2章16話 輸送船マコーレー
ヴァンデクリフト少将とターナー少将は輸送船マコーレー(旗艦)で凍りついた。たった数時間で北方警戒隊と南方警戒隊の6隻もの重巡部隊が殲滅されたのだ。しかもこれだけではない。反転してこの輸送船団に向かってきているというのだ。
「フレッチャーは何故護衛をすっぽかしたんだ!」
ターナー少将は机を怒りに任せて殴りつけた。
「今叩かれたら人員だけでなくまだ揚陸出来てない物資が壊滅的な被害を被るぞ。なんとか急がせろ。弾薬と食料を優先させろ。」
ヴァンデクリフトは落ち着いて指示を出した。敵艦隊が向かってきていると知った以上、揚陸作業を急がせなければならない。
「飛行場はどうするのだ!?」
「わかっている。それでも物資が先だ。」
「すまない……。」
ターナーは頭を下げた。護衛部隊指揮官としての責任を感じたのだろう。頭を下げると長い髪が垂れ下がった。
「気にするな。元はと言えばフレッチャーに責任があるだろう。」
ヴァンデクリフトはターナーをなだめ、船外を見た。丁度いいタイミングで、一番外側の輸送船が爆発と共に吹っ飛ぶ姿が目に入った。
「来たのか…!!」
24隻もの低速な輸送船は全て停泊している。射撃の的にしかならないほどの格好の獲物だ。
「全部沈めちゃって!!」
三川の号令と共に第8艦隊は火を吹いた。
外側の輸送船が弾薬に引火したのか大爆発をおこし、船体が吹っ飛んだ。艦隊は魚雷も放ち、次々に命中弾を得た。
輸送船は大混乱だ。ただでさえ低速なため、湾外に出ようとした輸送船は20センチ砲によって食われた。一部の艦は艦載砲や機銃で反撃しているが豆鉄砲程度の効果しかなく、虚しく沈められていった。
海に脱出しようとする者は爆発に巻き込まれたり砂浜にたどり着いても機銃によってジャングルに退避することが叶わなかったりする者が多かった。そしてその砲弾は旗艦マコーレーにも及んだ。
マコーレーは次々に砲弾が命中し、弾薬に引火したマコーレーは後部甲板が吹き飛んだ。やがて静かに後ろから沈み始めた。
第8艦隊は満足したのか反転。退避し始めた。後ろに燃え盛る輸送船団を残して。
朝。24隻の輸送船はたった11隻になっていた。その11隻も被弾している艦もあり、無傷なのは5隻だけだった。
10900名の第一海兵師団のうち2640名が死亡。物資を多く積んだ輸送船もやられ弾薬は1人一週間分、砲弾は本気で撃ったら2日で無くなる量しかない。
食料は1人二週間分確保できたがしばらくは味気ないレーションに頼ることになりそうだ。それでも無いよりはマシだった。
ターナーとヴァンデクリフトは無事だった。二人は部隊をまとめると飛行場に向けて鬱蒼としたジャングルを進み始めた。ルンガ川周辺は確保したため、あとは飛行場を占拠するのみである。これは後に、日米初のガダルカナル島での戦闘となる
Fin




