2章28話 ムンダ
ラバウルを出発して5時間。
彰はニュージョージア島に上陸。ムンダ飛行場をのんびりと歩いている。
ここの米兵はラバウルの兵士と仲がいいのか日本兵が来てもフレンドリーに接してくる。
互いの戦闘技術を過信せず、レベルにあった会話を楽しみ、物々交換までやってる。
機密情報を盗もうとする輩はおらず、指揮官までもが出向いて日本兵と交流を深めている。
「ようこそ! 君が大山彰君だね?」
「はい、大山彰です。南方軍司令官を務めています。」
「はははっ! なかなか礼儀のいい少年ではないか!!」
挨拶をしたのはムンダ飛行場司令官、アーガス・バレット大佐。彼は彰が今まで出会ってきた指揮官でやっとの男性指揮官だった。
「アーガスさん!! 僕はこの世界に来てから、初めて男性指揮官に出会いました! 感激です!!!」
「そうかそうか!! 私も、周りが女性だらけで紳士的に振る舞わなければいけないのでな! リラックスして対等に話せる相手が欲しかったところだ!!」
互いにがっしりと握手を交わした。
あぁ……! このがっしりとした手!! 周りは女性だらけ。アーガスさんの気持ちが凄くわかるぞ!!
あれ、ホモホモしい考えになってるのは気のせいかな……?
「我々は敵同士のはずなのに、いつの間にか仲良くなってな! 気づけば戦いなんてしばらくやってないわ!! 勿論、訓練はやっているぞ!」
そういえば、こうして仲良くはしているものの敵同士。戦いが始まれば、お互いがお互いを殺しあう兵士となる。
それをわかってて、彼らは一時の安らぎを得ているのだろう……。
「ところでミスター彰。用件があるのでは?」
ここからが本題だ……!
「ラバウルの南方航空軍第十一航空艦隊司令長官の塚原二四三中将から、抵抗をやめ投降してほしいと伝えるように言われました。」
「ふむ……」
バレット大佐は思案顔になった。
そりゃそうか。仲がいいとはいえ、敵同士である日本軍から投降してくれと頼まれてもそう簡単には……
「構わんぞ。」
「いいのかい!!」
思わず叫んでしまった。
「実際、燃料も弾薬もない。これ以上戦いを続けても死人も出るし、医薬品も食料もないのだ。」
「そんなにひどい状況に……」
「しかし、投降しようにも我々は本土に帰りたいのだ。皆、それが出来ないから留まるしかないんだよ……」
意外な理由だった。
確かに、訓練をしているとは言っていたが、毎日とはいっていなかった。
よく見れば痩せている兵士も多く、史実でのガダルカナル島をさまよっていた日本兵のようになりつつあった。
まさかそんな理由が……
「もし本土に帰れるのであれば、我々は投降しよう。」
正直本土に連れて行くのは無理だ。
捕虜の返還と言っても敵の総本山。そんなところに味方の機動部隊を連れて行くには危険すぎるからだ。
かといって……
「そうだ!! エスピリットサント島ではどうですか!?」
「エスピリットサントか……確かにここからは近い米軍基地ではあるが、どうするつもりだ?」
「我が軍から空母を出します。そこに着艦してください。エスピリットサントまでお送りします。」
「そんな事が許されるのですか!? いくら返還とは言え、空母を使うなど!!」
「私には人徳がありますから、任せてください!」
こうして、エスピリットサントへバレット大佐以下総勢2800名を空母と戦艦を使って届けることにした。
Fin
最後まで読んでいただきありがとうございます。松ちゃんです。
このお話ですが、最近載せているのは短めのが多いです。というのも、これを書いている時期は何を書けばいいのか試行錯誤しながら書いていましたので短くなってしまいました(笑)。
ラインの方ではとうとう80話に届きそうです。なんとか追いつかないものか……(汗)
頑張っていきます。
次回は31日夜10時更新予定です。お楽しみに!




