【第2話:第1クラスの怪物たち】
*生成AI使用
あの前代未聞の『魔力量測定の間』での爆砕劇から数日。
至高の学園の最奥に位置する、国家滅亡級のバケモノだけを集めた隔離部屋――それが『第1クラス』である。
今回のクラス分け基準は、魔力量600以上。一国の軍隊に匹敵する「怪物」と称される若き天才たち全10人が、その教室に集められていた。
教室内は、誰もが自国で頂点に君臨してきたプライドゆえに、ピリピリとした一触即発の殺気で満ちていた。しかし、その扉が静かに開いた瞬間、空間のすべてが完全に凍りついた。
カツン、カツンと静かな足音が響く。
入ってきたのは、アレス・フォン・ガラナ。
魔力量測定の際、国の至宝である水晶を「9999+α」の出力で粉砕した、南の軍事大国の神童。彼の身から自然と溢れ出る漆黒の魔気は、数日前よりもさらに濃密さを増しており、肌を刺すような冷徹な青い瞳が教室を見渡した。
アレスは、教室の最も奥に位置する、一番見晴らしの良い特等席の前へと歩を進めた。そこには、すでに大柄な体躯を椅子の背もたれに預け、不遜な笑みを浮かべている男子生徒が座っていた。
アレスはその男を、冷たく見下ろす。
「そこ、僕の席だ。どけ」
「あ、あん? なんだとてめっ……」
言いがかりをつけようと、男が顔を跳ね上げてアレスを睨みつけた。
だが、次の瞬間。アレスがほんの微かに放った魔力の「圧」が、その男の全身にのしかかった。
ドクン、と教室内全体の空気が重くなる。生物としての格が違いすぎるのだ。アレスの放つ威圧感の前に、大柄な男は呼吸すら奪われ、ガタガタと歯の根を鳴らして震え出した。
「あ、あ、が……っ」
男は言葉にならない悲鳴を漏らしながら、這うようにして席をあけた。アレスは衣服の乱れ一つなく、無表情のままその特等席に悠然と腰掛けた。
その一連の圧倒的な光景を、教室内で見届けていた3人の少女の身体が、微かに歓喜で震えた。
東の伝統的な呪言を操る風の神童、カグヤ。
北の絶対零度を宿す凍土の皇女、エルサ。
精霊に愛されたエルフの至宝、フィオナ。
彼女たちは、測定の間でアレスの規格外の力を目撃したその時から、すでに自身の『女としての本能』が狂い始めていた。
これは、学園モノにあるような甘っちょろい綺麗事の恋愛感情ではない。
いつ魔大陸から魔族が総攻撃を仕掛けてくるか分からない、血と硝煙に塗れたこの世界。その凄惨な生存競争において、これ以上ない「最強の雄」を目の当たりにしたという、生物としての、遺伝子レベルの渇望だった。
(あの男の隣に立ちたい。あの絶対強者に認められ、その種を宿せば、一体どれほどの怪物が生まれるというの……?)
カグヤは興奮に濡れた瞳でアレスを凝視し、エルサは絶対零度の冷徹さを忘れて浅い呼吸を繰り返し、フィオナは独占欲に燃える肉食獣のような目でアレスを捉えていた。誰がアレスの隣にふさわしいつがいか、少女たちの間でドロドロとした狂信的な「熱」が跳ね上がり、互いを牽制し合う異常な空気が教室を満たしていく。
そこへ、ガララッと音を立てて教室の扉が開き、一人の男がニヤニヤと締まりのない笑みを浮かべて入ってきた。
「おいおい、初日から色気付いてんじゃねえよ、化け物ども」
だらしなく制服を着崩したその男は、かつて魔王軍の『魔侯爵』を単騎で屠り、人類の最高戦力と称される伝説の特級魔導士――このクラスの担任、グレンだった。
グレンは教壇に乱暴に足を乗せると、アレスをはじめとする生徒たちを見渡して言い放った。
「座学なんてクソ食らえだ。世界を救うのは教科書の文字じゃなく、圧倒的な暴力だからな。全員、外の演習場へ出ろ」
グレンの片目が、獣のように鋭く光る。
「今から『アレスvs残り9人全員』の模擬戦を行う! アレス、お前が本当に測定不能の怪物なのか、それともただのデカいだけのハリボテか……全員で上から叩き潰して確かめてやれ!」
グレンの宣言に、教室内が狂気と殺気で沸き立った。
アレスの数値に恐怖しつつも、プライドをへし折られた男子たちが、リベンジの炎を瞳に宿して立ち上がる。
一方のアレスは、ただ退屈そうに冷たい視線を窓の外へと向けていた――




