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俺と彼女らの戦闘記  作者: 松ちゃん
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4章49話 正月

 年が変わって1943年。

 今年は史実なら山本五十六が戦死する年だが、それは回避できそうだ。五十六が戦死したのはい号作戦の後で、今年の4月18日だ。


 い号作戦は、ケ号作戦(ガダルカナル島撤退作戦)の後、ラエ、サラモア方面に増援を送るための八一作戦が敵の爆撃によって(ダンピール海峡の悲劇)壊滅したのが事の発端となり、ソロモン海域の敵航空兵力と船団の撃滅と、輸送作戦の促進が目的であった。

 その前線視察の為に五十六は移動中に米軍のP-38戦闘機の奇襲に会い、撃墜された……。

 でも今となってはその心配はなかった。

 歴史は変わり、ガダルカナル島を奪還したからだ。


 正月を迎え、彰は用意された宿舎(一軒家で一人暮らし)を出て南雲の家へと向かっていた。


「去年は色々世話になったし、ゆっくり出来るのは正月くらいだしな。」


 途中で餅を買う。この時期にしてはずいぶん贅沢な気がするが、恐らく闇ルートだろう。気にしないことにした。宿舎を出て汽車に乗り、30分ほどしたところにある駅で降りて改札を抜ける。


「汽車は初めて乗ったなぁ……」


 未来では普通の電車だ。蒸気機関車などは一部で残っている程度しかない。ほんとに良い経験だ。


「こんな時ぐらいは戦場から目を離してもバチは当たらないよな……」


 戦いから2ヶ月ぐらいかな。

 あの時の泥沼の中の進軍や激しい戦闘。初めての負傷、初めての目の前で見る戦死者……。

 よく、戦い抜いて生きて帰ってこれたものだ。戦略を切り替えた事もあったが、兵士の士気も何かが違かった。

 と考えてると家につく。


 チリリリリン…


 軽快なブザーだな。

 ガラッと、ドアが開く。


「あけましておめでと!! 彰!」

「ああ。おめでとう、なお。」


 彰と南雲は、付き合い始めて2ヶ月たっていた。


    ――――――――――――――――


 あの時の告白を了承して良かったと今は心から思える。これから先何が起こるかわからない時代で、自分の精神が保てるか不安だった。

 忠がそばにいてくれる。それを考えるだけで何でもやっていける気がしたのだ。


「餅を買ってきたよ。焼いて食べようぜ。」

「買ってきてくれたの!? 丁度なかったから料亭に分けて貰いに行こうとしてたんだ~。」

「乞食じゃあるまいしやめろよ。」

「えへへー♪」


 2月がたとうとしているが、彼女は笑顔を絶やさなかった。忠一は餅を取り出し、七輪の網の上に並べる。焼き上がりまで時間は掛かりそうだ。


「寒くなかった?」


 忠一は心配そうに顔を覗かせる。


「少し肌寒かったかな。未来の日本はこれよりはもっと寒いからある程度我慢出来たよ。」

「未来はこれよりも寒いの!?」


 恐ろしや~、と手を擦り合わせながら七輪の前で丸めてる体を更に丸める。

 お前はウサギか。


「ねぇねぇ、未来の話を聞かせてよ。」

「未来か?」


 時を忘れて話を始める。

 娯楽や自分の事。学校や友人など、色々な事を話した。それぞれに色んな反応を示してくれて、自分も心が安らいでいく。


「未来の恋愛はどんなの?」


 やっぱり気になりますか。


「未来は恋愛なんて自由が当たり前だよ。お見合いなんて無いし、好きな人同士が好きな時に結婚して、仲良く暮らすのさ。」

「親が決めた相手じゃなくても良いの!?」

「そうだよ。そんなの、堅苦しいし好きじゃない人と結婚しても嫌だろ?」

「確かに……」


 忠一もそろそろ結婚を気にする年頃なのだろう。

 ……チラチラと飛んでくる視線は放っておこうか。


「その……こ、恋人は、どんな事するの?」

「どんな事ぉ??」


 恋人なんていないし、まして好きな人もいない。一人で艦○れやサ○ゲーに打ち込んでいたし、知り合いもネットのフレンドさんやサ○ゲー仲間しかいない。学校にはちゃんと友人はいたがな。


「恋愛なんて縁がなかったからな。よくわからないけど……」

「けど?」

「恋人同士で色んな所に出かけて、遊んだり、ショッピング……あ、買い物な。」

「八百屋に行くの?」


 キョトンとした問いかけに思わず笑ってしまった。


「違うよ。デパートっていう大きな店があってね、服屋や飲食店。ゲームセンターとかがあるんだよ。そこを散歩して楽しむのさ。」

「ほえ~、楽しそうだなぁ……」

「この時代にはアメリカとか、そっちの方しかないよ。行きたかったら、和平協定を結んで旅行できる世の中にしなくちゃ。」

「そしたら行けないじゃぁぁん。」

 

