3章35話 上陸
10月4日。
第二師団は勇川周辺の砂浜から上陸した。
上陸は昼間から行われた。不思議な事に敵の航空機は飛び立って来なく、やすやすと揚陸作業がはかどった。
牽引車や戦車、榴弾砲にカノン砲など主戦力となる兵器や食料、医療品など一個師団が三週間戦っていける量が揚陸された。
辻中佐、岡村大佐、そして彰の三人が丸山中将含む師団本部を迎えた。
「第二師団師団長の丸山です。」
身長182センチという巨漢で、筋肉はがっしりとつき、無精髭をはやしている。
岡村大佐は女性なため、非常に小柄に見える。辻中佐もだが。
陸軍はやはりこれまでの風習が影響しているのか、男性将校が多い。
海軍は有能な者から積極的に採用し、将校へと昇格している。女性指揮官が多いのはその為だ。
「海軍少将の大山です。遠路はるばるご苦労様です。歓迎会を個人的に開きたいと思っておりますが、何分状況が状況ですので、また別の機会に。」
「お気遣いありがとう。早速だがその状況を確認したいのだが?」
「わかりました。こちらへどうぞ。」
岡村大佐が司令部へと案内する。
どうやら俺が立案した輸送作戦は成功したようだ。先日の空爆で燃料タンクと航空機をほとんど破壊したのだろう。
「米軍は頑強な陣地をいくつも敷設してます。マタニカウ川を横断する為の一本橋を取り囲むように対岸には三ヶ所機関銃陣地があります。右からイヌ、ウマ、サル陣地です。これより奥は戦力まではわかりませんが陣地が存在するのは確定してます。これは大山少将からお伺いしました。」
岡村大佐が丁寧に丸山中将へと説明していた。
すると丸山中将は驚いたように彰を見ると少し近づいて口を開いた。
「では、貴方はもしかして南部作戦司令官の大山少将か?」
「そうですが……」
「未来から来たという噂の?」
「えぇ。」
すると丸山中将は手を握った。
何故か知らないが感激しているようだ。
「噂は聞いている。以前のミッドウェー海戦では損害を多大なものにする前に食い止めたとか。」
「あれは偶然が重なっただけです。決して僕の知恵では……」
「海軍さんから話は聞いてるよ。その知恵と知識で損害を食い止めたと。」
「だとしたら沢山の命を救えたことを誇りに思えますね。」
「今回のこの総攻撃、君に指揮を任せたいのだが良いかね?」
司令部は息を飲み込んだ。
あの統帥権だのなんだのうるさい陸軍が自ら指揮をしてくれと言ってきたのだ。
それだけこの作戦に本気なのだろう。
無論、断る理由も無かった。辻中佐に指揮を任せたら全員の死が目に見える。
「自分の知識の限りを尽くして、無駄な戦死者が出ないように尽くさせていただきます。」
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「設計図はどうだ?」
草鹿龍之介は広島、呉の海軍造船所にいた。
山本五十六の命令で、造船関係の取り締まりを行って欲しいとの内容だった。
「大型ながらスマートでしかも搭載量に余裕がある。私ら造船業者にとって非常にやりやすい設計ですよ。」
と造船業者。
「見積としてはどれ程の性能かな?」
「この艦体だと機関が他の軍艦よりも多く積めます。その分速力も当然上がるので、恐らく30ノット以上は出せますよ。」
「凄いな……」
(流石未来の技術。長官からの報告には彰の資料から抜粋したものとあったが、原案は八八艦隊の各艦の設計図を基本にして、ここまで改造するとは……)
草鹿は感動を覚えた。
この戦艦だけではない。航空戦艦とやらも、伊勢型と扶桑型四隻の設計図とは全く違う、最初からその軍艦として作られている。
カタパルトを使い、J7W1を射出。直掩機として機能させたり攻撃隊の護衛としても増やせる。
何より着艦まで行えるのは非常に高性能だ。形が少し不格好だが。
新型空母も恐ろしく高性能になる可能性が高いという。
大鳳を基本にしてるが、大きさが大和並みになる。現在改装が決まった信濃と同じような存在になりそうだ。
(未来の技術の高さがここまで引き出されるとは……)
「ただ、一つ問題がありますねぇ……」
「問題?」
「戦艦だけで計17隻作ってもそれを動かす燃料がないですよ。」
「それも大丈夫だ。満州に新しい油田が発見されたんだ。」
「ほぉ、それは安泰ですな。」
「材料の方は平気か?」
「今のところ心配はないですな。私らの威信にかけて、立派な軍艦を造りますよ。」
「それでは、頼みます。」
こうして造船所を後にする。
彰立案の造船計画はハワイ占領が目的とされた軍艦で、他にも大型輸送船も建造が決まった。
米本土の上陸も計画されてるらしい。
彰の、本当の意図を誰も知らない。
Fin
最後までありがとうございます。松ちゃんです。
どうやら1日勘違いして予約していました。なので予約を取り消して改めて投稿した次第です。すいませんでした。
また見ていただければさいわいです。
それではまた次週。




