をつけた。草原の男は、大地を通じて遠くの蹄音を聞く。

——多い。数十騎、いやそれ以上。

「メルキトだ」

母がつぶやいた。その声には、何十年もの記憶が込められていた。

メルキト族。母ホエルンを略奪したのは、父イェスゲイだ。母の元の夫チレドゥはメルキト族だった。メルキトにとって、あれは一族の恥だ。いつか復讐する——そう思い続けて、二十年以上が過ぎていた。

そして今、その復讐が来た。

父がホエルンを奪ったから、今度はメルキトが俺の妻を奪いに来た。因果が、巡ってきた。

「テムジン、逃げなさい」

母がまた同じことを言った。タイチウトの時と同じだ。

「ボルテを——」

「馬が足りない」

母の声は冷静だった。

馬は七頭しかいなかった。家族全員を乗せるには足りない。二人乗りにしても、小さい子供を抱えて、メルキトの騎馬から逃げ切るのは無理だ。

「おまえだけ逃げろ。ブルカン・カルドゥンの森に。あそこなら——」

「ボルテを置いていけっていうのか!」

俺は叫んだ。

母は俺の目を見た。静かな目だった。

「あの子は殺されない。メルキトが欲しいのは女だ。私と同じだ。奪われはするけど、殺されはしない」

「そんな——」

「おまえが死んだら終わりだ。おまえが死んだら、誰がボルテを取り返しに来る? 生き延びなさい。生き延びて、力を集めて、取り返しに来なさい。それがおまえのやるべきことだ」

ボルテが、ゲルの入口に立っていた。

俺とボルテの目が合った。

ボルテの目は——涙を溜めていた。でも、泣いてはいなかった。唇をきつく結んで、震えを押さえて、俺を見ていた。

「行って」

ボルテが言った。

「行って、テムジン。絶対に迎えに来て」

母の声が重なった。あの日のホエルンの声と。チレドゥに「逃げなさい」と言った声と。

歴史が繰り返されている。母が奪われた時と同じことが、今、俺の目の前で起きている。

俺は——逃げた。

カサルとカチウンを馬に乗せて、ブルカン・カルドゥンの森に向かって走った。

後ろから、メルキトの雄叫おたけびが聞こえた。蹄音がとどろいた。ゲルが倒される音がした。

振り返りたかった。

でも振り返らなかった。チレドゥが振り返らなかったように。振り返れば、馬を返して、突っ込んでいって、死ぬ。それじゃ意味がない。

生き延びろ。力を集めろ。取り返しに行け。

ボルテの声が、風の中で繰り返していた。

——絶対に迎えに来て。

ああ。行く。絶対に行く。

森に隠れて、三日が過ぎた。

メルキトは去った。ボルテと、母の侍女じじょの老婆を連れて。母と弟たちは無事だった。メルキトの狙いはボルテだけだった。

俺はブルカン・カルドゥンの山に向かって、ひざまずいた。

この山はモンゴルの民の聖なる山だ。テンゲリに最も近い場所。

「テンゲリよ。俺の命を助けてくれた。この恩は忘れない」

腰帯を首にかけ、帽子を手に持ち、胸を九度打った。馬乳を地にいた。草原の最も重い祈りの作法だ。

「俺はボルテを取り返す。そのために力がいる。力をくれ」

祈りではなかった。宣言だった。テンゲリに対する、一方的な通告だった。

山を降りて、俺は走った。

まずトグリル・ハンのもとへ。次にジャムカのもとへ。

トグリルは、二万の兵を出すと言った。

「メルキトは昔から厄介やっかいな連中だ。叩くいい機会だ」

トグリルにとって、俺の妻を助けることは口実にすぎない。メルキト族を弱体化させるという政治的利益が合致がっちしたから兵を出す。でも、理由なんてどうでもよかった。二万の兵。それだけあれば、メルキトを正面から叩ける。

ジャムカも二万を率いて合流した。

「アンダの嫁をさらったとなれば、黙ってるわけにはいかないだろ」

ジャムカは笑っていた。でも目は笑っていなかった。この男の目は、常に計算している。ジャムカにとっても、この戦いは俺への好意だけじゃない。メルキトを叩いて自分の威信を高める機会だ。

