4章58話 黒豹隊
深夜。
大本営に近づきつつある黒い影が9つ。
先頭の影は8人に手サインで指示を出すとふた手に別れた。
リーダー格と思われる影のいるグループは裏口に到達したが、そこには見張りがいた。
すると、さっき別れたグループが反対側に移動して、そこから石を投げる。
「誰かいるのか?」
見張りは石の投げた方に向け歩き出す。
リーダー格の影は素早く後ろから接近。布を取り出すとその見張りの鼻と口を覆うように被せた。
男はツーンと痺れるような臭いをかぎ、ばたつかせる体を徐々に弱め、最後には気を失った。
「鍵を奪え。入るぞ。それと、1人はそいつの軍服を奪って着替えろ。」
リーダー格は素早く指示を出した。
メンバーが鍵を取り出すと、裏口の鍵を開けた。中は丁度いい気温で、暑過ぎでもなく寒すぎでもない。
9人は壁沿いに歩き出した。8人は前を向き、1人は後ろを向きながら。
狭い所を歩く時の鉄則だ。
前から2人目の人物は先ほど裏口で無力化した兵士の軍服を着ている。
「会議室は2階だな?」
「正面玄関前の階段を上がって左に曲がり、一番奥の部屋が会議室になってます。」
「だとしたら、階段の2人をどうにかしないとな……。」
階段の上には、楽しそうに談笑する衛兵がいた。人数は2人。
「頼めるか?」
「任してください。」
頼もしく返事したその人物は、見張りの途中だと言わんばかりの堂々とした足つきで階段を登っていく。
「おう、お疲れさん!」
「あ、お疲れ様です!」
声をかけられたので敬語で返事を返す。
声をかけてきたのは上等兵で、もう1人は一等兵だった。彼が来ている軍服は二等兵なので、敬語で答えたのだ。
「何か異常はあったか?」
「実は、裏口の見張りがいなくなってしまって……」
「どういう事だ?」
なるほど、そういう事か。
リーダー格は意図を読み取ると素早く隠れろと指示を出す。リーダー格と1人は廊下の曲がり角に隠れた。
「見かけたかどうかを聞きに来たのですが……」
「見かけてないな。俺も行こう、案内してくれ。」
「上等兵、私も行きます。」
「いや、ここに残れ。」
一等兵はわかりましたと返事をすると見張りを続け、変装した男と上等兵が階段を降りて廊下に差し掛かった。
突き当りで上等兵の姿を確認すると、リーダー格は口に先ほどと同じ布を押し当てる。
「~~!? ~~~~!!」
叫んではいるが布で全く聞こえない。むしろ、どんどん意識が遠のいている。そして同様に気を失った。
「しっかり縛り付けておけ。」
男達は素早く上等兵を縛り上げると、適当に放置した。
「行くぞ。」
男達は素早く階段へと移動する。
「!? なん―――!?」
一等兵は気づくが声がつまる。
先頭の男は口元に人差し指を立て声を出すなというように睨みつけ、他の8人は全員自分へと銃口を向けているからだ。
「悪いが気を失ってもらうぞ。」
リーダー格の男は布を押し当てる。
一等兵は苦しそうな表情をするが、やがて気を失った。
「行こう。」
廊下をなるべく足音をたてずに移動する。ここで慢心して足音を出せば、会議室内にいるかもしれない敵にここにいると伝えるようなものだからだ。
扉の前につくと、コッキングレバーを全員に引かせた。
「良いか、撃つのは必要最低限の時だけだ。威圧的に向けるだけで、決して指をトリガーにかけるな。」
日本では英語を使ってはいけないという風習があったが、いちいち日本語では面倒くさいので権限を使って覚えさせた。
実際、兵員達も言いやすいし早いと好評だった。
「扉を開いたら訓練通りに突入しろ。」
全員の顔に緊張が走る。
「良いか……GO!」
扉が勢い良く開かれる。
男達……後に、黒豹隊と名付られた彰の元祖特殊部隊は会議室に突入を始めた。
Fin
最後まで有難うございます、松ちゃんです。
特殊部隊って格好いいなぁ……と思いながら書いてました。皆さんはどう思いますか?
書き貯めしてた分がもうすぐ無くなります。なので、その分が無くなったら頑張って週1で投稿できるように執筆しないといけませんねw
でも普段の生活が楽しくなりそうなので僕は個人的に嬉しく思います。
これからもお付き合いください。
ではまた来週お会いしましょう!