 ゴロゴロと駄々こねるように転がり始めた。

 膝のところまで来て止まったので、頭をゆっくり撫でてやる。嬉しそうに目を細める。


「接吻ってする……の?」


 咳き込んだ。


「いいいいきなり何を言うんだ!?」

「ひぇ!? いや! 気になったから……!」


 気まずい空気が流れた。

 意を決して答える。


「……ほとんどの恋人は、す……するよ。」


 忠一は顔を上げる。

 肌はつやつやとしていて、髪は黒くサラサラ。顔立ちのバランスもよく、黒い瞳は大きい。

 ほんとにラノベのようだ。


「その、しちゃ……だめ?」


 瞳をうるうるさせながら聞いてくる。声も少し緊張気味だ。


「……嫌なわけ無いだろ。」


 ゆっくりと、お互いに顔を近づけ、2人は初めて唇を重ねた。


    ――――――――――――――――


「今頃いい雰囲気なんだろうなぁぁ……」


 五十六の自宅で愚痴っているのは近藤。それを横でお淑やかに眺めるのは高須だ。


「彼女らは今のこの時間を大切に過ごしているんだ。見守ってやろうじゃないか。」

「うぅぅぅぅ……恋人欲しいなぁ……」

「そんな殿方が見つかるといいですね。」


 高須はなだめるようにフォローする。


「さて、呼んだのは他でもない。今後の作戦だが……」

「米軍の新造艦ですね?」


 高須は話にモードを切り替える。その声には覇気が混じっていた。


「うん。彰が言うにはエセックス級という新型の空母が今年から戦力として加わってくる。彼のすまほとやらを見て、細かいデータを得られたよ。」


 五十六は書斎の棚を開け、その中から分厚い紙の束を取り出した。


「これがエセックス級……大和よりも大型だ。」

「この短船型は初期型で、大和と同じ感じだが後期の長船型は対空火器を増設している。弾幕は激しいぞ。」


 近藤も高須も、息を呑んだ。ただでさえ敵は現段階でも統制射撃によってこちらの被害は甚大だというのに、さらに凄いのだという。


「それと、彰と考案したのがこれなんだけど……」


 五十六は一番下の書類を引っ張りだす。

 そこにはパナマ運河周辺の海図や地図も同封されていた。


「長官。これは……?」

「パナマ運河を爆撃、または雷撃によって破壊しようと思う。」


 パナマ運河。

 現在のパナマ共和国が運営している、カリブ海と太平洋を繋ぐ閘門型の運河だ。

 閘門型とは、高低差があるところを水の注水及び排水によってその川の高さに合わせて、船を下げたり上げたりする構造だ。

 全長80キロ、大きく分けて3つの水門があり、ここに閘門扉がある。ここで高低差を水によって上下するのだ。


「彰によると水門が1つでも破壊されれば甚大な被害が出て、高低差が激しいところによっては津波のように周辺に襲いかかり修繕に相当な時間を有するようだ。」


 パナマ運河はアメリカ海軍にとって重要な運河で、この運河が無くなれば南アメリカ大陸の最南端を迂回しないと太平洋には入れない。これには5日ほどかかる。

 作戦行動するには大きな障害なのだ。

 パナマ運河は長駆およそ1万6000キロを短縮できるのだ。通過には24時間しかかからない。


「確かに、ここを破壊できれば……しかし、戦力はどうするんですか?」


 近藤の言うことは正しい。パナマまで行くにしても、長距離航行が可能で、かつ隠密に。しかも、相当の戦力が必要になるだろう。


「空母は危険すぎます。爆弾1発でもくらえば、戦闘能力は失われるのですよ。」


 高須は反対した。パナマ運河を破壊すれば確かに敵の作戦は大幅に遅れに有利には立てる。だとしても貴重な航空戦力の要となる空母を犠牲にするのは反対だった。


「確かに私もそれは反対しようと思った。でも彰は言ったんだ。」

「なんと?」

「装甲空母を使えば良いと。」


 装甲空母大鳳。

 空母の弱点である脆弱さを克服しようと開発された空母である。

 飛行甲板に500キロ爆弾に耐えられる装甲を施し、船体にも重巡クラスの砲撃を受けてもびくともしなようになっている。

 彰の追加注文も取り入れられた。

 そのおかげで船体は275メートル(史実では260メートル)と長くなり、同時に搭載機数と航続距離が伸び、20ノットで1万3000カイリ(約2万4000キロ)の航続距離が実現可能になった。

 これは急遽建造された2番艦の白鳳も同じだ。しかし、白鳳は今年の夏にならないと進水は出来ないだろう。


「では、大鳳にパナマ運河の破壊作戦をさせるのですか?」

「うん。大鳳なら簡単には沈まないだろう。十分可能性はあると思うよ。」


 計画はその後3人によって進められ、実行は来月10日となった。


Fin

こんばんわ!松ちゃんです!


最近ヲタ芸をやっているのですが、おかげで筋肉痛が酷いですw


さて、自分でも何を書いているのかよくわかりませんが、なんとか皆さんにわかるように書いていきますのでよろしくお願いします!

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