それでいい。全員の利害が一致している。それが同盟というものだ。

トグリルの二万。ジャムカの二万。そして俺の——わずかな手勢。ボオルチュが駆けつけてくれた。それからカサルと数人。合わせても百に満たない。

四万と百。それが俺たちの軍だった。

メルキト族の本営は、ブルラ河とセレンゲ河の合流地点にあった。

三日三晩、馬を走らせた。途中で何度も替え馬に乗り換えながら、四万の軍勢が草原を横切っていく。

俺は生まれて初めて、軍というものを見た。

これまでの人生は、一人か二人で戦ってきた。馬泥棒を追い、首枷から逃げ、兄を殺した。全部、個人の戦いだ。でもこれは違う。四万の人間が、一つの意志で動いている。

トグリルの軍は中央に布陣した。ケレイト族の精鋭せいえいは重装の騎兵だ。革と鉄を組み合わせた鎧を着て、長いやりを持つ。馬も大きい。正面から敵をぶち抜くための部隊だった。

ジャムカの軍は左翼。軽騎兵が主力で、機動力がある。弓を持った騎兵が馬を走らせながら矢を射る。これが草原の戦い方の基本だ。

俺の百人は、ジャムカの軍に組み込まれた。

初陣ういじんだろ? 俺の横にいろ。勝手に動くな」

ジャムカが言った。

「わかった」

「嘘つけ。おまえ、絶対に勝手に動くだろ」

ジャムカは笑ったが、目は笑っていなかった。

夜明け前に攻撃が始まった。

軍記に記すなら、こうなる。

トグリル・ハンの中央軍二万が、メルキト本営の正面から突入。夜営で油断していたメルキトの防衛線を、ケレイト重騎兵が一気に突き破った。鉄と革の鎧をまとった騎兵が槍を構えて突進する音は、大地が裂けるような音だった。

同時に、ジャムカの左翼二万が側面から回り込んだ。軽騎兵が弓を射ながら弧を描いて疾走し、逃げようとするメルキトの退路をふさいだ。

メルキトは混乱した。

夜明け前の奇襲だ。準備する時間がない。武器を取る間もなく、ゲルから飛び出した男たちが次々と矢を浴びた。

だが、メルキトも草原の戦士だ。混乱は長くは続かなかった。族長トクトアが叫び声で部下を集め、反撃の態勢を整え始めた。メルキトの弓兵が密集して矢を射返す。トグリルの先鋒せんぽうが何騎か落馬した。

ここからは消耗戦になる——そう思った瞬間、ジャムカが動いた。

「マングダイ」

ジャムカが一言そう言った。左翼の一隊、約三千騎が突然、後退を始めた。

偽装退却だ。

わざと逃げるふりをして、追ってきた敵を伏兵の待つ場所に誘い込む。これがマングダイ——草原で最も古く、最も恐ろしい戦術だ。

メルキトの一部が、退却する騎兵を追いかけた。勢いに乗っている。追えば勝てると思っている。

わなだと気づいた時には遅かった。

追いかけた先の丘の裏側に、ジャムカが伏せておいた五千騎が待っていた。左右から弓が降り注いだ。追撃してきたメルキト兵は、退路を断たれて袋の中に落ちた。

「今だ! 全軍突撃!」

トグリルの号令で、中央軍が再び突入した。メルキトの陣は完全に分断された。

俺はジャムカの横で、この全てを見ていた。

これが戦だ。

個人の武勇じゃない。一対一の弓比べじゃない。何万という人間を、一つの意志で動かして、敵の力を分断し、包囲し、叩き潰す。頭脳の戦いだ。

ジャムカの采配さいはいは見事だった。マングダイの発動タイミング、伏兵の配置、追撃の角度。すべてが計算されていた。

だが同時に、俺は思った。

——俺にもできる。

いや、俺ならもっとうまくやれる。

根拠はない。ただの直感だ。でも、父が教えてくれた「考えるんじゃなくて、なる」という感覚が、戦場でも動いていた。軍の動きが、弓と矢と風の関係と同じに見えた。全体を一つの流れとして捉える。その流れの中に自分を置く。そうすれば、次に何が起きるかが見える。

