73話 27人集結
俺は今ここで立ち上がらないと二度と機会は訪れないと感じた。勘がそう告げている。成功するのかは分からない。だが、俺には心強い仲間たちがいる。覚悟は決まっている。
「ジョセンシ殿、トウリョウ殿。俺の気持ちは固まりました。共にカンゲンを討ちましょう」
「おお!立ち上がってくれますか。カンゲンに目にもの見せてくれましょうぞ」
「決めないといけないことがたくさんある。鍵はオウヒツ様だ」
ボクシはオウヒツを一度ここに呼ぶべきだと言った。政権内部にいる高官の後ろ盾があるとないとでは、成功率に大きく関わる。
ジョセンシとトウリョウは一度建康に戻り、オウヒツを連れて来ると言った。オウヒツほどの高官が建康の外に出るとなると、カンゲンが黙っているわけが無いが、ジョセンシは策があると言った。それを信じるしかない。
◆
リンシとチョウセキがやってきた。
「ユウ。新婚生活はどう?」
「リンちゃん。そんなことより大変みたいだな」
「お陰様でね。広陵の商館は閉鎖になったわ」
「......済まないことをした」
「謝る必要はないわ。わたしが決めてユウを支援しているのよ。それに商館は広陵だけではない。一か所潰れたくらいなら、痛くも痒くもないわ」
リンシはそう言うとチョウセキに合図した。
「これはお前用の武器だ。高かったのだぞ。大事に使えよ」
鉄の棍棒であった。今の棍棒と変り映えがしない。だが、手に持つと俺の魔力に反応して軽くなった。
「どう。これは魔力を通すことで、長さを変えることが出来るの。凄いでしょ」
「へえ。如意棒みたいだな」
「え!?お前、これを知っているのか!?これは身毒という遠い国から取り寄せたものだぞ」
「い、いや、何か聞いたことあったんだ......」
リンシもチョウセキも顔を見合わせていた。
「へ、変な顔をするなよ。俺にだって知っていることくらいある」
「まあ、いいわ。わたし、カンゲンにはムカついているから、それで、ぶっ飛ばしてやってね」
「おう。任せろ」
リンシはクスクスと笑った。この女商人には世話になりっぱなしだ。多少、強引なところもあるが、受けた恩を返さないといけないと思った。
シュクユウとコハンが来た。コハンはカイギョクとチンアクをまるで下僕のように従えている。
「お前ら......何してるんだ」
「兄ちゃん。俺たちはコハンの姉貴には忠実な下僕だ。これは天命だ」
「天命......お気の毒に」
◆
一週間ほど経って、オウヒツがやってきた。どうやらジョセンシの進言で、病を得たことにして、大臣の職を辞したらしい。カンゲンは邪魔な人物が消えたとしか思わなかったようで、あっさりそれを認めた。
「心配に及びません。大臣を辞してもオウヒツ殿の影響力は変わらない」
ジョセンシはそう言った。それに政権の中枢にいると、決起した時に仲間だと思われて捕縛されてしまう恐れがある。建康を離れるのは正しい判断だとも言った。
オウヒツはジンキを連れていた。行方不明になっていたが、どうやらオウヒツの元に転がりこんでいたらしい。
全員揃った。
俺はみんなを前にして立ち上がり、深々と頭を下げて言った。
「俺はカンゲンを討つ。俺について来て欲しい。頼む」
静まりかえっていた。
「頼むとか言うなよ。俺たちは仲間じゃないか」
ボクシが口を開くと、みんな笑っていた。俺には分かっていたことではないか。
「敵は強敵だ。命を落とす者も出るかもしれない。だが、カンゲンを討たねば、この国の安寧は無い」
「ユウ。安寧とか小難しい言葉使えるようになったのだな。悪童が成長したものだ」
オウヒツがそう言うと、みんな爆笑した。
「いやいや、全然、場が締まらないのですけど......」
「ははは、お前らしくていいじゃないか。そんなに場を締めたいなら、ここに居る全員で署名して血判を押すというのはどうだ」
ボクシの言葉にみんなの表情が変わった。決起する。その覚悟を示す。血判はその誓いだ。俺が頷き、みんなの顔を見る。急に場の温度が上がってくるのを感じた。
「まずはお前からだ。ユウ」
ボクシに促され、俺は署名して、指を針でさし血判を押した。それに続いてボクシが筆を取る。順番に署名し、血判を押していった。全員が終わった。
1.リュウユウ(ユウ)
2.リュウボクシ(ボクシ)
3.ゾウアイシン(アイ)
4.ドウキ
5.ドウサイ
6.シャカイ
7.ケイシャン
8.ショカツ
9.カンシュク
10.コウビ
11.テイゴ
12.モウチョウ
13.ギエイ
14.フコウシ
15.セキカ
16.リンシ
17.チョウセキ
18.シュクユウ
19.コハン
20.モウシュウシ
21.カイギョク
22.チンアク
23.オウヒツ
24.ジョセンシ
25.トウリョウ
26.ジンキ
27.エン
27人であった。ここから俺の天下取りが始まる。




