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この世界の悪は、吸血鬼の小銭稼ぎにすぎない 〜無慈悲な治癒魔法と血の刃で、獲物を捕食する〜  作者: アム


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19話 エリートの仮面と、巨大都市の闇

ラメが私とクロのいた部屋にやってきて、ベッドの上に三人が集まる。

私とラメが両端に座り、クロが真ん中にいる。

朝の打ち合わせだ。今日これからやることは二つ。ギルドで依頼を受けること。そして、都市のさらなる下調べや案内だ。


ギルドへ向かった私は、受付でクロが事前に目星をつけていたという、報酬額の高い『指名手配犯』の依頼書を四枚渡した。

「一度に四枚もですか、ブランさん!?」

受付嬢が大きい声は出さないものの、少し驚いた声を上げる。通常、一度に受けるのは一、二枚が基本だ。

だが、指名手配犯の討伐依頼はギルドの普通の依頼と違い、不特定多数の人間が受けることができる。そのため、もし成功できなくてもギルド側にも私にもデメリットはないのだ。意味合い的には「これから危険な標的を追うから、万が一の時は察してほしい」という、ギルドへの届け出のようなものでしかない。


私は平静の仮面を被り、「時間はかかるでしょうけど、やります」と突き放すように答え、ロビーで待つ双子のもとへと合流した。


その間、クロは隣にピタリとくっついているラメの手を引きながら、ギルドの片隅にいた。

深くフードを被り、視線の先にあるあの『英雄三人組』の動向を観察する。


彼らが私の邪魔になるかどうかを見極めたかったが、ただ眺めているだけでは流石に何も分からない。過去の新聞では、彼らがこの都市で『謎の異形の魔物』を討伐したと報じられていた。だが、その点について直接誰かに聞き込みなどをするのは、流石に悪手だと判断した。


やがて、受付を終えたブランがこちらへ戻ってくる。


「……行くよ」


私は短く告げ、ギルドを後にした。


ギルドを出て、ブランは案内を再開する。

昨日案内しきれなかった場所を歩いていると、クロがふと言った。


「……貧民街スラムの案内をして」


私は耳を疑った。こんな巨大都市のスラムは、迷えば二度と出られないほど広大で危険だ。ここから徒歩で片道一時間以上はかかる。

「遠くて広いですが、大丈夫ですか……?」と念のため聞いたが、彼女は構わないらしい。


道中は無言の時間が多くて困る。だが、会話の内容をあれこれ考えず、ただ『案内人』という役割に徹していればいいので一長一短でもある。

歩きながら、「私は半年前に両親を強盗に殺されたこと」とか、「どんな戦い方をするのか」「どこで生まれて、どこから来たのか」など、言いたいこともあり、聞きたいことがいくつも喉まで出かかったが、奥へと飲み込んで閉じ込めた。今それを話すべきではないだろう。


途中、太陽の光がいい具合に双子に当たった時、ふと、どっちがクロでどっちがラメなのか分からない状態になった。

眩しくない日陰で見ればまだわかる。色に少し差があるおかげだ。それすらなかったら、完全に見分けがつかないのだ。なんとなく、髪色の明るさが濃い方(マスタード色)がラメで、薄い方がクロだ。


(……そういえば、なんで名前は『クロ』を連想させる名前なのだろうか?)


彼女の髪は黒ではなく、ペールイエローだ。だが、今はそれも気にしないでおこう。


やがてスラムの手前まで案内したところで、私はクロに「特定の場所と時間で待ち合わせをする」と指示された。

そのため、徒歩で十分ほど戻った場所にある店で時間を潰し、双子と一時的に別れることになった。

逃げる選択肢はあったが、おそらく逃げられないだろう。初めて森で遭遇したあの距離ですら、彼女たちは私の気配に気づいていたのだ。


私はおとなしく、約束の時間までその店などで時間を潰して待機することにした。


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