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俺と彼女らの戦闘記  作者: 松ちゃん
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4章53話 緊急会議

予約設定を1時間間違えてしまい、急ぎ修正しました。申し訳ありません。

 彰は自宅に戻り机に突っ伏している。

 妹が存在する事実と、その妹が戦狂者となってしまった悲しさに、何も考えられなかったのだ。


「何故、そうなった……」


 言葉が出てこない……どうすれば止められるのか、実際に考えたら非常に難しい。相手は海軍のトップ。五十六と同じような存在だ。それを暗殺しようなら、本土に上陸作戦でも仕掛けないと無理だろう。


「友梨佳……」


 かつての友梨佳を思い返しながら、彰はそのまま落ちるように眠った。


     ―――――――――――――


 五十六を含む幕僚達は緊急会議を開いた。五十六、草鹿、忠一、高須、近藤、原、三川、角田、小沢、小松の、連合艦隊の中核をなす名だたる人物が集結した。


「彰の妹が米海軍の作戦部長であることが判明した。」


 五十六が口を開く。


「彼女はマンハッタン計画を推進し、日本を焼け野原にすると伝えてきたそうだ。」

「彰の妹さんはかつての性格とはだいぶ変わってしまったらしいの。彰は止めると伝えたらしいけど、かつての家族を武力で止めることは避けたいって言ってた。」


 五十六の後に忠一が付け足す。


「しかし、止めるとしても方法はあるんですか?」


 小松が質問をするが、


「そんなの、戦って皆潰しちゃえばいいじゃん!」


 と、三川が身も蓋もないことを言ってくる。


「戦うにしても、油はともかく鉄はどうするんだ。」


 小沢が腕を組みながら、低い声で問いただす。

日本の鉄鉱石生産量では軍艦の建造は不可能であり、八八艦隊もぎりぎりの中で実現が可能となったのだ。


「鉄についてもあてがある。隣の中国に、鉄鉱石が大量にあるそうだ。」


 中国。この世界では日本は中国を属国としており、平和な関係を保っている。


「中国から運んでくると?」

「そういうことだ。」


 鉄は何とかなるとはいえ、人が足りない。米軍は国内に100万人もの兵力がある。ヨーロッパ戦線や太平洋戦線に出ている人数だけでも日本軍は屈服されそうなのに。


「そこは小松君に頼みたい。」

「ほえ? 私ですか?」


 小松は黒縁メガネをくいっと持ちあげる。小松は第6艦隊の司令長官で、この艦隊は潜水艦主体の艦隊だ。


「小松君には艦隊を率いて通商破壊作戦をもっと頻繁に行ってもらう。現在装備している潜水艦はいくつだ?」

「30隻です~。」

「それに更に30隻を追加する。可能ならば米本土近海まで進出し米艦隊の行動を邪魔する作戦も許可するから、とにかく足止めをして欲しい。作戦行動を起こさないように。」


 五十六の思想がここに具現されている。

 五十六は潜水艦による集中運用で米艦隊の行動に制約を与え、日本海軍が準備を整える時間稼ぎとするのだ。


「長官。例の作戦はどうなっているんですか?」


 角田が聞いた。例の作戦とはもちろんパナマ運河破壊作戦の事だ。角田はこの作戦の指揮官として大鳳に乗り込み、太平洋を横断するのだ。


「艦隊は36ノット以上出せる艦艇しか編成させない。作戦も真珠湾攻撃同様、北太平洋を迂回してもらう。」

「しかし、北太平洋からのルートだとカナダとぶつかります。あの海域は敵の制海権内です。」


 更に、カナダの西にはアメリカのアラスカ州が存在する。北太平洋の米海軍基地もあり、航空基地も存在している。

 そこを迂回することは不可能に近いだろう。


「確かにそうだ。しかし、レーダーに映らない範囲で行ってもらいたい。南ではかえって危険だ。安心なルートは北しか今は無いのだ。」


 中部にはミッドウェーやハワイ。南にはソロモン諸島東側が障害となる。


「真珠湾攻撃のルートと同じように接近しろと?」

「そうとらえてもらって構わんよ。」


 角田は了解と短く返事をすると航路の会議のために席を立った。


「それと、空母のことだけど……」


 忠一が口を開く。


「雲龍型空母今6隻の建造が決まってるけど、更に増やしたいと思ってるんだよね。」

「何故?」


 忠一は気難しそうに説明した。


「彰が、米本土攻撃のためにそれぐらいの戦力が必要だって言ってて……」

「そんなの、無茶苦茶だわ!!」


 真っ先に反対したのは原だった。


「相手は日本の国力の数十倍の規模なのよ!? いくら空母作ったって戦力には限度がある!! それをわかってて言ってるの!?」


 確かにそのとおりだ。実際、アメリカは開戦当時GNPは日本と10~20倍の差があり、原油は日本1のアメリカ738と、圧倒的だった。

 この時期は米軍も反抗作戦のための軍備増強で更に伸びているはずだった。


「その為の八八艦隊だ。あの艦隊は我々が考えるよりも更に数十年先の技術と思想が詰め込まれている。今はそれにかけるしかない。」


 会議室に重い空気が流れた。

 今の日本がしようとしていることは、そこら辺の子供が大人の背に近づこうと背伸びしているだけなのだ。それを思い知らされた彼女らは、ただ未来を想像するしかできなかった。


 海軍は、一時期停滞しようとしていた。


Fin

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