5章76話 考え事
3月20日。
今までこたつに入ってみかんを互いの口の中に投げ入れて遊んだりキスなどイチャイチャしたりしてたけど、今日は外に出て遠くへ出かけたいと思う。
「折角携帯があるんだ。忠の写真を沢山撮ろう。」
彰は立ち上がって寝ている忠一を起こす。
「忠、出かけようぜ。」
「ん~? もうお夕飯?」
「寝ぼけるなよ。まだ昼間だぜ?」
忠一は目を擦りながらゆっくりと起き上がる。
「ふぁ、おはようごじゃっ……」
おぉ、盛大に噛んだな……。
痛そうに口を手で覆う忠一を見てくすりと笑ってしまう。
「平気か?」
少しニヤけるのは俺のせいではない。
「いひゃい。」
「今日は出かけるぞ?」
「どこに?」
「ん~、写真を撮りに。」
忠一はきょとんと首を傾げる。
「写真屋さんに予約したの?」
「これで撮るんだよ。」
と、スマホを片手ににやりと微笑む。
「わかった。行こう。」
忠一はのっそりとこたつを出ると上着を着る。その間に彰は靴を履く。
「この靴もボロボロだなー。ガダルカナルで特に歩き回ったからな。」
彰の靴はこの世界に来た時のままで、運動シューズだ。履けないというわけではないが、紐がよれよれになっている。
「予備があればなぁ。」
そう言いながらも紐を結んでいく。その時、忠一が玄関へとやってきた。
「お待たせ。」
顔を洗ったのか、目は冴えきっている。良い表情だ。
「行こっか。」
「うん。」
2人は手をつないで家を出た。
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彼はどうしているだろうか。
ここ最近彼を想うと胸が苦しくなる。別に風邪や病気を患っているわけではないのだが、……なんなのだろう?
「ここにいたのですね?」
声をかけてきたのは四郎だった。
「あぁ。ちょっと外を眺めたくてね。」
私は大本営の屋上にいる。3月だが少しずつ風は暖かくなり、肌寒くはあるがそこまでではない。場所によってはもう桜が咲いているとか。
「これをどうぞ。」
そう言って彼女は温かいおにぎりを手渡してくる。
「ありがとう。丁度小腹が空いてたんだ。」
「ふふ。長い付き合いですからね。」
「そうだね。出会ってから何年になるかな?」
「今年の8月で4年になります。」
四郎とは1939年に出会った。彼女はその時第4艦隊司令長官で、気が合いよく一緒にいる。
彼女は私とは違いお淑やかで、何より周りへの気配りが強い。雰囲気が悪ければ率先して場を和ませようとし、私にはない所が彼女にはある。
「四郎が羨ましいよ。」
「あら、胸のお話なら私にも負けてないはずですよ?」
「違うよ!」
四郎は時に冗談を言って笑わせてくれる。
「ふふふ、失礼しました。それで、何が羨ましいのですか?」
「四郎の性格だよ。周りには気配りが出来るし、私には無い大人しさがある。そういう所が羨ましいのだよ。」
「あらあら、乙女みたいな事を言うのですね。」
「失礼だな君は。」
「ふふふ、失礼しました。」
四郎はころころと笑う。私は私なりに悩んでいるのにいつもこうだ。
「……最近に彰の事を考えると息苦しくなるんだ。もやもやというか、ぎくしゃくと言うか……」
「それは恋ですよ。」
「え……」
即答された。
「貴女はわかりやすいのですよ。私にとっては。周りからしたらそわそわしてるなと思うかもしれませんが、私が騙されるわけが無いでしょう?」
「私が、彰を……?」
そんなの、許されるわけが……。
「無いと思ってるのですか?」
心を読まれた。
「良いですか? 恋と言うのは誰にでも訪れるもの。もし好きな人に別の相手がいたとしても好きという気持ちを伝えてはならないという決まりなんて無いのですよ?」
「そう、なのか……?」
そんなの知らなかった。恋とは無縁の人生を歩んできた。海軍に幼くして入り、日本海海戦では装甲巡洋艦日進で戦った。敵砲弾が近くで炸裂したが運良く怪我は無かった。
しばらくして私は航空隊指揮官や教員、様々な船の艦長や副長を経て今の地位に就いた。戦い一筋のような私を好きになってくれる殿方などいるはずが無いと思っていたのだ。
「貴女は今まで頑張ったのだから、まだ若い内に気持ちを伝えるべきですよ?」
「そっか。私、彰が好きなのか……」
もしそうだとしたら、どれだけ幸せだろうか。でも、彰は迷惑な顔をするだろうか?
