表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺と彼女らの戦闘記  作者: 松ちゃん
PR
33/96

2章33話 第2師団、ガ島へ

 高速輸送船団。

 海軍きっての14ノット以上が出せる輸送船で構成される輸送部隊である。

 積載可能搭載量は各艦1万トン。一個師団の弾薬、食料、そして人員を運ぶにはこれ以下の船では足りないのだ。


 ラエに集結した輸送船は12隻、それと重砲運搬と牽引車、さらに戦車を輸送するために水上機母艦千歳、千代田、瑞穂、日進も参加。これに海防艦24隻が護衛艦として随伴する。

 海防艦は彰の提案で主砲を高角砲に変更、対空機銃を大幅に増設し、米軍のアトランタ級防空巡洋艦を思わせる艦影になっている。

 各艦高角砲2基、3連装機銃10基、単装機銃12基を搭載したためやや大きめになってしまった。

それと、これも彰が考案した戦術で、米軍よりも早く統制射撃を行うようにして、早期に食い止めることにした。


 これまで日本軍は各艦がそれぞれの目標を決めて対処していたためどれだけ大量の機銃を搭載してもその弾幕は薄くなってしまった。

 この統制射撃はそれを廃止して全艦が一つの目標として攻撃部隊を捉え弾幕を厚くすることで撃墜率があがる。

 史実でも米軍はこの戦術で多くの日本軍パイロットを叩き落としてきた。


 ガダルカナル島に上陸するのは陸軍第2師団。夜襲の仙台師団という異名をとる第2師団は夜襲をやらせたら日本一というほど果敢で、激しく、恐ろしい技術がある。

 実際日露戦争の際遼陽会戦とよばれるロシア軍15万、日本軍12万が衝突する戦闘があり、第2師団はこの時師団規模で夜襲をかけ大混乱を引き起こしたほどだ。

 第2師団は丸山政男中将指揮。第4、第16、第29連隊主力の2万4000名で構成されている。このうち主力含む1万4000名が上陸する。


 火砲は連隊砲と呼ばれる四一式75ミリ山砲、九四式37ミリ速射砲、九六式15センチ榴弾砲、九二式10センチカノン砲を合計で82門が戦闘に参加。弾薬は各砲1500発を用意する。日本軍からしたら十分な量だった。

 1500発は使い伸ばせば3日はもつ。1日500発だが、本格的な砲撃戦をするなら2000発は欲しい。この量は1日ずっと撃ち続ければ無くなる。米軍は日本軍と違い点ではなく面で撃ちこんでくる。つまり日本軍がいると思われる一帯を耕すようにどかどかと撃ちこんでくるのだ。

 しかしこれだけ弾薬があれば少しは互角に戦える。丸山中将は少し安堵の息をもした。

 

 戦車はお馴染みの九七式中戦車チハが14両参加する。マタニカウ川渡河の際援護として前に立つ予定だ。

 この14両がどれだけの働きぶりを見せるか、楽しみだ。



「米軍の戦闘力は少しずつ落ちているとの報告だったな。」


 第11設営隊の生き残りを束ねる岡村大佐からの必死の報告から、米軍は連日の攻撃や通商破壊作戦により消耗が激しく攻撃が弱まっているらしい。これならば昼間に攻め込んでも飛行場は取れそうだ。


「川口支隊の生存者は熾烈な機銃の弾幕は衰えを知らずと報告しています。そう簡単にはいかないかと。」


 と参謀長が。


「無論、多大な犠牲は覚悟しなくてはならない。したし、ここで諦めては先の戦いで死んでいった仲間が報われないのだ。」


 丸山中将は何がなんでも奪回する気持ちでいた。この戦いが天王山であると、皆が思っていた。


    ――――――――――――――――


「少将!! 捕虜が逃げ出しました!」

「彰が!?」


 ヴァンデクリフトは彰の逃走を聞かされてコーヒーの入ったカップを落とした。

 まだ話を聞きたかったのだが……


「探しだせ!! 必要なら足を撃ってとめろ!」


 しかし、彰は既にジャングルの奥深くへと逃げていた。



「はぁ、はぁ……!」


 どれだけ走っただろうか。

 肩からの出血が止まらない。撃たれたのだ。

 幸い急所に当たらなかっただけマシと思おう。

 2本目の川を渡りきった。恐らくマタニカウ川だろう。さっき渡ったのがルンガ川だとしたら間違いない。

 このまま進めば日本軍の拠点があるはずだ。

 しばらく進んでは一休みを繰り返していた。

 熱帯雨林は勿論初めてなので、恐ろしく暑いし加えて湿度もありえないほど高い。ジメジメしている。

 ジャングルの木は鬱蒼と生い茂っており、昼間でも薄暗いという話は本当だった。

 夜になる前に合流はしたかった。少しでもいいから安心したかった。

 

 少し心細い気持ちを持ち始めていた。漂流して、ジャングルを走って、こんな体験は日本じゃ絶対にできない。

 精神崩壊しないのが不思議なくらいだ。こんな状況でも腹減ったと笑える自分がいて、少し頼もしく思えた。


「さてと……」


 立ち上がったその瞬間だった。


「ん? 貴様誰だ!」

「……へ?」


 女の子の声がした。


「誰だと聞いている! 返答次第では斬る!」

「待て! 落ち着け! 俺は味方だ!」


 軍服を着た女の子が抜刀する。なんとかして弁明して、やっと信じてもらえた。


「なんだ。海軍の人間か。」


 彼女はやれやれといった表情をしながら軍刀を鞘に納める。


「自分は南方作戦指揮官の大山彰です。階級は少将です。」

「大山少将か。私は陸軍総参謀の辻政信。階級は中佐だ。」


辻……政信だと……!?


「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」


 なんで辻政信がガダルカナル島にいるんだ!?


2章 Fin

最後までありがとうございます。松ちゃんです。


もうすぐ天王山となる飛行場奪還戦にさしかかります。奪還戦はいっきに8話を投稿する事にしました。


それではまた次週!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