2章32話 ガダルカナル島の戦況
1941年2月に編成された第一海兵師団は本部大隊、第1、第5、第7、第11海兵連隊、第3両用強襲大隊、第1、第3軽装甲偵察大隊、戦闘工兵大隊、戦車大隊、偵察大隊で構成されている。この中で砲撃戦を担当しているのは第11海兵連隊だ。
155ミリ榴弾砲24門、105ミリ榴弾砲30門、37ミリミリ速射砲20門の装備を誇っていたこの部隊は、9月の連日のように行われた夜間艦砲射撃によって残り合わせて16門へと激減していた。
しかも弾薬庫まで吹き飛ばされ、本気でやったら2時間で撃ち尽くしてしまう。
機銃の弾丸もそうだ。弾薬庫まで吹き飛ばされた影響で各700発しか与えられない。これでは十分な防備が固められない。
「弾薬が少なすぎる……ジャップめ。今まで潜水艦の使い方なんて知らなかったくせに……!」
日本軍が所有する潜水艦は本来は戦艦同士の艦隊決戦の支援部隊となり、有効な攻撃が加えられるように建造されていて、魚雷も戦艦を撃沈するために高性能かつ高威力だ。
そのため、日本軍は輸送船ごときに撃つな。勿体無いと言っては無視していた。
それを彰が許さず、ドイツと同じように通商破壊作戦に駆りだした。その結果、ヴァンデクリフトが輸送を頼んでも途中でことごとく日本軍の潜水艦によって沈められているのだ。
陸上基地の航空隊も積極的に作戦に参加させ、先日強引に突破した6隻の高速輸送船は航空機によって3隻撃沈、1隻大破放棄と大損害を受けた。
他の2隻は食料が多く搭載されているため、まともな弾薬補給は受けられなかった。増援としてくる予定の陸軍部隊も輸送船が撃沈され、辿り着いたのは半分以下の人数だった。
彰が捕らえられていたのはヘンダーソン第2滑走路で、B-17など大型機専用の滑走路の地下防空壕のある一室だった。
ここは増援部隊……米陸軍第146歩兵連隊が守備を固めている。
テナル川方面を第7海兵連隊、マタニカウ川方面を第1、第5海兵連隊が守備を行い、第11海兵連隊は砲撃任務に従事していた。
しかし、米軍は連日のように行われる艦砲射撃や空爆によって弾薬を消費し、航空機も稼働機は12機となっていた。
それでも、ヴァンデクリフト率いる海兵隊は自分たちが国家の戦況を左右するんだと戦意はすこぶる高く、川口支隊の総攻撃を撃退した。その代わりとして弾薬を多く消費してしまった。
今日もまた、ラエからの空爆隊がやってきた。零戦18、九九艦爆24、一式陸攻10の52機だ。
爆弾を滑走路に叩きつけ土砂とコンクリートを空中に巻き上げ、陸攻は的確に燃料タンクや弾薬庫を爆撃した。
そのうち、巨大な花火が爆発したかのように空高く爆炎が立ち上った。弾薬庫に直撃したのだ。
陸軍でもこんな激しい空襲は体験したことがないだろう。アフリカではB-24などによる水平爆撃を行うのが当たり前だったからだ。
とうとう陸軍の隊員の中には発狂しながら爆弾の雨の中を意味のわからないことを叫びながら走り回る者が現れた。もはや放っておくしかできない。助けに飛び出したら自分もやられるからだ。
「ジャップはしつこいな。」
ヴァンデクリフトは司令室で悪態をついた。
この島に来て1月がたったが未だに慣れない。気候には多少慣れたが攻撃にはうんざりする。特にひどいのは夜襲だ。
寝ようとしたところを奴らは刀と銃剣、手榴弾で突っ込んでくるのだ。こちらは機銃弾をばら撒き蹴散らす。
日本兵は死を恐れない……たとえ被弾しても命ある限り仲間の屍を盾にしながら突っ込んでくる。その姿はまさに北欧神話のバーサーカーのようだ。隊員は刀で斬られまいと必死に引き金を引く。
しばらくたつと手榴弾の投げ合いに変わる。火点を潰そうと投げる日本の手榴弾と撃退しようと投げるアメリカの手榴弾だ。
炸裂し悲鳴を上げながら日本兵は倒れるが、それでも後続のものは屍を盾にして突っ込み同じように手榴弾で攻撃をする。
この世のものとは思えない戦いだ。それを乗り超えた隊員は来た時と目つきが違う。来た時はすぐに撃退して帰ろうと侮っている目つきだったのが、今や気を抜いたら殺されるという殺意の目に変わっている。殺られる前に殺るのだ。
――――――――――――――――
この日の空襲は30分で終わり、航空機が更に4機喪失、火砲5門が破壊されてしまった。虎の子の戦闘機が破壊されるのは非常に辛い。昼間になると敵への爆撃など攻撃ができるし、空爆隊が来た時には迎撃隊として使える。その機体が減るのだ、もはや制空権は日本軍のものだろう。
補給も頼んでいるがハルゼーは確かにやってくれる。しかし、日本軍は潜水艦を使い通商破壊作戦に躍起になってる。輸送船ごときに勿体ないと言われ続けた魚雷の使用を今はどんどん叩き込めという方針に変わったのだ。
おかげで弾薬、食料が届かず、増援も送れない。送ったとしても撃沈されてしまうのだ。
この太平洋唯一の空母サラトガはパールハーバーにこもっていて、1ヶ月はまだ出てこれそうにない。護衛をつけたくとも船が足りない。
いっぱいいっぱいだ。
それでもハルゼーは送ろうとしてくれた。その結果が陸軍の存在だ。
戦意は落ちてるものの、陸戦のプロである彼らが来た事に海兵隊は安心感を覚えた。心強い存在なのだ。
「火砲がやられたのは辛いな……」
ヴァンデクリフトはため息しか出なかった。ハルゼーの働きはとても嬉しいものだが、それでも足りないのだ。
「滑走路の修復を急いで!」
滑走路をブルドーザーが忙しく動きまわる。
この時、ダンピール海峡を日本海軍きっての高速輸送船団と護衛艦隊がラエに向かってる事をヴァンデクリフトは知らない。
Fin
最後までありがとうございます!松ちゃんです!
とうとうグループで書いてるこの作品も80話を突破しました。なんで50話も差が出てるんだろう(^_^;)…
まとめて投稿したいのですが、そろそろ始まる飛行場奪還戦くらいしか出来なさそうですねぇw
次週をお楽しみに!




