表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺と彼女らの戦闘記  作者: 松ちゃん
PR
53/96

4章52話 対立

 妹が生きている。

 正しくは転生していると言ったところか。

 病気で死んだ友梨佳は最後に、


「お兄ちゃんと遊びたかった。」


 と、泣きながら死んでいった。

 友梨佳は生まれつき身体が弱く、俺自身も見舞いには行ったが遊ぶほど身体は強くなかった。

 学校での笑い話や、持って来たゲーム機で遊ぶ程度だった。


「友梨佳……」


 携帯に、確かに友梨佳からメッセージが届いた。


『友梨佳なのか?』


 返信した。


「忠。しばらく、1人にしてくれないか?」

「わかった。隣の部屋使っていいよ。」


 彰は部屋を借り、座布団に座り携帯と向き合った。


『大山彰。間違い無い?』


 他人行儀な文章だった。


『俺は大山彰だ。間違い無い。』

『……久し振りだね、お兄ちゃん。』


 友梨佳だった。

 文章を見るだけでわかる。


『ほんとにそうだな。友梨佳がここにいるなんて思いもしなかった。』

『私も、この世界に来た時はびっくりした。沢山の女性に囲まれてたんだもん。』


 話によると、友梨佳はアーネスト・キングという、米海軍太平洋艦隊兼海軍作戦部長という、トップの人物として転生したらしい。

 自分は生きたまま連れて来られたのに。


『私ね、皆が言ってることがすんなり頭に入ってくるの。日本語しゃべろうとしても英語が出てくるし。しかもね! 英語が理解できるんだよ!!』


 友梨佳は楽しそうに文章を送ってくる。

 俺自身も、かつての友梨佳と会話するように楽しさを覚えた。

 また会いたい。友梨佳の姿は変わってしまったが、心は友梨佳だ。魂は変わっていない。


『お兄ちゃんとすぐに会いたいけど、日本とアメリカは戦争してるんだね。それがすごく残念……。』

『俺もだ。すぐに会いに行きたいが、俺は南部方面作戦司令長官になってるんだ。階級は少将だよ。友梨佳よりも下だ。』

『お兄ちゃん司令長官だったの!? すごいね!』


 友梨佳は祝ってくれているようだ。その証拠に、お祝いを意味するスタンプが押される。

 思わず笑みがこぼれた。


『ガダルカナル島での戦闘に参加してな。凄く辛かったけど、今は無事に過ごしてるよ。』

『戦ったの!?』


 まずい。心配させてしまったかな。


『怪我はしなかったぞ。後ろにいたからな。』

『なら良かった。もう遊べないのかと思ったよ~。』


 ふと、ここで違和感を覚える。

 遊べないとは、一体どういうことなのだろうか。


『なぁ友梨佳。遊べないって一体……』

『私ね、お兄ちゃんと戦う事を楽しみにしているの! お兄ちゃんは大切な人が死ぬのは嫌でしょ? それを想像すると凄くドキドキするの!!』


 ……言葉が出てこなかった。一体どういうことなんだ?


『どういう事だ。詳しく説明してくれ。』


 帰って来たのは5分後だった。悩んだのか、その文章は長かった。


『お兄ちゃんと殺し合いするのが好きになっちゃったの。私には駒となってくれる兵士さんが沢山いるし、何より上官の命令は絶対だからね。

今ね、沢山の人を殺せる爆弾を作ってるんだよ。原子爆弾。マンハッタン計画って言ってね、日本のどこに落とそうかな~ってドキドキしながら考えてるの!! 凄くいい気持ちだよ? 

空母や戦艦も沢山作れるし、日本を焼け野原にするのが今の目標なの! でも、大好きなお兄ちゃんを殺しちゃうのは勿体無いかな……』


 ふざけてやがる。

 友梨佳の心境に何が起こったのか知らないが、人を殺す事を快楽と思っている。


『友梨佳。何を考えているのかわからないが、人を殺す事である戦争と遊びは格段に違うぞ。そんな事はやめるんだ。』


 返事はすぐに帰ってきた。


『だって、私はまともに動けなかった。だけど、自由に動ける体を手にしたんだもん。好きなときに好きなように出かけられて、お風呂には入れて、最近はまってるニミッツちゃんとのゴルフは凄く楽しいんだよ。

それでいて、戦争が始まった。自分の思い通りに部隊を動かせるのって、お兄ちゃんとやった戦国シュミレーションゲームと同じなんだよ!』


 凄く絶望的な説明だった。

 友梨佳は、この醜い戦争をゲームと同じに考えているの。

 許されるわけがない!!


『戦争をゲームと同じにするんじゃない!! そんな事をして何になる! 原爆だって、どんな物なのかわかっているのか!?』

『わかってるよ。携帯で調べたもん。1発で20万人もの人が死ぬなんて、必殺技みたいだよね!!』


 こんなの、優しかった友梨佳ではない。俺の知っている友梨佳は、壊れてしまっていたんだ……。


『ふざけるな。そんな事をするなら、俺は何がなんでも止めるぞ。』

『そんな事日本軍にできるの? 弱っちいし、何より資材も燃料も無いじゃん。そんな小さな国が、大国アメリカに何が出来るの?』


 言っていることはまさに正論だった。

 それでも、俺個人だけでも友梨佳を止めないといけない。


『絶対に、止めてやる。』

『私は以前の弱い友梨佳じゃない。大国の軍隊のトップに立った強い友梨佳なんだよ。それを忘れないでね。』


 それ以来、メッセージは届かなかった。


    ―――――――――――――――


 すべての事情を忠一と草鹿に話した。

 2人共怒りに方を震わせ、言葉を失っていた。


「……私は今の話を長官に伝えて来ます。私だけでは、考えるにしてはあまりにも規模が大きすぎます。」


 草鹿は帽子をかぶり、一礼してから家を出て行った。


「彰……どうするの?」

「もちろん、そんな事許さない。最悪、刺し違えてでも止めてやる。」


 彰は怒りを覚えていた。

 いくら妹とはいえ、そんなふざけた考え方は許される事ではない。


「馬鹿!!」


 怒鳴られた。


「忠……?」

「死なないって約束したじゃん!! 刺し違えてでもなんて、言わないでよ!」


 顔を見ると彼女は涙を流していた。俺は、それくらいの覚悟という事を誤解させてしまったのかもしれない。


「ごめん。本気でそう思ったわけじゃないんだ。それくらいの覚悟が必要というだけで、俺は忠とずっといるよ。」


 彰は泣いている忠一を抱き締めた。

 友梨佳は変わってしまった。その事実を受け入れるのは容易ではないが、マンハッタン計画をなんとしても阻止するしかない。


 アメリカでは携帯をポケットに入れて、ため息をつく存在があった。


「お兄ちゃん、怒ってたなぁ。早く絶望に変わる顔が見たいな♪」


 そう独り言を呟く。

 その表情は狂気そのものだった。


Fin

最後まで有難うございます、松ちゃんです。


最近目が悪くなってきてしまいました。昔は2.0あったのですが、数日前眼科に行ったらなんと両目で0.5に下がってしまいました……。

ゲームのしすぎでしょうか。確かに毎日1時間はゲームをやっていますが、まさかそのツケがくるとは……とほほ。


少し控えなければなりませんね。


また来週お会いしましょう!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