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転生スキル『貪食』  作者: とまてるの
第四章贄の儀式
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第66話化け物の証明

天見は俺の攻撃を捌き続ける。

5秒――剣から鈍器のハンマーに変える。


俺は剣を変形させ、ハンマーへと形を変えた。

ハンマーを振り上げるが、やはり避けられる。


なに考えてんの?コイツ。


5秒――

自分が殴られている未来が見える。

天見は俺に合わせて攻撃をし、殴られる未来を変え、カイが殴られている。


「類は友を呼ぶっていうけど、ほんまやな」


そしてまた5秒――

また自分が殴られる未来が見えており、また未来を変えようと守りから攻めへ戦闘体勢を変えた。


俺は拳を突き、天見はそれを避けて俺の顔面にカウンターを繰り出す。

そして天見は距離を取る、続けて俺は拳を振るい攻撃をし続けた。


動きが単調になってきとる。

そろそろ負け時やね。


「そうや、殴るんやったら顔以外狙えよ?」


5秒――天見は攻撃を受け止め、俺の腹、顔に拳をぶつけた。

そして右腕を引き、溜めてから拳を突き出す。

拳は俺の顎を強打し、俺の膝は少し震えた。


俺はそれを狙っていた。


天見の右手首を掴み、俺の拳は天見の顔面にめり込み、天見は吹き飛んだ。

土埃が舞い上がる。

地面に倒れていた天見は立ち上がり、鼻から血を流していた。


「て、テメェ……なにしたんや!?」


「見れてば分かる」


俺は走り、天見に向けて拳を薙ぎ払った。

そして5秒――

俺は連続した攻撃を続け、天見は避けて避けて避け続ける。


ここでカウンターや!!


俺の左拳が突き出されるのと同時に、天見は拳を振るった。

だが、天見の脳裏に浮かんだのは、殴られる自分。

それは未来予知ではない。

それに対する"恐怖"だった。


ここは落ち着いて……


天見は殴ると見せかけ、体を捻て蹴りを繰り出そうとした。

が、俺の拳の方が先に当たる。


「ごはっぁ!!」


天見は回転し、ふらつきながら再び構えを取る。

今まで彼に攻撃は当たらなかった。

生まれてきてから十数年で一回も、攻撃がかすったこともなかった。

それが仇となり、殴られた今、何を信じれればいいのか、分からない。


「クソがッ!!」


天見は地面を蹴り、地面は爆発したかのように弾ける。

天見は蹴りを振り、着地すると拳を振り上げカイを殴る。


なんでコイツこんなに硬いんや!!


追撃しようとした。

ここでカイと目が合う。


また――殴られる。


「ッ!!」


天見は攻撃を中断し、急いで俺と距離を取った。

俺は天見との距離を無くし、攻撃のターンは俺へと移る。


拳を振り続ける俺に天見は回避を繰り返していくが、やがて攻撃の速度は速くなり、冷や汗一滴が土に落ちた。


「だあぁぁ!!!」


カイの拳を受け止め、横腹を殴る隙が出来た。

だが、ワンテンポ遅れてしまった。

俺は天見の顔面を殴り、天見の頬は切れ、血が流れる。


他人の物ではない。

自分の血――


そう思っているのも束の間、槍が突き出され、天見の腕に突き刺さる。


「があぁぁっ!!!」


大声を上げ、俺は突き刺したまま走り出し、近くの岩に槍を突き刺す。

天見は固定され、逃げ出せなくなってしまった。


「逃げるなら今だ」


「なんやと……!!?」


「お前の強みはヒットアンドアウェイ。しかし、一度殴られただけで怯え、それで攻撃も出来なくなってしまった」


天見の怒りは頂点に達し、怒号をぶちまける。


「ふざけんなや!!俺は、俺は怯えてなんかない!」


「お前をここでぶち殺したるわッ!!」


天見は俺を蹴り飛ばし、自分に刺さった槍を抜いて構え出した。

右腕に空いた穴は治癒スキルで癒し、槍をブンブンと回転させながら接近してくる。


「俺はお前を殺し、進化する!!」


「見せたるわ!俺自身をォ!!」


天見は槍を振るい、俺の腹が切られ、血が流れる。


内臓は無事だ。まだ動ける。


距離を取った俺に向けて槍を突き出す。

高速で突かれるその攻撃に、俺は回避し続け、頬や肩、横腹がどんどん切られていく。


「どうした!!反撃せえへんのか!!?」


「なんか言えや!!」


5秒――喉が潰れ、息が吸えず、視界が黒に侵食される。


俺は未来を変えるッ!!