この感覚を、俺は忘れなかった。

戦闘はその日のうちに終わった。

メルキト族は散り散りになって逃げた。族長トクトアは少数の手勢と共に北へ走り、残された者たちは投降した。

俺はメルキトの陣を駆け回った。

「ボルテ!」

叫んだ。倒れたゲルの間を走り、捕虜の群れの中を探し、何度も何度も名前を呼んだ。

「ボルテ!」

返事がない。もう声が枯れていた。

暗くなりかけた頃、ボオルチュが俺の肩を掴んだ。

「テムジン、あっちだ」

ボオルチュが指した方角に、牛車が一台、止まっていた。

混乱の中で逃げそびれたのだろう。牛車の上に、人影があった。

俺は走った。

牛車に駆け寄って、中を見た。

ボルテがいた。

汚れた服。乱れた髪。頬がこけて、目の下に深いくまがある。何ヶ月も、ろくに食べていなかったんだろう。

でも、生きていた。

「テムジン——」

ボルテの声は、かすれていた。でも俺の名前だった。

俺は牛車に上がって、ボルテを抱きしめた。

細くなっていた。あの十七歳の、まっすぐ立っていた体が、こんなに細くなっていた。

「遅くなった」

「……本当に、遅い」

ボルテは俺の胸に顔を埋めた。体が震えていた。

泣いているんだと思った。でも、声は出さなかった。ボルテは声を出して泣かない女だった。母と同じだ。

俺も泣かなかった。泣く代わりに、ただ強くボルテを抱いた。

何があったかは聞かなかった。メルキトに奪われてからの何ヶ月間に、何があったか。聞く必要はなかった。聞いたところで、過ぎたことは変わらない。

ただ一つ、見ればわかることがあった。

ボルテの腹は——わずかにふくらんでいた。

帰路きろは静かだった。

ボルテは俺の隣で馬に乗り、ほとんど喋らなかった。俺も何を話していいかわからなかった。

ある夜、き火のそばで二人きりになった時、ボルテが口を開いた。

「子供ができてる」

知っていた。見ればわかった。

「おまえの子だ」

俺はそう言った。

ボルテは俺を見た。長い間、見ていた。

「……本当にそう思う?」

「俺の子だ」

繰り返した。声は揺れなかった。

ボルテの目から涙がこぼれた。今度は声を出して泣いた。俺の前で初めて、声を出して泣いた。

俺はボルテの肩を抱いた。

本当のことは——わからない。メルキトに囚われていた間に何があったか。この子が俺の血なのか、そうでないのか。

わからない。

でも、どうでもよかった。

ボルテは俺の妻だ。ボルテの腹にいるのは、俺の子だ。俺がそう決めた。それ以外の答えはない。

たとえ世界がこの子の出自を疑っても、俺は疑わない。

それが、ボルテを守れなかった俺にできる、唯一のことだった。

家に帰ると、母が待っていた。

ボルテを見て、腹を見て、すべてを悟った顔をしていた。でも何も言わなかった。ただボルテの手を取って、ゲルの中に連れていった。

俺はゲルの外に立って、空を見上げた。

蒼い天。いつもと同じ、どこまでも続く空。

父が死んだ日に見た空。追放された日に見た空。首枷をはめられた日、ベクテルを殺した日、ボルテを置いて逃げた日。いつも同じ空だった。

でも今日、俺はこの空の下で初めて、軍というものを見た。四万の人間が一つの意志で動き、敵を打ち砕くのを見た。

あれが力だ。

一人の弓じゃない。一頭の馬じゃない。何万という人間が、同じ方向を向いた時に生まれる力。あの力があれば、もう誰にも奪われない。母も、ボルテも、弟たちも。

俺は、あの力が欲しい。

タルグタイに奪われた。メルキトに奪われた。タタルに父を奪われた。もう奪われるのは終わりだ。次は俺が——

いや。奪うんじゃない。

守るんだ。

守るために、力を持つ。そのためなら、何だってやる。

風が吹いた。

ボルテが出てきて、俺の横に立った。何も言わず、ただ並んで立った。

二人で空を見上げた。

同じ空を、見ていた。

やがてボルテは男の子を産んだ。

俺はその子を抱き上げた。父が俺を抱き上げたように。ゲルの天窓から差し込む光の中で。

「ジョチ」

と、名づけた。

「客」という意味だ。

なぜその名にしたのか、誰にも説明しなかった。ボルテも聞かなかった。

ジョチは俺の長男だ。

それ以上でも、それ以下でもない。

十六歳の少年は、初めて軍を見て、初めて妻を取り戻した。

まだ何も持っていない。自分の軍隊もない。自分の領地もない。あるのは、数人の仲間と、折れない母と、強い妻と、腹の底で燃え続ける黒い塊だけだ。

でも俺は知った。

力は、集められる。人は、集められる。

トグリルは恩義で動いた。ジャムカは利害で動いた。ボオルチュは友情で動いた。ソルカン・シラは正しさで動いた。動く理由は全部違う。でも全員、俺と同じ方向を向いた。

人を集める力。それが、俺に与えられたものなのかもしれない。

血の塊を握って生まれた日から、ずっと。

蒼天の下で、テムジンの物語はここから動き出す。

一人の少年が、草原の覇王になるまでの——長い、長い道の始まりだ。

第一部「棄てられた狼」 了


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