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俺と彼女らの戦闘記  作者: 松ちゃん
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5章75話 それぞれの想い

 キンケードとの会談をひと通り五十六に説明した彰は、米戦艦群の修理が完全に終わる4月に戦艦金剛に彰も座乗しエスピリットサントへと向かうことになった。それまでは休暇となる。


 数日ぶりに忠の所に帰ってきた気がするな……。


 彰はそんな事を思いながら玄関を開けて中へと入る。


「ただいまー」

「彰!」


 突然正面から飛びついて来た。

 

「ごめんね。長い間かまってやれなくて。」

「寂しかったんだよ! 今日は甘えさせてもらうからね!」

「はは。じゃあお詫びしないとね。」


 彰はそう言って忠一の頬に手を寄せ自分の唇へと寄せる。

 忠一は突然の事に驚いたが、やがて表情を緩ませる。


「お詫び出来たかな?」

「うぅ~」


 忠一は顔を真っ赤にして彰の胸に顔をスリスリとこすり始める。


「お腹空いちゃった。何か作ってくれる?」

「わかった。」


 切り替えたのか離れてくれたが足取りは物凄く軽そうで、もはやスキップになりそうなくらいだ。

 

 これで良かったんだよね……?


 彰は靴をぬいで部屋へと入っていった。

 

「何食べたい?」

「そうだな。たまには豪華なものが食べたいかな。」

「そしたらタイの刺し身かな。近くの魚屋で偶然売ってたのを見つけたんだ。」

「お。じゃあそれで。」

「はーい。」


 忠はそう言って台所へと入って行く。

 そういえば、忠とどこにも出かけてない気がするな。といっても、この時代にデパートや映画館、ゲームセンターがあるわけもなく、デートするにも良い場所がない。

 海水浴ぐらいなら出来るが、水着が無いじゃないか。


 くそ! 水着があればまさしく眼福だったのに!

 

 よく見れば忠はそこそこ胸が大きい。ポロリと零れ落ちそうなビキニ姿を拝めないなんてなんて不幸なんだ!!


 神よ呪ってやる……!


 彰は悔しさにごろごろ転がる。

 ひと通り転がったあとスマホに手を伸ばし電源を入れる。

 画像フォルダを開き、友人達ととった写真を眺める。


「今頃何してんのかなぁ……」


 これまで明確に帰りたいとは思わなかった。

 全く帰りたくないという訳ではないが、帰る手段も方法も無い。もし今すぐ帰れる手段があるとしても、忠の事が気にかかってしまう。

 帰ることはないだろう。


 でもやはり、元の世界には帰りたいと思う。やりたい事もあるし、趣味に没頭したい時もある。


「母さん……」


 身体が弱まってきた母も心配だ。せめて1日だけで良いから、元の世界に戻りたい。

 そう考えると、涙が出そうだった。


 でも、帰らなくても後悔はしないだろう。

 今は守るべき人、仲良く接してくれる人が周りに沢山いる。それだけで凄く幸せに思える。


 彰は立ち上がると台所へ向かい、鼻歌を歌いながら料理をしている忠一を後ろからそっと抱きしめた。


「彰?」

「少しだけ、このままでも良いかな?」


 忠一はきょとんとしたが、火を消すと正面から抱きつき返した。


「いつでも甘えて良いんだからね?」

「ありがとう。忠。」

「何かあったの?」

「少し不安になったんだ。元の世界に戻りたいと思うけど、忠の事も諦めたくない。もしどちらかを選ばないといけない場面が来たら、どうするべきだろうと悩んでしまう。怖いんだ。」


 忠一は彰の頭をゆっくりと優しく撫で始めた。


「私は多聞丸を失った時あなたに助けられた。私は、あなたを守りたい思えるようになったとても大切な人。きっと多聞丸も喜んでくれると思う。私は、彰を信じている。彰が選ぶ道が、私の進む道だよ。」


    ――――――――――――――――


 私は、彰の事を元の世界に帰してあげたいと思った。

 でも彼は、元の世界に戻りたい気持ちもあるけど私の事が心配だと言ってくれた。とても嬉しかった。

 多聞丸をミッドウェーで失った時は1人になってしまう。いつも一緒にいた人がいなくなってしまったと思ったけど、死んでしまった多聞丸よりも辛い状況にあっている彰は違った。


 自分の事よりも私を心配してくれる。こんなにも、弱っちいのにいつも頑張って私を守ってくれる愛しい人。

 今、葛藤が生まれつつある彼を支えられるのは私しかいないんだ。


 私は彰とずっといたい。どこにも行かせたくない。

 離したくないんだ。


 胸が苦しくなるほどに愛している。だから私は、私にしか出来ない事を精一杯やろう。


 そう思って、私は彼の頭を優しく撫でながら話しかける。


「辛い時は泣いて良いよ。私も泣きたい時は彰に泣きつくから、今は私を頼って?」


 そう言うと、彼は静かに泣き出した。私はその小さいようで大きな体を優しく抱きしめながら、撫で続けた。


    ――――――――――――――――


「アメリカ人がクーデターとな……」


 唸り声のように低い声が部屋に響く。


「東洋人はアメリカを圧倒しつつあります。中国の陸軍は弱体化しつつありますが、アメリカと手を組まれたら非常に目障りです。」

「うむ。まさにそのとおりだ。余の計画を邪魔する蛮族など、さっさと叩き潰してしまえ。」


 男は部下と思われる人物に言い伝えると、愛犬であるドーベルマンを撫で始める。ドーベルマンは動じはしないが、尻尾はゆっくりと揺れている。


「お前は余のように誇り高くてはならない。その素晴らしい立ち姿は尊敬に値しようぞ。」

「私からしたら、閣下の方が更に輝かしくお見え致します。」

「ははは。君も上手いじゃないか。」

「恐縮でございます。」


 男は椅子に座っている男に深々と頭を下げる。


「そう言えば、次の作戦に参加する部隊はどうなっているのかね?」

「は。A軍集団、C軍集団共に侵攻準備を整えております。しかし、兵士と弾薬などの物資がまだ集まっていない状況でありまして、今しばらく時間はかかるかと思われます。遅くても来年6月には作戦開始が可能となります。」

「余は君達軍人の事を理解しているつもりだが、余としては今年中に作戦を始めたいのだがどうかね?」


 男は計算するかのように考え、しばらくして答えた。


「優先的に輸送トラックなどを陸軍に回していただければ、11月中旬には可能です。しかし、国民への輸送などの問題もあります故、12月と私は踏んでおります。」

「君は非常に頭が回るな。国民の事も考えてこその余の帝国思想だ。では12月に開始にしようではないか。」

「は。すぐに命令を出します。」

「うむ。吉報を待っているぞ。」


 男は満足気に深呼吸する。 


「それと閣下。SAに不穏な動きがありますがどう致しましょうか。」

「それは余の方で対処しておく。心配しなくても良いぞ。」

「それはそれは。私がその中に入らない事を祈るばかりです。」

「はははは! 気に入ったぞ。何かあったら言い給え。出来る限りの事をしようじゃないか。」

「勿体無きお言葉であります。」


 部屋に、男の笑い声が響いた。


Fin

真の敵は意外な国でした。どうも松ちゃんです!


前々から考えていた伏線(?)がやっと書けましたが、なんともまぁごり押し……自重しないと。


相変わらず書き方に進歩が無いように感じてきますが、一番最初の頃のを読み返したり(誤字が無いか等のチェック)していると上手くなっている気がする……のは私だけかも知れません。


頑張っていく私を末永くおねがいします。


では次話でお会いしましょう!

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