コイツに勝ってみせるんや!!


槍は俺の腹を貫き、天見は口角を上げ、槍を引き抜き再度突き出した。


天見が槍を突き出した隙を見て、天見の懐へ潜り込む。

右腕を引き、思いっきり拳を腹に突き刺す。


「はがぁ……!!!」


天見は衝撃のあまり嘔吐し、俺は天見の顔面を殴り飛ばす。

うつ伏せに地面に倒れた天見の頭を掴み、地面に何度も叩きつけ、体を掴んで仰向けにさせた。


馬乗りになり両手で首を締める。


「このッ……!」


気道を締められ、意識は薄れていく。

力も出なくなる。


5秒――


そこは暗闇だった。


「"化け物"……!!」


天見の瞳に光が消え、抵抗しようと俺の腕を掴んでいた手は地面に落ちた。

ゆっくりと手を離し、血で濡れた拳を見る。


結局――


俺は"化け物"だ。


今はそんなこと考えてる暇はない。


「急ぐか」


腹の刺し傷を治癒スキルで治す。

魔力はまだある、短期戦なら申し分ない。


そうして俺は、ニコ達がいる訓練場へ急いだ。

一向、その様子を水晶玉で見ていた魔法帝は、紙に殴り書きをしてカイを研究していた。


「対策は完璧だ」


真っ暗な部屋でボソボソと言い、手に魔術の印を浮かばせ、話し掛けた。


「対策は出来た。守護騎士団、撤退しろ」



----



屋敷の西側にある道場。

そこで守護騎士団副団長の玄道と幹部2人、メリウスとガリカルは、ニコ達と対峙していた。


この魔力…静が言ってた守護騎士団か?


「アンタ達、なにもんだ」


ニコは自室にある札を呼び出し、札は窓を突き破ってニコの周りに浮遊する。


「早速警戒か、まあ無理もねぇよ」


玄道はその場にいる3人を観察する。


女は脅威じゃない。

二人の男、魔力量は平均よりかなり上。


玄道はルシアンを睨み付ける。


魔法帝様が言っていた捕縛対象か……

横にいる老人より、遥かに強い。

もしかして……コイツが"鬼"?


「ルシアン、俺は外にいる人間達と目の前にいる3人の内1人を相手にする」


「俺が仕掛けたら、ルシアンはあそこの男を狙え」


アルヴェリウスは小声で言いながら、玄道を睨み付ける。


「わかった。タイミングは好きにしていいよ」


ニコはそんな2人の会話など聞こえず、玄道にもう一度問いただした。


「なにもんだって聞いてんだ」


玄道は鬱陶しそうに答える。


「……守護騎士団。魔法帝様の命令でお前らを殺しに来た」


「って言っても、降参してくれたら殺さねぇよ。俺は鬼じゃねえ」


玄道がそう言った瞬間、横にいた幹部の1人、メリウスが、遠くにいたアルヴェリウスに体当たりされ、道場を突き破って外へと出て行った。


「降参はなしか、了解了解!」


玄道が刀を引き抜き動き出そうとすると、ルシアンが一気に距離を詰め、蹴りを喰らわせた。


「副団長さん!」


残された幹部の1人、ガリカルが駆けつけるが、玄道はルシアンの攻撃を食い止めながら言う。


「俺に構うな!お前はそこにいる女を殺してから、メリウスを助けろ!」


「は、はい!」


ガリカルはニコの方へと走り出す。

突然の戦闘にボケッとしていたニコは、迫ってくるガリカルに対処が出来ず、拳をモロに食らってしまった。


「ぐはっ!!」


衝撃で吹き飛ばされ、周りに浮遊していた札は散り散りになってしまった。

ニコは道場を突き破り屋敷の廊下に転がり、急いで体勢を立て直す。


迫ってくるガリカルに、ニコは少し恐怖を感じた。

しかし、それと同時に――


恐怖で震えていた手が、ふと止まる。

体の奥が熱い。

いける。

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