三話 森の奥。晴れる闇、実る光
伏線を巡らせるのって大変。
「....朝。」
捨てられたあの日から、十年が経ち、今はもう11歳だ。
容姿は日本でいう小学1年生くらい...恐らく110cmくらいだろうか。
髪の色は、どういうわけか親のような金髪ではなく、ピンク髪だった。
髪は無造作に伸び、腰辺りまで伸びている。
服は古くて所々切れている布のようなものを着ている。
囚人服、と言われても疑いようのないものだ。
この過酷な森の世界で、生き残ってきた証だけがある。
恨みを意思に変えて。失った分は力になって。
食らった血肉は3つの魔法になって。
この森でもう少女に敵う者はいない程強くなっていた。
「......今日は...なにをしよう。」
ただ生きた。がむしゃらに生き続けた。
死にたくない。その気持だけが少女を動かす。
「....おい。なにか音がするぞ。」
「...なに?」
「警戒しましょう。」
何処かから人の声がする。
もう何年も会っていない、人の声が。
「(....人。)」
人に会いたい、人に会いたくない。
どちらも思いもあり、少女は悩む。
[ドドドドドドド....]
少女が悩んでいると、何処かから地響きがする。
その音はどんどん近づいて来ている。
「ーーッッ!!」
「まーーーてーーーー!!!」
[ズドオオオオオオン!!!!]
本能で危険を察知し、後に大きく飛ぶ。
少女の目の前の森が轟音と共に消え去った。
少女が聞いたあの三人組は地響きを起こした奴によって殺された。
「あれぇ!人間だ!こんなところにいるなんて珍しいね!」
声の主は紫髪の間から二本短いツノが生え、悪魔のような尻尾が生えている。
容姿は小学生5年生位の身長で、目には計り知れないあざとさがある。
ツノがあることと尻尾がある事以外はほぼ人間と同じだ。
この少女は恐らく、魔族。という種族の人だ。
そんな少女が、少女の方に近づいてくる。
「ねぇ。あなた、私と遊んでくれない?あなた、強いでしょ?」
「...強くないよ。」
「いーや!強いでしょ!私達魔族の目は誤魔化せないよ〜!」
逃げられない。そう感じた少女は昔ながらのナイフを構える。
その様子をみて魔族の少女はニコッと無邪気に笑った。
「私はマオ!マルアキス・ネア=オベリス!!楽しい戦いにしよっ!!」
「....どっかいって。」
「やーだよ!」
二人の少女の戦いが始まった。
ナイフと爪がぶつかり合うたびに衝撃が森に響く。
既に数回当たっただけでも木々がへし折れる程。
「やっぱ強いじゃん!私と戦える子お父様以外で初めてみるよ!」
「………」
「あー。戦い嫌いなんだっけ。もうちょっとだけでも…」
「あははははははははっ!!!!」
マオが諦めようとした途端、少女は笑いだした。
今の今までのテンションも低く、声も小さい状態ではなく。
まるで別人の様に明るい声をあげた。
「いやー。正直期待してなかったけど…これなら私も楽しめそう!」
「ー!って事は!!」
「戦お!あなたとなら楽しめそう…いや、楽しめる!」
「やったー!!じゃあ行くよ!」
更に二人の戦いは激しさを増していく。
互いにぶつかり合うたびにどんどんギアが上がっていく。
二人の周りには誰も近づけない。近づけたとて、すぐに死んでしまうだろう。
「あはははっ!!戦いって楽しいね!!」
「うんうん!やっとわかってくれた?ただまだ行くよー!!」
マオが突っ込もうとする直前に少女は何かを唱える。
「これならどう? ー闇魔法。<影人形>!」
闇魔法の効果で少女は影人形と二人でマオを攻撃しにいく。
「わわ!闇魔法!?珍しいね!私も負けないよ!」
「りゃりゃりゃりゃりゃー!!!」
気合で二人分の攻撃を防ぎ切った。
「すご!防がれた!今の見た!?私!」
「お前が弱いからだろ。私。」
「私は手厳しいねー。もっかい行くよ!」
影人形と話をし、そうしてもう一度マオに向かって切りつけに行った。
マオも嬉々として相手にしようとしていたがー
「あ!ごめん!ちょ、ちょまって!」
「…?どうしたの?」
ダラダラと汗をかき、震えている口で恐る恐る喋る。
余程何かに怯えているようだ。
「……お父様に森に行くって言ってなかった……!!」
「へ?」
「やばいやっばい!今頃ちょー怒ってるかも!!」
凄く子供っぽい理由で少女はキョトンとしてしまう。
マオは焦りすぎてそんなことは気にしてないが。
「ご、ごめんね人間ちゃん。わ、わたたし今すぐかか帰らないと」
「だ、大丈夫?一旦深呼吸!ほら、一緒に!」
「う、ううううん。わわわ分かった。」
「「スーーー……ハァーーーーー……」」
すこーし落ち着いてきた所で理由を少し話し出す。
「...お父様に森に行くって言ってなかったら...早く...帰らないと......あわわ....」
「あー。うん。そうね。あー。しょうがないね。」
「ご、ごめんねほんと。私、もっと遊びたかったんだけど....」
「まぁまぁ、しょうがないよ。また会った時、戦お。遊ぼ!」
少女はマオにニコッと笑いかけ、また会う約束をする。
マオは先程まで浮かない顔をしていたが、ぱぁっと明るくなった。
「うん...そうだよね!また会おう!私はマオ!マルアキス・ネア=オベリス!貴女は?」
「...私?私の名前?」
「うん!また一緒に遊ぶんでしょ!次は名前、呼び合いたいし!」
そう言われて少女はハッとした。自分は捨てられて、誰とも会ってこなくて、
寂しくて、悲しくて、辛かった。でも、それでも。こんな私を思ってくれてる子がいる。
それがたまらなく嬉しかった。なんだか前も、私を思ってくれてる子がいた気がする。
少女はニコッと笑い、マオに自分の名前を名乗った。
「私は美亜!白木美亜<しらぎみあ>!記憶を無くした転生者で、マオちゃんの戦友!」
「転生者...?はよくわかんないけど....シラギ...ミアちゃん。美亜ちゃんね!覚えた!私の初めての戦友!」
「私も初めてだよ!マオちゃん!また、会いましょう!」
「絶対!絶対また会おうね!美亜ちゃん!」
そうしてマオは森のさらに奥深くへと進んでいった。
初めての、ともだち。この嬉しさは二人の中で大きな繋がりになるのであった。
「...これからは、明るく!元気に!いきましょ!マオちゃんにいつでも顔向けできるように!」
この出会いから少女は白木美亜<しらぎみあ>となった。
元々あったこの世界での昔を捨てて。今を生きる。
そう少女はー
美亜は決意したのだった。
そうしてまた月日は流れるのであった。
三度目の正直!!!次回、勇者編!!!(二度あることは三度あります。今回も嘘です。)




