5章~撤退作戦編~68話 海軍の休日
1943年3月。
パナマ運河破壊作戦に成功した海軍はしばらくの休暇……整備期間に入った。
暁天型空母を建造するためのドック拡張工事は天皇の命令により昨日から行われていて、終了予定は1ヶ月後らしい。
同時に、暁天型空母の設計と資材搬入も行われている。とにかく急造の為、船体を造ってその後に艦上構造物を載せる形となっている。
紀伊型戦艦と土佐型戦艦の設計図は出来上がっている為、すぐに他のドックで建造にとりかかれるだろう。
3月中旬、海技廠から新たな連絡が入った。なんと、ドイツからもたらされた油圧式のカタパルトが暇潰しに研究していたある職員によってなんと国産化が可能になったというのだ。
最悪既存の火薬式を改造して埋めようと考えていたのだが、とても幸運な事だ。
大鳳の2番艦白鳳の進水は今年6月には出来るとか。これに装備や艦載機を載せ、訓練を行えば早くて10月には就役出来る。つまり、前線に戦力として出てこれるのだ。
戦艦信濃の建造はまだかかりそうだ。主砲の輸送が遅れており、まだまだ戦線参加は遠い事になりそうである。
雲龍型は既に進水しており4月には就役する。もし雲龍型が戦力として加われば空母戦力は全盛期以上に充実するだろう。
この他に輸送空母が5隻作戦行動中だ。
更に水上機母艦の千歳と千代田が空母へと改装された。そうすれば戦力は2隻増えた事になる。これからも戦力は続々と増加するだろう。
雲龍型は雲龍、天城の2隻が加わるが、来年4月には6番艦まで進水する予定だ。艦名は笠置、阿蘇、生駒だ。
史実ではどれも完成しなかったが、今回は彰の図面の存在と資源の余裕がかさなって起工できそうだ。
雲龍、天城、そして建造中の葛城は史実通り飛龍をベースとしているが、4番艦の笠置以降は翔鶴型をベースとしている。計画中の7番艦(5008号艦)にいたっては大鳳をベースにしようという話まで出ている。
材料がどこから出てくるのか疑問に思うほど、空母戦力は充実しそうだ。
――――――――――――――――――
彰はダンカンを4月にハワイに返還する事にした。しばらく日本の空気を楽しみたいとの事だ。
彰もその時は同乗し見送ろうと考えている。あくまで敵だが、捕虜返還と考えれば話は別だ。
その時までは、忠一とのんびり暮らそうと考えている。
「彰おかえり!」
忠一の家につくと出迎えをしてくれた。
「ただいま。仕事お疲れ様。」
「お互いにね!」
2人は笑いながら居間へと入った。
電気には布が被されておらず、部屋を明るく照らしている。
LEDよりは明るくないが、光は部屋を温かく照らしてくれている。
「お風呂入る? もう沸かしてあるんだ。」
「ほんとに? じゃあ一緒に入ろっか。」
何気なく提案すると忠一は顔と頭を真っ赤にしながらくねくねしてる。
……何かまずいこと言ったかなぁ?
「い、一緒に入りたいの?」
「嫌なら1人で入るよ。」
素っ気なく風呂へ向かう。
「わわわ、待って待って!」
……なんだこれおもしろい。
「何?」
「その、えぇと、私も、一緒に……入る…………。」
茹で上がったかのように更に真っ赤になり縮こまる。
……何この小動物、かわいい。
「じゃあ一緒に入ろうか。」
「う、うん!」
犬のように機嫌の良くなった忠一を微笑みながら見つめ、彰は一緒に風呂へと向かった。
「寒い~。」
忠一はこたつに入りながらぶるぶる震えていた。時刻は9時。3月ではまだまだ寒い時間だ。
「こたつに潜れば良いじゃん。その方が暖かいぞ?」
彰の提案に忠一は頭をかしげながら潜ってみる。
すると、今まで足だけだったのが体まで温もりが包み込み、たちまち体が緩くなるような、脱力するような感覚に見舞われた。
「ふわぁぁぁぁあ~、何この暖かさ!! 初めてだよ!」
あ、潜るのは現代っ子だけなんだな……。
彰は頭の中で苦笑した。
「彰も入ろうよ!」
「それじゃ、失礼して……」
彰は忠一の隣に入り寝転がるように潜る。
確かに湯冷めしそうになった体を温もりが包み、一瞬にしてダメ人間になれる気がするほど温かかった。
「あぁ~、ダメになる~。」
「ダメになる~。」
彰に続いて忠一も真似する。
2人は顔を見合わせて笑うと、そのまま眠りに落ちた。
――――――――――――――――
翌日、こたつから這い出た彰は早朝マラソンをしていた。
この世界……時代と言ったほうがいいのだろうか、来てからは欠かさずやっている。
体力をつけるのはもちろん、自分を振り返る時間としてもやっている事だ。
戦争……現代日本では左翼等が叫んでいる程度で、実際に身近に感じることは無い。そんな人間がそんな場所に丸腰で投げ出されたらまともではいられない。
彰は特殊な趣味や女性指揮官という史実とは違う環境、忠一の存在のおかげでやっていけてるが、いつ妹のように壊れるかわからない。
自我を保つため、毎日の日課だ。
今日も10キロを走りきり、家につくと忠一がちょうど眠そうにしながら起きてきた。
「彰、どこか行ってたの?」
あくびをしながら聞いてきた。
「マラソンだ。体力をつけないと、戦場では足手まといになりそうでね。」
自我を保つため、とは言えなかった。好きな人に次元が違う人間という隔たりを付けたくなかったからだ。
「毎日やってるの?」
「まあね。おかげで10キロ走れるようになったよ。最初の頃は3キロが限界だったけどね。」
彰は笑いながら答えた。
風邪を引かないうちに汗をふき、こたつへと入る。これのおかげですっかりダメ人間になってしまいそうだ。
「今日私長官のところに行ってくるね。」
「六のところ? 用事でもあるのかい?」
「少し会議。午後には帰ってくるよ。」
この時はただふーんと素っ気なく答えたが、この後に起こる出来事が彰にも予測出来なかった出来事の引き金になるとは思いもしなかった。
Fin
最後まで有難うございます、松ちゃんです。
前回と前々回かなりの無茶振りになってしまい申し訳ありませんでした。島風ならやってくれるかなと思ったので(殴
もうすぐ春休みですね。僕はいよいよ玄関口とも言える高校3年目に突入します。この作品も書き続けて早1年程になります。はやいですね!
沢山の方々にも読んで頂き、大変感謝しています。こんな文章滅茶苦茶でも付き合って頂けて、とても嬉しく思いますが。
まだまだご迷惑などかけるかもしれませんが、よろしくお願いします!
では、また来週お会いしましょう!!
P.S
皆さん、春休みはどう過ごしますか?ちなみに僕は友人と川越にサバゲーをしに行きます。とても楽しみですw