「まずは気持ちを伝えるべきです。彰は戦いにも恋にも真剣な性格です。ガダルカナルや一との関係性を見ればわかるでしょ?」
「うん……」
いつか伝えてみよう。もし、ダメな結果だとしても諦めがつくかもしれない。
山本五十六。自分の気持ちに素直になろうと思った瞬間だった。
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夕方。
ひと通り写真撮影を満喫した2人は家路へとついていた。
「それにしても沢山撮れるんだね。」
「これは未来では最新型で、1000枚単位で写真や画像が保存できるんだよ。」
「こんなに小さいのに!? 未来は凄いねぇ。」
忠そう言ってスマホの画像フォルダをスクロールして眺める。
暇なときにいじらせたりしているため、この時代では初めてスマホを少しだが使いこなせた人物になった。
忠この世界に来る前の俺の写真や集めた画像を見て笑ったり驚いたりしている。
「これは友達と花火をした時の写真だ。こいつは俺の友人の中では一番の馬鹿でな、鼻に花火をつけてやってたんだぜ。」
途端に忠はお腹を抱えながら笑い出した。
「何それ! おかしい!」
「だろ!? 俺も皆も大笑いしちゃったよ!」
歩きながら思い出話をする。そのたんびに笑い、とても楽しい時間が過ぎていく。
「ねぇ。もし帰れるとしたら、彰はどうする?」
唐突の質問に一瞬戸惑う。
「それはまだわからない。帰りたい気持ちも無い訳ではないけど……」
「私ね!」
忠一が遮る。
「私ね……彰が帰りたかったら私は帰してあげたい。ここは彰のいるべき世界じゃない。私達軍人が勝手に始めた戦争に、何の関係の無い彰が関わる必要なんて無いんだから……」
だんだん、その声が小さくなっていく。彼女なりに一生懸命考えたのだろう。声も震え、今にも涙をこぼしそうだ。
「彰の世界を作る責任が私達にはある。本来なら彰はこんな戦いに関わる事も無かったはずなんだから……」
そんな忠を見て手加減してチョップした。
「彰……?」
「俺の生きている世界がここで、この世界でお前に出会ったんだ。お前を見捨てるような事はしないよ。それに、友梨佳が暴走しているのに俺に関係のない戦争だなんて言えるか?」
彰の中では既に兄妹によってこの世界を巻き込んでしまったという考えがある。友梨佳が日本を滅ぼす為に原爆を量産、滅ぼす為に本土上陸を考えているのだ。
そんな事を兄としてただ黙ってみているわけには行かない
「連合艦隊の皆に、忠に迷惑をかけるかもしれないけど、俺は戦うよ。友梨佳を止めるまで、帰るわけには行かない。」
彰はそう言って忠一の頭を撫でてやる。本人は納得したようだ。
寒い空気が肌を傷めつける季節。彰の頭の中には、同胞の救出が浮かんでいた。
Fin
遅くなりましてすいませんでした!!松ちゃんです!!
先週日曜日に更新ゴニョゴニョ……って話でしたが、私の赤点回避の為の課題が出てしまったのでそちらに時間を使う事になりました。すいません!何でもしますから!(何でもするとは言っていない
相変わらず表現も文章もへったくそな日常編ですが、もう直ぐで戦闘が起こります。また下手くそかも知れませんが頑張りますので暫しお待ちを!
次話は完成しているので編集が終わり次第すぐに投稿します!




