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この世界の悪は、吸血鬼の小銭稼ぎにすぎない 〜無慈悲な治癒魔法と血の刃で、獲物を捕食する〜  作者: アム


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25話 嵐の前の静寂と、深まる疑惑

その夜、私(クロは少しだけ悩んでいた。

就寝時、今日はどっちと寝るべきかだ。すでに、一人で寝るという選択肢は、いつの間にか私の頭の中から消えていた。

順番的に今日はラメでいいだろう。私は彼女を抱き寄せ、いつものように吸血しながら眠りにつくことにした。


背後で、部屋をこっそり覗くブランの気配がした気がした。

彼女からすれば、こうして寄り添って眠るのは当たり前の光景に見えるだろう。だが、クロラメの性格はあまりに違いすぎるし、そもそも……。

まあ、彼女がどう思おうと私の知ったことではない。




ブランは、寝室の様子を窺いながら、昨夜の感覚を思い出して身体を火照らせていた。

首筋に牙を立てられたあの甘美な快楽。身体が、無意識にあの少女に近づこうとしていたのだ。

(……そんな馬鹿な。出会ってまだ二、三日だぞ。あんな化け物に身体を委ねるなんて……)

自分に言い聞かせるが、今まで使っていた私自身のベッドが占領されているという事実に、胸の奥がチクリと痛んだ。


私は諦めて、亡くなった両親の部屋にある、今は使われなくなったベッドへ向かった。

両親を亡くしてからというもの、ヤケクソになってギルドの活動に没頭することで、喪失感を忘れようとしてきた。だが今、こうして静かな家の中にいると、嫌でも過去が蘇ってくる。


(……あの二人。特にクロが、吸血行為と思われるものをしているのなら、私に起きたことにも説明がつく)


狼のような獣人の姿をしながら、吸血鬼のように血を啜る。

まさか、狼人と吸血鬼のハーフなのだろうか。一度そう考えると、それ以外の可能性が思いつかないほど確信に変わっていった。

明日以降も確実に一緒に居続けることになる。さりげなく、彼女たちの正体を観察してみよう。私はそう決意して、眠りに落ちた。




翌朝。三人が揃ったが、夜の作戦までは特にやるべきことがない。

だからと言って、下手に疲労を作るのは間違いだ。

私たちは適当な店で食事を買い、巨大都市の喧騒を眺めて過ごした。


道中、たまたまあの『英雄三人組』を見かけた。一瞬、彼らと目が合ったような気がした。

ギルドの常連であり、都市の護衛も兼ねている彼らは、エリート候補であるブランの顔を覚えている。過去に何回か、軽い挨拶程度のやり取りはしたことがあるからだ。

かつての私にとって、彼らは憧れであり、目標とする人たちだった。


だが、今はどうだ。

私は親の仇への復讐を誓い、その手段として、目の前の化け物たちと手を組んでいる。英雄たちとは、間違いなくもう縁がない場所に立っているのだ。


昼頃、クロが飽きたのか「帰って読書でもしよう」と言い出した。

彼女は魔法の本や新聞を読み耽っている。私が代わりに買いに行こうかと提案したが、彼女はすでに直近の新聞も最新の魔法書も購入済みだという。

相変わらず、情報の収集に関しては隙がない。




クロは一人で読書に没頭していた。

暇な時間は、情報の整理に限る。ラメは退屈に耐えきれなかったのか、さっさと昼寝を始めている。

ふと気づいたのだが、ラメは暇さえあれば毛繕いをしているが、私にはその習慣がない。獣人としての本能が、私の中では希薄なのだろうか。


そんなことを考えていると、別の部屋からブランが意を決した様子でやってきた。

彼女は私の前に立つと、少し改まった態度で口を開いた。


「……あの、回復魔法について、教えてくれないでしょうか」


暇つぶしには丁度いい。だが、私は本を閉じ、少し気になったことを彼女に問いかけてみた。


「……良いけど。その前に、ブランから見て、私たちのこと……どう思ってる?」


私のその問いに、ブランは一瞬、言葉を詰まらせた。

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